よい問いがよい意見を引き出す。問いを磨こう!
今年から始まったアートベンチャーエヒメというプロジェクトに、アートコミュニケータ(通称:ひめラー)として参加しています。
5月のオリエンテーションを皮切りに、全6回にわたる「基礎講座」でひめラーとして活動していくための基礎を学んでいます。
先日、第5回目の基礎講座「会議が変われば社会が変わる」が開催されました。
今回も備忘を兼ねて記録しておこうと思います。
それではどうぞ。
■第5回基礎講座の概要
第5回基礎講座の題名は「会議が変われば社会が変わる」で、会議のファシリテーションのやり方についての講座でした。
講師は、青木将幸さん。「青木将幸ファシリテーター事務所」の代表を務められ、会議のファシリテーターを生業にされています。
とてもユーモラスな方で、終始笑いに包まれた楽しい雰囲気の中で講座が進んでいきました。
青木さんが事務所を立ち上げたのは2003年、27歳のときでした。まだ日本に「ファシリテーション」という言葉がメジャーではなかった頃、アメリカで見て興味を持ったそうです。
人種も言葉も多種多様なアメリカのような国では、ファシリテーターが重要な役割を担っていました。
一方、日本という国はだいたい同じ人種で同じ社会通念のなかで暮らしてきたので、会議の進行役を外部の人に頼むということをやらずに済んできた背景があります。
けれど、社長と社員が参加する会議では、どうしても社長の意見に引っ張られてしまったり、「自由に発言せよ」と言われても様子を伺ってしまい、本当の意味での意見交換はできなかったりします。
そのことからも日本でも徐々にファシリテーターの重要性が広まってきました。
■会議をスムーズに進める技
いろんな立場や性格の人が集まる会議を有意義なもの(=自由に意見交換ができる)にするために、こんなやりかたがあるよ、というのを教えていただきました。
▶︎ お互いの様子を聞き合う(How are you?)
会議の前に「今日の気分はいかがですか?」といった感じで、お互いの様子を聞き合います。
気になっていたことや心配なことがあれば、ここで開示します。
「秘めてることが増えると、人は話さなくなる」そうで、どんな小さなことでも話しておくと、会議に集中できるようになります。
▶︎ 個人で書いてから集団で話し合う
会議の場では、よくしゃべる人:しゃべらない人=2:8 の割合になるそうです(働きアリの法則ですね)。
一部の人だけがたくさん発言して、残りの8割の人は意見を聞く方に回る。一度も発言せずに終わることも。
でも8割の人だって意見を持っていないわけではありません。
そこで、クリップボードを使ってまずは個人で意見を書く。それを見せ合いながら、次に集団で話す、という手法を取ります。
クリップボードに書くのは文字だけに限らず、「絵」も有効です。とくに、国際会議など異なる言語の人が介する場では、言葉が違っても通じる「絵」は非常に盛り上がるそうです。
人は、資料が配られると「お話を聞くモード」になりますが、個人で書くことで「発言するモード」にスイッチが入ります。そのため、このあとの時間で普段しゃべらない8割の人からも意見が出やすくなります。
▶︎ 苗木が大木に育つように他者の意見にかかわる
このような工夫で意見がたくさん出る雰囲気を作れたとしても、せっかく出した意見を否定されたりしたら、発言意欲を失ってしまいます。
講師の青木さんは「みんなの意見は苗木のようなもの」と表現されていました。苗木に水をやり、太陽の光に当て、大切に見守ることで、もしかしたら大木に育つかもしれません。
「実現できたらおもしろそうですね!」
そう言っていると、不思議と良い成長をしていく、とおっしゃっていました。
苗木を摘むような否定的な言葉はNGです。
■会議の4つの段階
会議にはどんなテーマにも共通の4つの段階があります。これさえわかっていればどんなテーマでも扱うことができるようになります。
ただし、すでに暗黙の了解のお作法が浸透しているような会議では(例えば、地域のおじいちゃんたちの会議など)必ずしもこのやり方が通用しない場合もあります。その土地のお作法を尊重して、様子を見て導入してく必要があります。
▶︎ 共有
「目的やテーマ」「参加者」「時間」などを共有します。
「ウォーミングアップ(アイスブレイク)」もここに含みます。
