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これがだめならあれで
土曜日の後編。
骨董市から帰って、家で一休みしてから、目下の課題を解決することにした。
課題とは、インターネットの契約。
私はスペインの身分証をまだ手にしていない。本来なら1ヶ月程度で発行されるところ、遅れている。理由はわからない。催促はしているので、あとは待つしかない。
身分証がないとネットの契約はできない、とスペイン人の同僚に言われていたし、他の人に聞いても答えは同じだった。
さらに、理解し難いことは、携帯電話のプリペイドの仕組み。
私が渡航直後にプリペイドSIMカードを購入した大手電話会社は、プリペイドは1ヶ月のデータ使用量が決まっていて、使い切ってもチャージはできない。購入後に知った。
確かにシステムとしては前払いだから「Prepago(Prepaid)」の商品名に嘘はないけれど、それでは、プリペイドの利点とは一体なんなのか?どこの誰が、そんな使い勝手の悪いサービスを必要としているのか。
私は家族とビデオ通話をするので、10や20GBはあっという間に消費する。
しかし、店のスタッフを相手に「なんとかしてよ」と詰め寄っても、なんとかなるわけではない。
もうすぐ家族もこちらに来るし、生活インフラとしてネット環境は必要なのに……。
それでは家のネット回線だけの契約をしようと、何社か問い合わせた。ところが、どこの会社も最低契約期間は12ヶ月。ある会社のオペレーターから「どこでも同様。それ以前の解約は違約金がかかる」と言われた。
身分証さえ届いたら、携帯電話と同じ会社で契約したいので、それ以上は諦めた。
何か打つ手はないかと考えて、身分証はまだないが、身分証番号だけは通知されていることに思い当たった。
その通知書を持って、改めて店に行ってみた(オンラインの申し込みより店頭の方がサービス開始が早い)。
果たして、あっさりと契約できた。
「プリペイドの番号は90日間は月契約に変更できない」という意図のわからない決まりがあり、電話番号を変更しなければならなかったことはマイナスだが、それより、無制限のモバイルデータ通信をその場で手にした成果は大きかった。
私の仕事の都合で、家のネットの設置は1週間後になる。家族が来るのは2週間後なので、ちょうど間に合う。
「まったくこの国は」みたいな話を、前に住んだメキシコだけでなく、ここでも日本人の間で耳にする。
例えば、銀行側のミスで送金できず、その理由の説明もない、というような状況が時々あるから、不満に思う人がいるのもわかる。
日本の組織としての業務の上では、「まあいいや」とは言っていられない、というのも現実だけど、その感覚は報われない気がする。
というか、異なる文化の中では、先進国でも発展途上国でも、どこでも誰でも思い通りにいかないことはあるのではないか。
ここでは相手次第、気分次第、いい加減でもいいじゃない?
そのおかげで、期待以上に上手くいくこともよくある。杓子定規じゃないから。
さて、ネットの契約ができて、家に帰って契約書をよく見たら、私の口座番号が間違っていた。店員が入力したものだ。
来週、出直そう。
私の国籍は、一箇所は中国、もう一箇所はスペイン人ということになっていたが、これはどうでもいいのだろう。
とにかく、私は自分の目的を果たしたので満足。
タイトル画像は、職場の近くに咲いていたモッコウバラ。