看護師:妊娠してからの働き方について反省と振り返り
昨年の10月に妊娠が分かり、私は心拍が確認された10週の時点で職場の上司に報告しました。
幸いにもママさんナースが多く妊娠に関してとても理解のある職場で、皆さんに祝福して頂き気にかけてもらっていました。
目立ったつわりもなく順調に過ごしていた私は、油断していました。周囲の皆さんに気遣って頂きながらも、いつも通りのペースで仕事をこなしていました。
今の職場は急性期治療を主としていて、看護度も高く肉体労働も多く、緊急入院が立て続くことによっても動き回らなければならいという状況がまま発生する職場です。
それでも何とかなるだろうと思っており、実際に何とかなっていました。
心拍が確認できてからも毎回の検診で本当に大丈夫なのか、赤ちゃんは育っているのか、不安で不安で仕方なかった日々ではあったのですが、赤ちゃんはそんな気持ちを吹き飛ばしてくれるくらい順調に成長してくれて、あと数日で安定期に入れるという週数の時でした。
意外と大丈夫なものなんだと、安心し始めていた頃です。
その日も緊急入院が相次いでおり、部屋持ちの患者さんの対応もこなしつつずっと歩き回っていました。多少の疲労感とほんの少しのお腹の張りを感じていましたが、正直いつものことで、今までも大丈夫だったから、と気にしていませんでした。
そして日勤の業務が終わる17時頃、トイレに行って一息ついてからゆっくり記録に勤しもうと思っていたところ。ふとトイレを振り返ると真っ赤に染まっていました。痛みもなにも自覚していません。
一度完全に思考が停止してから、わけもわからないままに取り合えず塊状のものが出てきていないかを確認していました。
ほんの少しの血の塊がトイレの底の方に沈んでいるのをみて(大丈夫赤ちゃんならもう少し大きいはず…)とか、考えていた気がします。
少し泣きそうになりながらナースステーションへ戻り、「すみません、出血してしまって」と報告。皆さん早く帰るように、急いで受診するように、と、私が中途半端に取っていた入院患者さんを引き継いでくれて、背中を押してくれました。
すぐにかかりつけの産院に連絡し受診。夫にも連絡をしたらすぐに来てくれました。
内診を受けながら
「あー結構出血してるねー。中にも溜まってる。」などの医師の言葉。
「でも赤ちゃんは生きてますよ。心臓ちゃんと動いてるしもぞもぞ動いてる。」
その一言で涙が止まらなくなりました。
医師いわく、
・出血したからと言ってすぐに赤ちゃんがどうこうなるわけじゃない
・もちろん出血が続けばわからないけれど
・安定期前の今の時期は特に胎盤がまだ出来てなくて出血しやすい
・仕事も看護師さんなんでしょ、ちょっと休んだ方がいいかもね
とのこと。
その日は張り止めと出血による感染を予防する膣錠を処方されて帰宅しました。
一連の経緯を上司に報告し、切迫流産の診断でその後一か月は自宅で療養することになりました。
家に帰ってから、赤ちゃんが無事でいてくれたことに対する安心と、流産に対する恐怖と、自分の行動に対する後悔が押し寄せました。
どうして油断したんだろう、
体重の重い人も構わずに体位変換をしてしまっていた、
忙しい中だったからといって人に助けを求めることをめんどくさがってしまった、
お腹が多少張るのはいつものことだと思ってしまった、
これで赤ちゃんがいなくなってしまったらどうしよう、
ごめんね、ごめんね、無事でいてくれてありがとうね、
ちゃんとくっついててね、ママから離れないでね、大好きだよ
しばらく涙が止まらなかったです。
妊娠中のリスクを分かっていたつもりで、全然わかっていませんでした。
普通に働ける、何とかなる、意外と大丈夫
という油断が引き起こした出血だと思っています。
赤ちゃんが無事でいてくれたのは本当に運が良かったと思っています。
少し無理しすぎだよー、と教えてくれたのかもしれないとも思います。
これからママになる看護師さんや、今まさに妊娠中の看護師さんがこの記事を目にする機会があったならば、本当に油断しないで下さいとお伝えしたいです。
忙しい中で周りに迷惑を掛けられない、
「妊婦だからって」という目で見られたくない、
そんな気持ちになることもあるかと思います。
でもそんな気持ちは赤ちゃんがいなくなることに比べれば本当にどうでもいいことで、
多分自分で思っているよりも数倍ハードな職業であることを自覚して、
「用心するに越したことはない」と言うことを念頭に置いて働いて頂きたいです。
私もこの一件からは本当に無理はせず動くように意識しています。
それでもどうしても忙しい場面では、動かざるを得ない職場であるということも実感しています。ハードです。あらためて。
私自身は現在8か月にさしかかり、あと一か月で産休に入るところまで来ています。
いま数か月前の後悔をあらためて書き起こして、現在安定期の余裕が出てきており、また少し油断している自分に気づきました。
今後も無理せず産休前まで働いていられるように用心に用心を重ねて行動するようにします。