メキシコのにおい、やわらかさ
乗り継ぎのためメキシコシティで一泊し、今日、我が家のある街にたどり着いた。
しばらくぶりに帰宅した。
閉め切っていた窓を開けると、風がふわりと舞い込んだ。
あ、と思わず声が出る。
このにおい。たまらなく懐かしい。
なんのにおなんだろう。
はっきり言って、特別にいいものじゃない。
ほこりっぽい道路か、排気ガスか、もしかすると下水のにおい?
でも、私には懐かしいもの。
乾いたにおい。
キューバでも同じにおいをかいだことがある。
友人の家の、窓を開け放した部屋を吹き抜ける風は、こんなにおいがした。そして、その風は、今私の頬をなでているのと同じようにやわらかかった。
もしかすると、風のにおいとやわらかさは、どちらも太陽のしわざかもしれない。太陽のあたたかさが、この空気を作っている気がする。
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