AV出演契約書に記載する事項
アダルトビデオの出演契約書に記載する事項について、AV新法4条3項が定めています。
条文にしたがい、以下の各記載が必要です。
①契約当事者
制作公表者および出演者の氏名または名称その他制作公表者および出演者を特定するために必要な事項(AV新法4条3項柱書前段)
「制作公表者」とは、性行為映像制作物の制作公表を行う者として、出演者との間で出演契約を締結し、または締結しようとする者をいいます(AV新法2条7項)。
AV新法の内閣府令4条1項3号との対比から、出演契約書の段階では、制作公表者の住所や電話番号の記載は必ずしも必要ではないと考えられます。
②契約日時と契約場所
当該出演契約の締結の日時および場所(AV新法4条3項柱書後段)
③アダルトビデオに出演すること
当該出演者が性行為映像制作物への出演をすること(AV新法4条3項1号)
④撮影日時と撮影場所
当該出演者の性行為映像制作物への出演に係る撮影を予定する日時および場所(AV新法4条3項2号)
⑤絡みの具体的内容
前号の撮影の対象となる当該出演者の性行為に係る姿態の具体的内容(AV新法4条3項3号)
「性行為」とは、性交若しくは性交類似行為または他人が人の露出された性器等(性器または肛門)を触る行為若しくは人が自己若しくは他人の露出された性器等を触る行為をいいます(AV新法2条1項)。
「性行為」を分解すると以下のとおりです。
性交
性交類似行為
他人が出演者の露出された性器等(性器または肛門)を触る行為
出演者が自己の露出された性器等を触る行為
出演者が他人の露出された性器等を触る行為
AV新法における「性行為」について、詳しくは「AV新法における「性行為」とは」をご参照ください。
⑥絡む相手を特定する事項
前号の性行為に係る姿態の相手方を特定するために必要な事項(AV新法4条3項4号)
⑦公表方法と公表期間
当該性行為映像制作物の公表の具体的方法および期間(AV新法4条3項5号)
公表の期間を「無期限」としても、AV新法上、刑事罰の罰則はありません。
なおAV新法附則4条2項では、法律の施行後2年以内に性行為映像制作物の公表期間の制限について検討を行うこととなっています。
⑧公表者
当該性行為映像制作物の公表を行う者が制作公表者以外の者であるときは、その旨および当該公表を行う者の氏名または名称その他当該公表を行う者を特定するために必要な事項(AV新法4条3項6号)
⑨報酬
当該出演者が受けるべき報酬の額および支払の時期(AV新法4条3項7号)
⑩ウェブサイト運営者の名称と国名
性行為映像制作物について頒布または上映を行う国名または地域名および公衆送信を行う国名または地域名(自動公衆送信装置(著作権法第2条第1項第9号の5イに規定する自動公衆送信装置をいう。)を用いる場合にあっては、当該自動公衆送信装置の設置者の氏名または名称および住所地の属する国名または地域名)(AV新法4条3項8号、内閣府令2条)
内閣府令2条は以下のとおりです。
内閣府男女共同参画局のホームページでは「自動公衆送信装置の設置者」について「ウェブサイト等を運営する者」と解説しています。
ウェブサイト運営者の名称と国名の記載例
FC2 「FC2 Inc. 米国」
X 「X Corp. 米国」
myfans「トクネコ株式会社 日本」
Fantia「株式会社虎の穴 日本」
XCREAM「株式会社クリーム 日本」