ひきこもりがラジオのハガキ職人になって少しまともに生きれるようになった話 第1話

やる夫II板・やる夫スレヒロイン板で投下している「やる夫がラジオのハガキ職人になるようです」というAAで構成しているお話を文章化した物です。

元スレ

http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/12973/1424964041/


初めてこういう物を書くので、稚拙な部分が非常に目立つと思いますが、

しょうがねえなwwwと笑って頂けるとありがたいです。

あと気に入って頂けたら、最後に投げ銭設定にしたので、クリックして頂けるとこれまたありがたいです。


−−−−−


1995年。春。
神奈川県横浜市の郊外にある小学校の教室。


そこに小学5年生のぼくはいた。


新学期がと同時にクラス替えが行われ、そろそろ1ヶ月。
これから1年教室で生活していくクラスメイト達がどういう人達か、どういうグループが出来つつあるのか、
なんとなく把握し始めた。


クラスメイトは36人。
その中でも、「勉強が出来るグループ」、「スポーツが出来るグループ」、「外見が良いグループ」、「面白いこと言うグループ」。
これらの連中がクラスの中心になっていることがわかった。


ぼくはというと、どれにも当てはまらない。
努力すれば当てはまれたのかもしれないが、そんな自信もやる気も無かった。
でも、ぼくのいるクラスではどうやら平穏に生活していくには彼らとの交流は避けては通れない。
同時にちょっと面白いと思われたいし、友達も欲しいとも思っていたぼくは「面白いこと言うグループ」に目を付ける。
彼らにいじってもらうのだ。


幸い、ぼくは彼らにとっていじりやすい特徴を持っていた。
太っていたのである。
これまで太っていることで散々いじられてきた経験から、
特に面白いことを言うグループの中で他人を茶化して笑いを取ろうとするヤツには非常にいじりやすい物を持っているとぼくは思った。
また自分から太っていることを売りにしていくことで、笑いが起きるかもしれない。


平穏にクラスで生きていくため。ちょっと面白いヤツと思われるため。友達を作るため。
ぼくは太っているキャラ。デブキャラで売っていこうと心に決めた。

−−−−−

あれから半年が過ぎ、2学期に入っていた。


給食で残り物が出れば率先して食べ、体育の授業では足の遅さを面白いこと言うグループにいじってもらう。
クラスの外でもクラスメイトと遊ぶ際には、家を出る前にわざとカップラーメンを食べて、「カップラーメン食ってきた!」と言って、笑いを取る。
その努力と呼んでいいのかわからないもののおかげで、ぼくはデブキャラとしてクラスで生活していた。
無事、平穏に生きて、ちょっと面白いヤツと思われるようにはなった。


だが、この生活を続けていて、気付いた。
すんげーむなしいのである。
なぜ、むなさしさを感じたか。
面白いこと言うグループにただいじられてるだけの存在ということに気付いてしまったのである。


当初は何の不自由も無く生活出来ると思っていた。
でも、次第に面白いこと言うヤツグループの人間関係、自分への接し方みたいなものが見えてくる。
彼らとぼくは仲は悪くはないのだろう。ただ仲が良いとも言えない状態だった。


グループの中には壁は無い。が、ぼくになんというか越えられない壁があった。
こちらから越えることは出来なくて、向こうは自由にひょいひょいと登ってこれるような壁。
その壁をクラスで笑いを取りたい時、彼らが気持ち良くなりたい時に彼らが登ってくるのがわかる。
それがわかった時、ぼくはむなしさを感じた。

でも、このまま続ければ、なんとかなるかもしれない。
急に関係を壊していくのも大変だ。
そう思ったぼくは踏ん張り続けることにした。


-----


踏ん張り続ける生活はなかなか心にダメージを与えていく。
こんな時家族と笑って話をすれば癒しになったのかもしれないが、
仕事が忙しい父や病弱で寝ていることの多い母に10代、20代を満喫している姉達を見ていると、
話し掛ける気すら起きなかった。


1人、そっと部屋に閉じこもり、テレビをつける。
癒しはそこにあった。


−−−−−


当時、テレビはとても元気でパワーを感じていた。
特にバラエティ番組に出ている芸人さん達に。
さんま、たけし、タモリのBIG3にお笑い第三世代と呼ばれるウッチャンナンチャン、とんねるず、ダウンタウン。

この人達の繰り出す笑い。
それにぼくは面白さと癒しを感じていき、次第にハマっていったのである。
体に害の無い精神安定剤を手に入れた気がした。

学校から帰ると、テレビを付け、ひたすらを見る。
そんな生活を続けていく内に深夜番組の存在に気が付いた。

すっかりテレビの虜になっていたぼくは深夜番組も見始める。
普段見ているとゴールデンタイムとは違う攻めた姿勢のものから、マニアックなもの、そしてエッチなものまでが放送されていることに衝撃を受け、
ぼくはどんどんテレビ漬けの生活になっていく。
気が付けば夜更しするのが当たり前になり、寝不足で学校へ行かない日も出てきていた。


−−−−

そんなある日のこと。

いつものように深夜番組を見ようと夜中起きていた。
お目当ての番組を見ようとしてテレビを付けたが、まだ放送される時間では無かったようで、
まだいくらかの時間があった。

他に見たい番組も無く、退屈に感じたぼくは何か時間を潰せる物が無いか部屋を見回した。

最初に思い付いたのはゲームだが、ヘッドホンの音をしていてもコントローラーの音だったり、
プレイ中に興奮して、声を出してしまったら、家族を起こしてしまう。
夜更しはなんとなく黙認してもらっているが、これはマズイ。
なので、却下。

他はマンガ。勉強。うーん。どれもイマイチ、ピンと来ない。

他に何かないかと探している時にふとラジカセが目に止まった。
そういえばラジオって、この時間、何やってるんだろう?
ぼくはなぜかそのことが無性に気になったので、ヘッドホンを挿し込み、ラジオを聴いてみることにした。

当時のぼくのラジオのイメージといえば姉の彼氏さんの車でオシャレなBGMを流して、オシャレなトークをしてるもの。
父親の仕事場へ連れていってもらう際に交通情報や役立つ情報を教えてくれるものというイメージしか無かった。

そのため、あまり期待しないで聴き始めたのだが、
流れてきたのは…

「YUKIのオールナイトニッポン!」

というタイトルコール。

当時ブレイクし始めていたJUDYANDMARYのボーカル、YUKIさんの声が聴こえたのである。
今までのイメージとは違うものが流れてきて、非常に驚いてしまった。
だが、驚きはそれでは終わらなかった。


テレビで見ていたYUKIさんは可愛らしい人というイメージがあったが、
ラジオのYUKIさんはバンバン下ネタを言い、ボケたりする。
そのことに更に驚いてしまった。


またテレビ以上に伸び伸びと話をし、ラジオから伝わってくる空気がとても自由なのだ。
その感じにどんどん引き込まれる。
すっかりテレビのことなど忘れてしまった。
結局、放送終了まで聴いてしまい、その日は興奮して寝ることは出来ず、
寝不足なのを見抜かれた母親に休めと言われてしまった。

「ラジオって面白い。」


ぼくはテレビの次にラジオという強力な精神安定剤を見付けてしまった。

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