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建設業経理士1級 受験科目の特徴と選び方

(2023/9/13 更新)
元々の記事が2023年9月試験の申込締切前を前提にした書き方になっていましたが、締切に関係なく受験をお考えの方に読んでいただきたい記事なので、内容を一部修正いたしました。


建設業経理士1級の受験をお考えの方にとって悩ましいのが、「1級の科目選び」ではないでしょうか。
いずれ3科目すべて受験しなければならないのですが、どの科目から勉強するのがよいのか、2科目受験しようと考えた場合にどの組合せがよいのか、迷っていてこの記事に辿り着いた方もいらっしゃるかもしれません。

1級3科目の選び方については、YouTubeで配信しているWEB講座の無料説明会で詳しく解説しているので、よろしければそちらをご覧頂きたいのですが、noteでもそれぞれの科目の特徴、特に受験生目線での特徴について簡単にまとめておきたいと思います。

3科目それぞれの出題内容

まずは、3科目それぞれの出題内容と配点について確認してみましょう。そこからも特徴が見えてきます。

※最近は原価計算の配点がコロコロと変わっているのが悩ましいところです。

1級になると、全科目で必ず第1問に20点分の論述問題が出題されます。
それにとどまらず、科目によって差はありますが、いわゆる理論問題(電卓を使わない問題)の比重が2級と比べて一気に増えます。
財務諸表に至っては、100点満点中50点分を理論問題が占めることになるため、理論的な理解が不可欠となります。
2級の時のように「とにかく問題を解きまくる」という対策が難しいのが理論問題の特徴ですから、その割合を意識することが科目選びのポイントとなります。

各科目の学習の特徴

前述のような科目ごとの出題内容を踏まえて、以下の3つの角度から各科目の特徴を紐解いていくと、自分に合った科目が選びやすくなります。

  • 理論・計算どちらを重視?

  • 必要な総勉強時間(試験範囲)

  • 必要な勉強時間のタイプ

理論・計算どちらを重視?

まずは、「理論・計算のどちらを重視するか?」で3科目の特徴をイメージ図に示すと上記のような形となります。
財務諸表は理論重視、原価計算は計算重視の出題傾向であるため、計算問題が性に合っているという人は原価計算が向いていると言えるでしょう。
なお、財務分析は分析比率の公式を覚えて計算するイメージが強いのですが、100点満点中45点分が理論的な理解を問われる問題になっているため、受験生が思っている以上に理論的な理解が重視されます。

必要な総勉強時間(試験範囲)

次に、必要な勉強時間、つまり試験範囲です。
試験範囲の広さだけでいえば、財務諸表が最も広く、財務分析が最も狭く、原価計算はやや広いといったところでしょうか。
ただし、財務分析の試験範囲を理解するには財務諸表で学ぶ内容が前提になる部分も多いため、試験範囲の広さだけでいきなり財務分析を選んでしまうと苦労する恐れがありますから、注意しましょう。

必要な勉強時間のタイプ

そして、意外と見過ごされがちなのが「必要な勉強な時間のタイプ」です。
勉強というと、どうしても机に向かってガッツリ勉強するイメージが強いものですが、社会人になるとそんな時間を確保するのは困難になります。
そのため、どうしても通勤中や出先であったり、数分~十数分の空き時間も有効活用する必要がでてきます。

その観点で各科目を見ていくと、原価計算は机に向かってじっくり勉強する時間をかなり確保しなければならないのに対し、財務諸表は計算不要な理論問題の比重が大きい分、移動中などのいわゆるスキマ時間での学習が効果を発揮する科目です。
したがって、コツコツとスキマ時間を積み重ねて学習できるという方は、意外にも試験範囲が広い財務諸表が一番対策しやすいという可能性も考えられます。
なお、財務分析は計算問題の練習にそれなりの時間を確保しなければならないため、(原価計算ほどではないにしても)じっくりと勉強する時間が必要であると考えておきましょう。

科目の選び方のポイント

科目選びの大原則

受験科目を選ぶ場合、とにかく考えて欲しいのは「自分にとって最も相性が良いのはどの科目なのか」という点です。
そして、最も相性の良い(と思われる科目)から受験していくのが大原則です。

ここでいう相性とは「得意な科目」という側面だけでなく、「興味がある内容」であったり「今の仕事に関係する内容」といった側面も含みます。

理由は第1問の論述にあります。

建設業経理士1級の試験では必ず論述問題が第1問で出題されますが、多くの受験生はこの論述問題で苦戦を強いられます。
ただ、論述問題の採点は受験生の方が思っているほど厳しいものではなく、1科目合格できれば、「この感じで論述問題の対策をすれば合格できるんだ」という手応えが得られるはずです。

この手応えを得るのに、苦手意識があったり仕事に関係ない“相性の悪い科目”である必要はありません。
逆に、相性のいい科目でいい意味での「論述問題の手加減」を知ることができれば、その手応えを他の科目に応用できるはずなので、3科目の合格がグンと早くなるはずです。

ですから、論述問題のことを考えると、とにかく相性の良い科目から優先的に選ぶことが最善策といえるのです。

ただ、それぞれの科目がどんな内容なのかが分からないまま相性を考える訳にもいかないので、上述の勉強面からみた特徴以外の各科目の特徴を以下に簡単にまとめておきます。

各科目の特徴

【財務諸表】
・2級の第1問・第2問・第5問の発展形
・第5問は必ず精算表(2級の第5問と同じ形)
・理論的な理解を要する出題が多い
・最も建設業の色が薄いので、他の簿記検定から移ってきた方や、建設業界にいない方にはとっつきやすい

【財務分析】
・1級で初めて学習する内容が非常に多い
・日商簿記や全商簿記など、他の簿記検定などでも触れていない内容が多い
・「決算書の読み方」などで自己資本比率やROEなどの学習をしてきた方にはとっつきやすいかもしれない
・ただし、建設業ならではの公式の変形も多い点に注意が必要。
・3科目の中で最もパターンに当てはめた解答がしやすい科目
・財務諸表の知識がある程度必要

【原価計算】
・2級の第3問・第4問の発展形
・3科目の中で最も理論の比重が軽い
・計算問題の比重が大きく、計算量も3科目の中で最も多い
・パターンではなく思考力や判断力を問う問題が多い
・方程式など中学校レベルの数学の知識が必要な場面がある

それぞれの科目の特徴を簡単にまとめてみましたので、こういった特徴とご自身の2級での経験や今のお仕事との関連性などを踏まえつつ、受験科目を選んでみてはいかがでしょうか。


非常にざっくりとしたイメージなので、もっと詳しく知りたいという方は、ぜひともネットスクールの公式YouTubeチャンネルにある無料説明会の切り抜き動画もぜひご覧ください。


なお、機会があればまた別の記事でご紹介したいのですが、私が講師を担当するネットスクールのWEB講座では、第1問の論述問題対策もしっかり行っています。
受験申込みが終わった後でも構いませんので、よろしければこちらの受講もご検討ください。