「目的やテーマ」は共有していないとただのお喋りになってしまいます。どんな人が集まっているかや終わりの時間について確認しておくことも大切です。
「共有無くして拡散無し」
共有がうまくいっていれば拡散は成功すると言われています。そのくらい共有は会議において大事なものになっています。
▶︎ 拡散
まずは質より量、アイデアをいろいろたくさん出す段階です。
広告代理店の人は「1000 3つ(せんみっつ)」と言って、「1000個アイデアを出したうちの3つ良いものがあればいい」という考えでとにかくアイデアを出しまくるそうです。
ここで大切なのが、「否定しないこと」「記録に残すこと」。
「発言に責任は取らなくていい」と伝えることで、意見が出しやすくなります。
▶︎ 混沌(カオス)
たくさん出た意見を、あーでもないこーでもないと揉む時間です。比較したり、分類したり、一番産みの苦しみを感じる時間でもあります。
するとそのうち参加者の中から分析がうまい人が現れて、「大まかにA,B,Cに分けられますね」などと意見を整理してくれて、次の収束へ向かいます。
▶︎ 収束
「予算」「人員」「スケジュール」「実現可能性」などを検討して、アクションリストに落としていく段階です。
会議は行動するためのもの。なので、具体的な行動リストを作れたらゴールです。
一回では収束まで至らなかったとしても、しっかり記録を残していき、次回へ繋げていくことが大切です。
■ミーティングの役割分担
ミーティングでの主な役割分担は3つです。
進行役
記録係
時計係
記録係は、専任の人を立ててもいいし、参加者各自でやってもOKです。
専任を立てれば、他の人は会議に集中すればいいので安心ですが、全部を記録しないといけないので大変です。
その場合は、自分の意見は自分で書いて、あとで回収するやり方もあります。付箋やスプレッドシート、オンライン会議ではチャットに書き込んでいくという方法もあります。
■「問い」を準備して会議に臨む
会議というと「資料」を準備して臨む印象がありますが、それより大事なのは「よい問い」を準備することです。
問いがあると答え(=発言)を出そうとします。
自分の意見や提案を持ってくるのも大事ですが、それと同じくらい、問いを持ってきて、みんなの意見を聞こうとする姿勢も大事です。
プロのファシリテーターは「問いの100本ノック」として、あらゆる角度から問いを出しまくる訓練をするそうです。
「問いを磨く」ことによって、会議の質がアップします。
■【実践】10分間のミニ会議
基礎講座の後半では、5〜6人のグループに分かれ、役割を交代しながら10分間のミニ会議を行いました。
テーマは「アートコミュニケータとして扱ってみたいテーマや切り口は?」というもの。
私自身は、愛媛に移住してきて感動した四季の移り変わりの美しさを、「柿畑」を切り口にしてなにか伝えられないかな。。。と思っています。
そこで、「ただの田舎の柿畑に興味をもってもらうには、どんな仕掛けがあるといいか?」という問いを立て、皆さんの意見を伺いました。
「写真で伝える」って意見が最初に出たのですが、盲点でした。私、フォトグラファーなのに。。。車で移動しながら「柿畑、美しいな〜」と思うことが多いので、わざわざ立ち止まって写真撮ってなかったなと。さっそくこの夏からやってみようと思います。
こんな感じで、メンバーそれぞれのテーマについて順番に意見を出していきました。
まずは「問い」が決まらないと意見の出しようがないことに気付いたり、出た意見から話が派生して「問い」からずれることもしばしば起こることもわかりました。
また、記録の仕方も工夫のしがいがありました。
マジックで書くことで視認性が高まりみんなで共有しやすかったり、問いと答えで色分けしたり、文字だけでなくイラストを使ったり、付箋を使ったり。「記録はみんなのため」「ささいなことも書く」というのもポイントだと思いました。
■まとめ
よい会議というのは、みんなが意見を出しやすい会議
会議の4つの段階「共有」「拡散」「混沌」「収束」
意見を出しやすくするためには「共有」の時間が不可欠
よい問いがよい意見を引き出す(問いを磨こう!)
会議の記録はみんなのためにする
普段の仕事でも活かしていけそうな学びがたくさんありました。
毎度毎度長くなってしまいがちですが、ここまで読んでくださりありがとうございました😊