田んぼを吹き抜ける風に秋を感じる
私が田んぼを歩くことが好きなのは、いろいろな生きもたちに会えることですが、それと同時に季節を感じることができるからです。
まだ、ニュースでは夏の情報が多いようですが、田んぼを吹き抜ける風は、すでに秋の気配を伝えてくれています。
心地よい風が吹くようになってきました。
さらに雲をみることが好きな私は、雲の表情をながめています。
雲にも、少しだけ秋の気配がでてきています。
高いところにうろこ雲のような模様が、わずかですがでてきました。
きれいなうろこ雲がみえるようになると、本格的な秋が近づいてきます。
私にとって田んぼは、そんな季節の移り変わりを感じることができる大切なところです。
家にいると季節の変化がわかりにくいものです。
冷房が効いた部屋にいることも多く、自然の移り変わりを感じることが少なく、その点、さえぎるものがない田んぼは、季節感を味わえるすばらしい場所でしょうか。
秋の風は爽やかで、田んぼを歩くにはもってこいかもわかりません。
蝶やハチ、トンボなどがたくさん飛んでいます。
虫のさえずりも聞こえてきます。
ヒガンバナが咲く畔は、田んぼがにわかに庭園なったように感じることもあり、稲刈り後の無表情になった田んぼとのコントラストを楽しめます。
これから田んぼは、稲がなくなって土だけになってしまいますが、それでも野鳥たちが田んぼへやってきてえさになるものをみつけて、集団でついばんでいたりします。
少し離れたところですが、白鳥が飛来するところがあり、田んぼのいたるところで白鳥たちは羽を休めています。
田んぼは人間だけでなく、多くの生きものたちにとって大切な場所なのです。
真冬は寒風が吹き抜けていく厳しい場所ですが、その寒風を浴びることも人間にとって大事なことでしょうか。
わずかな時間ですが、自然の厳しさを体で感じることができるからです。
冬の田んぼの朝、雑草は霜で真っ白くなり光輝いています。
霜は日差しがでてくると徐々に溶け出し、瑞々しい葉っぱにかえっていきます。
田んぼは表情がないようで、季節によってその顔を変化させてくれます。
雲の表情や空をみることが好きな私にとって田んぼは、空全体をながめることができる絶好の場所です。
季節の移り変わりを知ることができる雲の姿があります。
真冬は、寒風が吹き抜けるのですが、雲ひとつない青空がみれます。
ぬけるような青空をみてひとりで感動するのです。
春になれば暖か風になり、空は霞がかかった表情になってきます。
夏は入道雲、秋のうろこ雲。
雲は季節とともに、刻々と姿をかえていく生きものにみてきます。
そのすべてが、自然の贈り物なのです。
田んぼとは、なんと不思議な場所でしょうか。
湖になる瞬間、稲の生長、生きものたちとの出会い、吹き抜ける風、雲の表情、空の色、土にかえるとき、そのすべてが、私にはとても魅力的なところです。
田んぼにいると、身近な自然を体いっぱいに感じることができるからでしょう。
今日も田んぼは表情をかえていくでしょう。
人も日々表情豊かに生きていたいものです。