【森友哉・坂倉将吾の育成過程から考える】ヤクルト・内山壮真の育成方針について
2024年、内山壮真をどのように起用していくか、ファンの皆さんも関心がある話題なのではないでしょうか?
捕手というポジションの性格上、打撃と守備の両方を一軍レギュラークラスに育てる上げるのは、どこの球団も苦労しており、時間を要します。また、ヤクルトには、世界一の捕手・中村悠平が在籍しています。勝負の世界である以上、勝つためには中村を起用するのが最善手であり、内山に週1程度しかスタメンマスクの機会を割けないのが現状となっています。
ここでは、現在、強打の捕手として活躍している森友哉(オリックス)、坂倉将吾(広島)の正捕手定着までの育成過程と比較し、内山の育成方針を考えていきたいと思います。
森、坂倉を比較対象に選んだ理由として、打撃が魅力であること、高卒選手であること、チームメイトに代表クラスの捕手がいたことなど、内山との共通点が多い上、現在は捕手に定着し、強打者として活躍しています。内山の育成方針を考察する上で、非常に参考になると考えたからです。
結論
先に当記事の結論を。
・森、坂倉の正捕手完全定着は、それぞれ高卒6年目、高卒7年目。両選手ともに炭谷銀仁朗、曾澤翼といった日本代表クラスの捕手がチームメイトにおり、捕手とは別のポジションで出場機会を確保しながらの育成となった。
・内山は、中村悠平の存在がありながらも、一軍での打席機会、守備(捕手)機会ともに上手く割り当てられている。
・このまま捕手と他ポジションで出場機会を確保しながら、しかるべき時に正捕手奪取する。(個人的な見解)
坂倉将吾
2016年ドラフト4位で広島に入団し、高卒1年目は二軍で修行。同年は、ファームで99試合の出場(うち捕手では50試合)で打率.298、1本塁打と良好な数字を残しました。高卒2年目も二軍を主戦場とし、58試合、打率.329、4本塁打、OPS.919と打撃面は文句なしの成績を記録しました。
高卒3年目から一軍での出場機会を増やしていくことになりますが、曾澤翼や石原義幸の存在もあって外野での出場がメインとなり、捕手の出場は3試合にとどまります。高卒4年目は81試合に出場し、打率.287、3本塁打、26打点の好成績。會澤に次ぐ2番手捕手として47試合に先発出場しました。
高卒5年目はさらに出場機会を得るべく、一塁がメインに。6年目は三塁や一塁がメインの起用となりました。そして、曾澤が35歳を迎え、衰えが見え始めた7年目の2023年、正捕手への完全定着に至りました。
森友哉
高卒1年目から、打率.275、6本塁打と打撃は一軍レベルにあり、高卒2年目は指名打者(たまに外野)として一軍のレギュラーに定着しました。炭谷銀仁朗の存在もあり、その後も指名打者や外野がメインの出場が続いていましたが、高卒5年目に捕手として出場を増やしました。そして、炭谷がFA移籍した高卒6年目の2019年、完全に正捕手の座をものにしました。
内山壮真
高卒1年目は、メインは二軍で、一軍では代打の6打席のみとなりました。高卒2年目は、中村悠平が開幕に出遅れたこともあり、出場機会を大きく増やしました。高卒3年目の2023年は、外野に挑戦。中村、古賀優大の存在もあり、捕手としての出場数は落としましたが、外野に挑戦したことで打席数は前年よりも多く確保することができました。
まとめ
坂倉、森ともに、内山同様に捕手とは別のポジションで出場機会を確保しながら、キャリアを歩んでいきました。そして、曾澤、炭谷の成績が低下し始めたタイミングで正捕手を掴んでいます。このように他球団の事例から考えると、外野手として打席の機会を確保し、たまに第2スタメンマスクを被るという方針は、悪くない路線だと考えられます。また、3年目までの坂倉と比較すると、内山は良い過程を歩んでいるように映ります。
考えたくはありませんが、中村のパフォーマンスが低下し始めたタイミングで正捕手を奪えるように、現在は攻守レベルアップを図っていく段階になるでしょう。
参考文献
・NPB公式