解のない仕事
これまで大企業から中小企業のいろいろな人達と仕事をしてきました。
製造業を中心に業務をしてきて気が付いたことを記します。
世の中には『ISSUEからはじめよ』とか『whyからはじめよ』とかビジネス本は巷に溢れています。これらビジネス本や研修セミナーなど、さまざまなアイデアや戦略が示されていますが、実際の仕事や製造現場では、それらのアイデアや施策、戦略が必ずしもすべてのケースに適用できるわけではないのです。なぜを5回繰り返し原因を特定して改善できるとは限らない。
できないことに取組む、解のない仕事があるのです。
仕事には解決が難しい課題や問題が存在します。課題に対処するためには、費用対効果を考慮しながら、継続的な改善活動を行うことも必要になります。技術的な改善や効率化を図るために、適切なツールやシステムの導入も検討する必要があります。しかし、ここが中小企業では、要員、技術、投資の観点から困難が伴うものなのです。
解のない仕事がある
例えば品質改善をするにしても、そもそも製造プロセスとして発生原因を解決できないものがある。しかも、品質改善する別の手段として製造プロセスを変更するには製造コストアップになる。コストアップを容認する取引先は無いのです。中小企業ではどうすることもできないジレンマが起こるのです。ここに解のない仕事があるのです。
事例
具体事例として、成形不良や、はんだ付け不良など発生を0にすることが出来ません。このような製造上の品質問題を、完全に予防することは難しい場合があります。こういった不具合は経過観察として問題を見ていくことで、直接的な介入やコストを最小限に抑えていくことが望ましいと思います。特定の課題に対して既知の解決策が存在しない場合、経過観察は有用な手法だと思います。
これらの問題はリスク評価して、品質問題の重大度や影響度を評価し、リスクを適切に管理する必要があります。但し人命にかかわる製品においては、ゼロエラーを目指すことが重要となります。
一方、軽微な問題や一時的な不良の場合には、品質改善のコストとリソースのバランスを考慮して、リスク管理を検討することが適切だと思います。品質改善活動はビジネスにとって重要ですが、コストとのバランスも考慮する必要があります。品質改善に費やすコストが問題自体のコストよりも高額であったり、経済的に合理的ではない場合は、経過観察で対処することもありえると思います。
ビジネスの現実として、取引先は、すべての品質不良をゼロにすることを要求してくるのですが、現実は困難な問題があります。発生原因の解決策が無いまま定期的な品質改善活動を行うことは結果的に不毛な仕事になります。
これも解のない仕事です。
まとめ
ビジネスの視点から効果的な品質改善を行う際には、ゼロエラーを求めるのではなく、リスク管理、コスト効果、持続性、技術革新などの観点から総合的なアプローチを考慮しつつ、目標は完璧な品質を追求することではなく、持続的な品質向上と顧客先との連携だと思います。ここでの事例として、品質問題をゼロエラーに取組むことに先駆けて行うことは、できること、できないことの切り分けを取引先とすり合わせすることで、解のない仕事を減らすことができると思います。