昨晩の「映像の世紀」は中内功と堤清二の生き様でした
中内氏は大阪府下の小さな薬局を出発点にし、商品を安く消費者に届けることに邁進にしてダイエーの店舗を日本の全都道府県に開設した。その勢いはとどまることを知らず「カリスマ経営者」として一世を風靡した。ダイエーは松下電器産業と家電品の価格競争で優位にあった松下に低価格戦争を仕掛けた。松下電器は創業者の松下幸之助の考えに従いメーカーも販売店も購入者も幸せになると言う家族経営主義を標榜していた。そこに中内氏は「松下の値段が高過ぎる。価格を下げればもっと売れる」と考えて大量仕入れ等で販売価格を引き下げた。当時の日本は国民所得が増え始めたばかりで松下等が始めた割賦販売でテレビ、洗濯機等の家電品を手にしていた。
ちょうど、その時に製造業は重厚長大産業が各地に土地を買い漁り、土地投機ブームが起きた。ダイエーも保有している土地の値上がりで含み資産(バブル)が膨らみ続けた弊害に気付かずに「行け行け、どんどん」と暴走した。究極はプロ野球球団の買収と開閉式ドーム球場の建設です。バブルが弾けると含み資産が不良債権化して、本業のダイエーも営業不振に陥った。
当時の中内氏のインタビューで「以前は我々が消費者のニーズを掘り起こしていた。今は消費者が何を求めているか分からない」としみじみと話していた。
日本の政治家もダイエーと同じと感じる
大平洋戦争に敗れ、海外からの引揚者を引き受けるも産業は疲弊して餓死者も出るルンペン国家になっていた。とにかく、今日の食事に事欠く有様であったようだったので、池田勇人総理の『所得倍増計画』に国民が飛びついた。この『物が増えれば幸せだ』と言う考えは戦争に勝つためには「贅沢は敵だ」と云うスローガンのもと日用品の欠乏に堪えて来た国民感情の裏返しです。中内氏の「一円でも安く。洩れなく供給する」という考えは「節約は美徳だ」と言う日本人の精神構造すら変えてしまった。
NHKの番組である噺家の猫の額ほどの土地が1億円を超え、記者が噺家に「一億円の資産を持てた気分は❓」と間の抜けた質問のぶつけていた。噺家は家屋を売って金を得るという意識がないので「一億円を超えたと言ってもね?」とかみ合わない会話をしていた。
次にセゾングループの堤清二氏は「金儲け主義は先がない、文化の香りが必要だ」とデパートなどに美術館を設置することを始めた。最初は順調だったがバブルの泡にまみれて、兵庫県の尼崎に作った「ツカシン」が足を引っ張った。
自然災害王国ニッポンはどこへ行く!!
小売業の雄であったダイエーは阪神淡路大震災で強烈なダメージを受けてしまった。これ以降、中越、東日本、熊本、能登などを襲った地震災害に適切な政策を政治家は施行せず、相変わらず東京一極集中が続いている。
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