こんな時だからこそ 人生会議
みなさん、こんにちは。看護師E.です。
さてみなさん、いきなりですが、こちらのポスターはご存じですか??
画像は厚労省より(現在は削除)
公開1日で大炎上をし発送中止になったものです。
私はインターネットで話題になっていたことで、こちらのポスターを知りました。
常日頃患者さんの”死”について考える、私たち医療者。
私にいたっては患者さんを通して自分の家族の”死”、そして自分の”死”についても考えて、常に勉強させてもらっています。
死にゆく人のケアって、今まではガン看護がメジャーだったけど、今は集中治療医学会でも循環器医学会(この辺しか私は勉強していない領域だから…)でもかなりトピックになっています。
私「やっと一般の人にも考えてもらう機会ができたじゃーん!厚生労働省おっそーい!けどナイス~✨」
って思った矢先、1日で中止。
それに至ったのは、がん患者団体が抗議をし、それに色々な人が賛同したからです。
なぜ中止になったのか
今は削除されていて抗議文は見ることができませんが、ネットで検索すると出てきます。
「がん=死」を連想させるようなデザインだけでもナンセンスだと思いますが、このような強い後悔を感じさせる恐怖感を与えることで本当に「人生会議」をしようと思うのでしょうか?
団体のある方は他の取材で
「病院で死ぬ人を見たことがあるのでしょうか? 家族は大事な人の死を受け止めるのに必死で、患者さんに声をかけ、足をさすって必死になっている時間です。最後の大事な時を茶化されているようで不快です」
「これを目にする治療に苦慮する患者さんや残された時間がそう長くないと感じている患者さんの気持ちを考えましたか?」
とも語っています。
それを受け、厚生労働省の謝罪がこうです。
「この度、『人生会議』の普及・啓発のため、PRポスターを公開したところですが、患者団体の方々等から、患者や遺族を傷つける内容であるといったご意見を頂戴しております。厚生労働省としましては、こうしたご意見を真摯に受け止め、掲載を停止させていただき、改めて、普及・啓発の進め方を検討させていただきます」
さて、皆さんがこのポスターをみて感じることはどんなことでしょうか?
そもそも自分の人生について、死ぬまでを考える必要がある なぜならみんな死に向かっているからだ
人間、世界共通で平等に与えられた経験の一つ、死ぬこと。
早かれ遅かれ、私たちは生まれた瞬間から死にむかっています。
このnoteを見てくれてる方、どくらいの人が”死”について考えたことがあるだろう。
私は病院で働き10年数カ月。
多くの亡くなる患者さんをみてきました。
今は特に後述するACP(Advance Care Planning :アドバンス ケア プランニング)を推奨されており”患者さんが望むままに治療を選択し、治療を受け患者さんらしく生きて死を迎えるには”を常に考えながら働いています。
ACP。馴染みのない言葉ですよね、きっと。
では終活って言葉は聞いたことはありませんか?
終活とは
完全にWikipediaからの抜粋です。
これもACPだと思うんです。
うちの祖母も健在でゴルフなんかしていますが、しっかり自分のお葬式のプランを立て、死に備えています。
そして万が一のときに、どうするのかのエンディングノート書いてあり、家族で把握しています。
ACPとは 例えばの話
東京都医師会のホームページはわかりやすいです。そしてここに記載ある”心づもり”って良い言葉ですね。
このホームページには高齢者のことが書いてありますが、私は年齢なんて関係なく、何も病気をしたことがない若い人にも必要だと思っています。
もし皆さんに
「あなたの配偶者が倒れた。〇〇病院に搬送された」
という連絡が来て病院に行ってみたら、意識のない、しゃべれない状態だったら…
皆さんは、皆さんの配偶者本人の代わりに治療の意思決定(=代理意思決定)をしなければなりません。
まず、旦那さん、もしくは奥さんが倒れた。どうしようとパニック。目の前の意識のない配偶者、悲しい。
すぐに医療者から説明がされるが、悲しくパニック状態、尚且つ、その説明は医療用語もあり難しく、理解ができない。
そんな中医療者に「旦那様(奥様)は元気な時にこういう治療はやだ…例えば『自分の意識がないまま人工呼吸器につながれて生きるのは嫌だ』とか『機械につながれてもなんとしてでも生きたい』とか言っていましたか?旦那様(奥様)だったら、どういう治療を選択されますか?」と代理意思決定を求められる…
今まで何度も私が医療者側として経験してきたことです。
これは身体の病気で意思決定ができない事例ですが、自分で判断能力が低下してしまう認知症にも言えることです。
(※若年性認知症って病気もあって、日本で一番若い人の症例は19歳です)
そして、今はcovid19に罹患して残念ながら急変してしまった人にも言えることです。
世の中には思わぬ事故もあります。
…そう思うと、早いうちから考えておいて損はないですよね。いつでも考えは変えられますし。
話は戻してポスターの是非
まず、私は上記ポスターをみて、がん患者さんを指しているとは思わなかったのが、正直なところ…。
しかし、実際傷ついた人がいるのも事実でしょう。
芸人さんを起用しているのも「若い世代にも知ってほしい」という厚生労働省の思惑なのではないかと推測もできる。
”死を連想させる”
って苦情も来たようだが、
「死を連想させて、死を考えさせるのがACPじゃないか。。。?」
って私は思います。
しかし、結構コミカルな印象を受けるのも確かで。
若い世代が集まるところや、健康な人が集まるところに掲示するのはありかな~と思いますが、やっぱり病院、高齢者施設などには貼りにくいですよね。
前述した団体の方が言っておられる主張もわかります。
まとめ
今回、炎上というかたちでしたが話題になったことは確かです。
これを機にACPについて考え、自分の人生が自分らしく過ごせるように、大切な人の人生が大切は人の人生らしく過ごせるよう、話あってみてはいかがでしょうか?
卵巣がん体験者の会 スマイリー (2020年7月31日 閲覧)
厚生労働省ホームページ (2020年8月1日 閲覧)
東京都医師会ホームページ(2020年7月31日 閲覧)
NHKホームページ (2020年7月31日 閲覧)←お世話になっている市川さんが書いておられてて、私なんかよりめちゃくちゃまとまっていてわかりやすいです。
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