戯曲『白血球ライダー2000』予告編
※ 惑星ピスタチオ『白血球ライダー2000』の予告編のための台本です。
※ この予告編は、惑星ピスタチオ『ショート・カッツvol.1』(1999年)にて上演されました。
#001 セルショッカーの改造室。
手術音と心音の中。
シロー(声)「うう……はずせ…」
残酷な細胞核改造手術が進行する。
心音が乱れる。
垂直の手術台につながれたシロー・シロガネ(改造前のライダー)。
心音は、化け物じみた轟音に変わっている。
シロー 「このいまいましい鎖を……はずしやがれ!」
#002 肝臓工業地帯/動脈ハイウエイ
免疫警察のパトカー軍団が砂煙あげて走る。
地平線の巨大プラント群に、
セルショッカーの戦闘員が数万人群がっている。
JB刑事 「肝臓シティ重力側。第2第3グリコーゲンプラントに、バクテリア犯罪者群が侵入」
ギャリソン隊長 「免疫警察機動白血球部隊、酵素銃の使用を許可!」
機動白血球たち 「ラジャー!」
突入してゆく隊員たち。
ナレーション 「誰の体内とも知れぬ──」
#003 動脈4022号線プラントトンネル
カスタム酸素バイクで疾走するシロー・シロガネ。
ナレーション 「──人体の小宇宙で──」
#004 肝臓シティのプラント
プラントは凄まじい戦場となっている。
血(細胞液)が飛び散る。
パール刑事 「うわああああ!」
ドルビー警部補 「ぎゃああああ!」
ギャリソン隊長 「本署に援軍を要請! 犯罪者群の規模がT司令の情報と違う!」
パール刑事 「マクロファージタンク隊はまだか! 酵素銃が効かん!」
戦闘員たちの10倍ほど巨大な体格をもつ、肺ゲルゲが現れる。
怪人肺ゲルゲ 「ハイハイハイハイ……(ヤマモト刑事を食う)。オレは右肺と左肺だけでは満足しないハイ。肝臓も食ってもっとハイになってやる!」
ナレーション 「──誰も知らない戦いが巻き起こる!」
肺ゲルゲの背後、トンネルをやぶって、
シローのバイクが宙に飛び上がる。
シロー 「(バイク上で変身ポーズ)烈!」
ナレーション 「奴らに対抗できるのは」
#005 免疫警察本署司令室
JB刑事 「機動白血球隊、全滅します」
ライアン主任 「馬鹿な…免疫バンクにデータがないDNAが存在するなんて」
JB刑事 「逃げてください、主任!」
ライアン主任 「…世界が終わるぞ」
#006 肝臓シティのプラント上空→地上
シロー 「(ポーズ続き)核!」
ナレーション 「彼しかいない!」
シローがライダーに烈核変身。
体の中心にある銀色の細胞核に亀裂が入り、
火花とともに砕け散る。
銀色の核が液状化して全身に浸透してゆく。
ライダー 「うおおおおおおおおおおお!」
飛来したライダーのパンチ一撃で、肺ゲルゲの体が超膨張。
肺ゲルゲ「ハイハイハイィィィィィィ!(爆発)」
戦闘員たちも巻き込まれて木っ端微塵。
#007 マクロファージタンク車内
狭苦しい中で操縦する脳細胞のノンレム双子姉妹とJB刑事。
ノンレム姉妹 「彼はもはや病原体以上の化け物よ。化け物に宇宙の命運を託すの?」
JB刑事「元は白血球だ、友達だったんだ」
#008 脊髄電流地帯
ライダー 「うおおおおおお!」
電流の中を駆け抜けながら、敵をなぎ倒してゆくライダー。
ナレーション 「白血球の能力とバクテリアのパワーを併せ持つ、未知のヒーロー」
#009 大腸鉱脈のセルショッカー基地深部
怪人脳ゲルゲが、触手をうねらせる。
怪人脳ゲルゲ 「いでよ、ニューロン!」
脳ゲルゲの眉間を割って、小さなニューロンの大群が群がり出る。
ライダー 「いけ、リボゾーム!」
ライダーが投げたカプセルからリボゾームの大群が群がり出て、
ニューロンを迎撃。
ナレーション 「恐怖」
#011 脳関平原
石灰化した脳細胞市民の細胞を分析しているコユキ刑事。
コユキ刑事 「なんてこと、セルショッカーはウィルスでもバクテリアでもないんだ! 急いで知らせ……うぎゃあああああ!(何者かに襲われた)」
ナレーション 「謎」
#012 膵臓海岸の絶壁
戦って絶壁から落下するJB刑事とライダー。空中で組み合いつつ、
JB刑事 「思い出せ、白の細胞核を持っていた頃を」
ライダー 「お前も新陳代謝させてやるぜ!」
ナレーション 「復讐」
#013 心臓タワーダム最上階
ガーン大帝 「ふはははは……来たな、ライダー」
ライダー 「(空に向かって、信じがたい高度をジャンプしつつ)ガアアアアアアアン!」
崩れ行く心臓タワーダムの粉塵流が、
津波となって心臓市民の街を破壊してゆく。
細胞市民たち「(逃げ惑う)うわああああああ」
グレンダ警視「ワシが止める!」
ギャリソン隊長 「(満身創痍)総力戦だ」
グレンダ警視 「市民を死なせるな」
ナレーション 「迫りくる崩壊の序曲」
ガーン大帝にパンチを放つが、自分の拳が粉砕してしまうライダー。
よろめくライダーの胸に、ガーンの触手が突き刺さる。
ナレーション 「世界を手にするのは、我々か? 彼らか?」
ライダー 「うおおおおおお!」
ナレーション 「惑星ピスタチオが世紀末に贈る、前代未聞のスーパー・ヒーロー・SFX・アドベンチャー」
ライダー 「ライダ----------------------!」
JB刑事 「(瀕死)お前は化け物じゃない」
ライダー 「パ-------------------------ンチ!」
ナレーション 「白血球ライダー2000。いつの日か公開」
SE:ものすごい爆発音。
END