健康経営優良法人認定制度と今後

健康経営優良法人制度と今後

株式会社 アスパートナー
代表取締役 井口 忠二 様

当記事は、不動産会社を経営され健康経営に取り組まれている井口社長へのインタビュー記事の四記事目になります。
過去の記事をお読みになられていない方は、こちらからご覧ください。
一記事目「残業のない不動産会社。その秘訣について直撃
二記事目「IT活用による不動産業の健康経営
三記事目「常に従業員目線で考える


他に不動産業界で健康経営に取り組まれている方に会われることはありますでしょうか?

井口社長 - 今のところ、お会いする機会は少ないです。一方で、ホームページ上で健康経営という言葉はよく見かけるようになりました。人材採用のページなどでよく目にします。

不動産業界でも意識をされている企業は増えてきているのですね!嬉しいです。

井口社長 - とはいえ、その内容が気になります。社内で懇親会がある、フィットネスの会費を一部助成している、などの福利厚生が健康経営としていくつか列挙されているのです。
福利厚生の種類が多いことは素晴らしいことですが、単純に福利厚生の種類が多いだけでは健康経営とは呼べないと思うのです。

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なるほど。福利厚生=健康経営と考えている企業が多いのですね。

井口社長 - 福利厚生の種類がたくさんあったとして、それら全てを把握して使いこなしている従業員は多くないですよね。実際名ばかりでほとんど使われていない福利厚生も多くあるようです。内容を知らなかったり、仕組みが複雑で手軽に利用できないような取り組みは、従業員満足度には繋がりにくいと考えます。
そもそも、取り組み自体が、従業員の求めていないものである場合もあります。
つまり、健康経営を意識している会社は増えてきているように感じますが、従業員目線の健康経営を実施できている企業はまだまだ少ないように感じます。

健康経営という言葉だけが一人歩きしているような状態ですね。それは私も感じていて、そのような状況を解決するためにも、経済産業省の健康経営優良法人認定制度の活用をしていただきたいと思います。

健康経営優良法人認定制度とは
経済産業省にて特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を顕彰する制度
従業員 や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる企業」として社会的に評価を受けることができる

井口社長 - 健康経営優良法人制度の評価項目が、何をすべきかの指標になりますよね。
また、認定制度は優良な健康経営に取り組む法人を「見える化」することができるという意味ですばらしいですよね。健康経営の取り組みは、外部からは分かりにくいですから。
数値として成果が現れにくく、費用対効果が不明確なことから、関心はあっても中々投資し辛い企業が多いと思います。公的な認定制度による恩恵を受けられるので健康経営への投資ハードルが下がるのではないでしょうか。

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健康経営の進め方の指標にもなるので、御社のように既に取り組まれている企業だけではなく、何をすればいいか分からない方にこそ認定制度を活用してもらえると嬉しいなと思います。
御社では既に多くの取り組みをされていらっしゃいますが、今後力を入れていきたい取り組みはありますでしょうか?

井口社長 - 健康診断のメニューをもっと充実させたいと考えています。
企業として行う健康診断では、最低限必要な項目のみで、他は自己負担になっていることが多いと思います。従業員に合わせて、がん検診などの必要な項目を追加していきたいと考えております。


会社負担でがん検診まで受けられる会社はまだまだ少ないですし、従業員の方にとても喜んでいただけそうです。
こういった取り組みがもっと多くの企業に広まり、一般化していくといいですよね。
今後の健康経営の分野はどのようになっていくと思われますか?お考えを教えてください。

井口社長 - 今後少子高齢化により、従業員の確保はより難しくなるため、健康経営の重要性はさらに高まると考えています。
現状、健康経営の取り組みによって直接的なインセンティブはありませんが、今後、健康経営に取り組む企業に対してそのような公的な補助が出る可能性もあると考えています。
その際に認定の有無などは大きく影響してくると思いますので、認定制度の中でも特に、ブライド500の取得を目指していくべきだと考えます。

ブライト500とは
認定法人の中で、「健康経営優良法人の中でも優れた企業」かつ「地域において、健康経営の発信を行っている企業」として優良な上位500法人を認定する制度

そして、私たち健康経営に取り組む企業は、こういった取り組み事例を積極的に発信し、普及していくことも重要だと考えます。従業員目線の健康経営がより多くの企業で取り入れられることを願います。

まとめ

株式会社アスパートナーの井口社長に、健康経営について詳しく質問させていただき、4回にわたってご紹介させていただきました。
これまでの要点を最後にまとめさせていただきます。

健康経営は、従業員の心身の健康に向けた取り組みであり、従業員目線で施策を考えることが重要。密にコミュニケーションをとり、上がった声を迅速に施策に反映する。

そのまま反映するだけではうまくいかないケースもあるので、運用しながら柔軟に形を変えていく必要性がある。まずはすぐに実施してトライアンドエラーで対応することが重要。

健康経営の手段のひとつとして、RPAなどのIT技術の活用は有効。人でなくても良い作業をロボットに任せることで、業務時間の短縮、心的な負担を軽減できる。その人にしかできない仕事に集中してもらうことで一人当たりの生産性が高まる。

健康経営のつもりで採用した取り組みが従業員満足度につながっていない事例が多くある。
健康経営優良法人認定制度をうまく活用し、優良な健康経営を進めていく必要がある。

健康経営のご支援をすべき立場なのですが、取材を通して逆に私たちの方が気づかされたことが多くありました。
井口社長、貴重な実例をご紹介いただきありがとうございました!


本インタビュー記事は下記4部構成となっています。

【目次】
一記事目:残業のない不動産会社。その秘訣について直撃
二記事目:IT活用による不動産業の健康経営
三記事目:常に従業員目線で考える
四記事目:健康経営優良法人認定制度と今後

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