辿り着けない島に鳥居?日御碕の経島
異次元空間は、世界のヘンテコを追う同人誌「異次元空間」のオンライン版で、風変わりな場所と構造物の紹介がメインです。
島根県のシンボルともいえる出雲大社、そこから十数キロ離れたところに日御岬(ひのみさき)という灯台のある断崖がある。バスに乗ればすぐに着く距離のため、出雲大社とセットで観光された方も居るのではないだろうか。
今回の異次元空間は、日御碕灯台への道の途中から見える、不思議な島について紹介する。
バスを降りてから灯台までは漁港の近くを通ることになる。そこに現れたのがこの島である。
こんな形状の島を見るのは、筆者の経験では初めてだった。海面から一気に盛り上がるような島。そしてその上には。
小さな鳥居が見える。
この島には陸で繋がっているように見えて、実のところ繋がってはいない。
こちらは別の地点から島を見たところだ。
ここまで陸地に近い島にもかかわらず、橋が掛かるわけでもなく、防波堤も島の至近で途切れている。そこに至るまでの道らしきものがない。
見れば見るほど不思議な光景である。
現地の案内板に詳しい説明はなく、ウミネコの繁殖地であることしか記載されていなかった。検索してみると、出雲観光ガイドのウェブサイトに記載があったので引用する。
天照大神が日御碕神社に祀られる以前に鎮座されていたという経島(ふみしま)は、日御碕神社の西方約100m沖の海上にあり、面積約3000平方メートルの無人島です。
柱状節理の石英角斑岩からなり、その形状が「経典」を積み重ねたように見えるためその名がついたと伝えられています。
経島はウミネコの繁殖地としても有名で、国の天然記念物に指定されています。毎年11月下旬から冬にかけて約5000羽ものウミネコが飛来、4月〜5月にかけて産卵・孵化し、ひなの成長をまって7月頃に島を飛び立っていきます。
この島は日御碕神社の神域として神職以外の一般の立入りは禁止されており、年に一度8月7日の例祭の時のみ、宮司だけがその島に舟で渡ることができます。
別名夕日の祭りといわれ、刻一刻と日が沈む中で執り行われる様子は神々しさが漂います。
マルチコプターによる撮影と思われる全天球画像をストリートビューで見ていただくと、陸地と灯台、島との位置関係が分かりやすいと思われる。色が似ていて判別しにくいが、例の鳥居は島の奥側に存在する。
禁足地などと言われると、どこか中二心がくすぐられるというものである。日本にはまだまだロマンが詰まっている。