起業家インタビューvol.3 - Raindrop代表代表 Thyda
N's baseは、カンボジアの社会課題をビジネスで解決しようと取り組まれている4人の社会起業家の方々の商品を販売しています。本企画ではそれぞれの社会起業家の想いに迫る、インタビュー記事をお届けしていきます。
第三弾はアクセサリーブランドRaindropの代表、Thydaさんにお話を伺いました。商品を通して自然のすばらしさを届けたい、という彼女の思いには心を動かされます。ぜひご覧ください!
Thyda - Raindrop 代表
カンボジア出身。2017年にジュエリーショップ、Raindropを創業。
カンボジアの自然豊かなシェムリアップで採れる種で作ったアクセサリーを販売している。
自然とものづくりが大好きだった幼少期
ー幼少期はどのような性格でしたか。
ものづくりが好きな子供でした。2歳の頃にポリオに罹って自由に歩けなかったこともあり、自分の手でいろいろなものを作っていました。例えば子供の頃、家の近くにあった大きな花でよく花冠を作っていました。昔から自然のものを使ったものづくりが好きでしたね。
ーでは幼少期から、将来はものづくりに携わろうと考えていたのですか。
いえ。起業することはもちろん、ものづくりを仕事にすることも考えていませんでした。中学卒業後は高校に進学せず、NGOに就職しました。初めての仕事は1年でやめましたが、その後もNGOの秘書として働いていました。
自分の中でターニングポイントになったのは、2011年にプノンペンからシェムリアップに移住したことですね。父と祖母の度重なる死や、私自身の離婚など上手くいかないことが続き、当時は精神的に苦しかったです。そこで心機一転して新しい生活を始めようとシェムリアップに移りました。それまで一緒に暮らしていた母には反対されましたが、お金も仕事もないまま友人を頼りに引っ越しました。
いざ住んでみると、シェムリアップは本当に自然が豊かな街で私にぴったりでした。プノンペンではよく体調を崩していましたが、移住後は風邪を引かなくなりました。
ー自然が大好きなThydaさんにシェムリアップはぴったりの街だったんですね。
そうですね。今思えば、シェムリアップに移ったおかげで自然のことがもっと好きになりました。シェムリアップは私の第二の故郷です。
自然のすばらしさを伝えたい
ーそこからどのような経緯でRaindropを設立されたのですか。
シェムリアップに移ってからはホテルで働いていたのですが、2人目の娘を出産してからは働くことができませんでした。その間に家で長女のヘアバンドを作っていたところ、たまたまそれを見た知人に賞賛され、商品として売ることを提案されました。そこでヘアバンドやキーチェーンを30個ほど作って売ってみたところ、幸運なことに買ってくれる人がいたんです。それは私にとって自信になりました。自分が家のためにできることもあるんだな、と。
それから近所の子供や今の夫が拾ってきてくれる種を使って、ペンダントなどのアクセサリーを作るようになりました。さらにポーランド人の友人が誕生日に電動キリをプレゼントしてくれたおかげで、作業効率も上がりました。商品をたくさん作れるようになったところで、本格的に売ってみようかなと思ったんです。
ー様々な出会いや幸運に恵まれたのですね。ちなみにRaindropにはどのような意味が込められているのですか?
ある雨の日、雨水が屋根に滴る音を聞いた私はハッピーに感じました。また雨水を受けている木々や植物が笑っているようにも見えました。その時、これだなと思いました。自分のアクセサリーを見た人にも同じような幸せを感じてほしい、という願いを込めてこの名前をつけました。
またアクセサリーに使っている種も雨が降らないと育ちません。その意味でも雨はとっても大切なものなんです。
あと余談ですが、Raindropを始めた7月は私にとって大切な月なんです。なぜならRaindropを始めた月であるだけでなく、2人の娘が生まれたのも7月だからです。
ー素敵なお話ですね。ThydaさんがRaindropの設立を決めた際、反対はされませんでしたか?
すごくされました。母やいとこたちから「君はクレイジーだ」とまで言われました。でも私はそんな反応を気にすることなく、とにかく商品を作り続けました。
また起業をするために、1年間NGOでビジネスマネジメントを勉強していました。しかし、いとこにはそんなのは必要ないと言われたんです。「あなたみたいな障がい者のために働く人はどこにもいないよ」と。その言葉は本当にショックでした。
家で泣いている私を見かねた父は、「そんな言葉は気にするな。困難が襲ってきたら立ち向かえ。それはきっと成功につながるよ。」と言ってくれました。この言葉は私の支えになり、今でも常に心の中にあります。
ー心に刺さるお言葉ですね。Thydaさんが思うRaindropの強みはなんでしょう?
自然を生かしていることです。Raindropでは、シェムリアップをはじめとしたカンボジアの地域で採れる10種類以上の種を使用しています。アクセサリーを作る時に大切にしているのは、種特有の色と形を残すことです。そのままの形を大事にすることで、魅力的なネックレスやイヤリングができるんです。
ーなるほど! では、Raindropで設立したことで起こった変化を教えてください。
1つは、自分の力でお金を稼げるようになったことですね。その結果、プノンペンで母と一緒に暮らしている長女の学費を援助できるようになりました。
それと、心が豊かになったのもRaindropを始めたおかげだと思います。身の回りにある様々なものを見て、ものづくりのアイデアにつなげられないか考えるようになりました。それまではしばしば頭によぎっていた嫌なことも考えなくなり、デザインに集中できるようになっています。
ー私生活においても、ご自身の精神面においても豊かになられたのですね。それではこれからのThydaさんの夢や目標を教えてください。
自然に囲まれた小さな家と店を持つことが夢です。大きくなくていいので、自然いっぱいの場所に建てたいです。
また、障がいのある人でも働ける環境作りにも力を入れたいです。カンボジアは障がい者への差別が激しい国です。そんな環境を変えて、障がい者の雇用を生み出したいです。
ー最後にN’s BASEでやりたいことを教えてください。
早く私の作る商品をN’s BASEでみなさんに見てもらいたいです。今はコロナの影響で観光客が減っているので、ホテルに出品していた商品もほとんど売れていません。給料も半減してしまい、厳しい状態が続いています。
早く生活が元通りになって、N’s BASEでも商品を売りたいです。Raindropの商品を通して自然の素晴らしさを伝えていきたいと思います。
ー素敵なお話をありがとうございました。
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N's baseではインタビューで熱い想いを語ってくれたThydaさんが代表を務める、Raindropの商品も多く取り扱っております。ぜひオンラインショップも覗いてみてくださいね。
N's base noteではこれからも社会起業家の方々の生の声をお届けいたします。次回もお楽しみに!
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