『日本製鉄㈱の転生』に書かれていること

昨日、東海市中央図書館にリクエストしてから2ヶ月が過ぎて、ようやく借りることができました。リクエストする時、書店で立ち読みをしており、概要は知っていた。転生をリードしたのは橋本社長(当時)だと書いてあり、現場重視主義で各製鉄所巡りをして、課題抽出に励んだようです。財務体質にメスを入れ、持ち株解消で手にした1兆円もの利益に社内は浮かれていたようです。何故か名古屋製鉄所に大きな課題ありと判断されて、足繫く通ったと書いてありました。私が橋本社長や本社リスク相談室に名古屋製鉄所の懸念情報を提示していた効果があったのかな??
橋本社長は日本製鉄㈱の弱点は「供給過剰と高コスト体質にあり」と判断して生産設備の大リストラを強行することを決した。製鉄業のシンボルである高炉は15基から10基に削減するとしたが名古屋はゼロ基で済んだが、厚板工場閉鎖により新熱延建設⇒安定操業へのドライブがかかった。

東海市への影響とは?


東海市内で降下ばいじん対策を訴えている人にとっては高炉削減ゼロ基は希望を挫く計画です。大型電気炉導入については建設する用地と言えば、閉鎖が決まった厚板工場の敷地しかない。物流を考えると実現不能でしょうか?

トヨタとの関係は?


と言ってもトヨタの影響は無視できず、新熱延ラインの建設による超ハイテン鋼板製造でトヨタに鋼板の値上げを迫る作戦をとったようです。
過去には溶融亜鉛メッキでは深絞りプレスをすると亜鉛の剥離が生じるので電気亜鉛メッキライン新設で対応するも価格が据え置かれてしまった嫌な記憶もあるが。
粗鋼ベースで600万㌧/年を生産するには高炉2基は必須で、まだ海のモノとも山のモノともつかない大型電炉化に二の足を踏んでいるようですね。電炉の技術を得るために山陽特殊鋼の協力を仰いでいるが。

低炭素製鉄所に生まれ変わるには

政府のエネルギー基本計画では我が国の水素ガスの必要量は2,000万㎥N超でに日本製鉄㈱は800~900万㌧と試算されているが水素価格が40円/㎥Nから8円/㎥Nに低減しなくては絵に描いた餅になります。新日鉄時代に副生ガスの付加価値アップを検討するもほぼ全滅ですね。唯一残ったのは名古屋製鉄所の冷延鋼板の熱処理炉用の雰囲気ガス製造設備です。液化アンモニアを購入し、電熱ヒータで水素と窒素に分解していた。コークス炉ガス中の水素をPSAで分離回収して雰囲気ガスの原料にしている。
高炉には水素ガスを1,000℃に加熱後,吹き込む実験でCO2を22%削減したとプレスリリースしている。水素の安全な加熱温度は750℃とされており、この実験が吉と出るか凶と出るかは暫くウォッチングが必要ですね。高温環境課では鋼材の水素脆化が心配ですね。
今は高炉を中心にした話題だけですが熱延や冷延の加熱炉や熱処理炉の脱炭素化のために水素燃焼やアンモニア燃焼は安全なのか???

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