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【#のりたまδの炉辺話】だ~いすきなのは~、中綴じのTipo(プジョー・106)

こんにちは。左ハンドルでMTのハッチバックが欲しい、のりたまδです。今回は東へお出かけしてきた際に乗せていただいたプジョー・106です。


プジョー・106(とシトロエン・サクソ)という車

まずはプジョー・106という車について軽い説明。
1991年に登場した、(百の位が‘1’ということで)プジョーにおける最も小型でベーシックなクラスのコンパクトカー。当時のフィアットでいうとプントに近いサイズ。

シトロエン・サクソ(左)とプジョー・106(右)

また、1976年にPSAとしてプジョーと一緒くたになったシトロエンからはこの106の兄弟車としてサクソ(1996~)が販売されていました。全然関係ないんだけど兄弟車っていうより姉妹車の方が響きがかわいくていいですね。腕ひっつかんで人を一日中振り回す遊び盛りで快活な106と、おしとやかで106ほどの主張の激しさはないけどここぞというとこの押し引きはちゃっかりしてるサクソ たぶん初見だとサクソの方がお姉ちゃんだと勘違いするタイプ

シトロエン・サクソVTS
16vのエンブレム位置がオシャレ。ZXの16Vもこんな感じだったはず。

さて、そんなわけで106ですが、マイナーチェンジを1996年に行っており、その前後で見た目が大きく異なります。寸法も異なります。そのためこちらでは便宜上フェイスリフトの前後で前期後期を区別したいと思います。

プジョー・106XSi

前期はこんな感じ。こちらはわりあいホットなXSiというグレード。かわいいですね、弱そうで。
フランス車は見た目が弱そうであればあるほど、やっすい素のグレードに近ければ近いほどよいとされています。そういえば「フランス車は安い実用グレードの椅子がいいんだぜ」っていうのもTipoで得た知見でしたね。
そんな前期モデルで最も有名なのが通称テンサンラリーと呼ばれる“𝑹𝑨𝑳𝑳𝒀𝑬”。その愛称の通り1.3Lのエンジン(TU2J2 だいたい100PSくらい)を搭載したテンサンラリーの最大の特徴はなんといっても競技ベースに由来する軽さ。1.6Lのエンジンを搭載したXSiが870kgのところ、テンサンラリーは810kg!!

プジョー・106ラリー

106よりさらに小柄な1.1Lのフィアット・チンクエチェント・スポルティングが760kgほどであることを考えるとテンサンラリーがどれほど面白げのある車かというのはもう推して知るべし。誰か試乗させてください。

プジョー・106XN
プジョー・106GTi(S16)

後期になると灯火類、バンパーの意匠が大きく変わりツインカム16バルブの1.6Lエンジン(TU5J4 だいたい120PSくらい)が登場。そしてそれを搭載したのが新規追加グレードのS16。
S16のSは“Soupape(スパップ)”のS。(スパップはフランス語でバルブの意、つまりS16は16バルブっちゅうわけです)側面ドア前方にエンブレムが貼っついています。海外だとGTiだったりもするみたいなんですが、よくわかんないです。
ところで“𝑹𝑨𝑳𝑳𝒀𝑬”は後期でも健在ですが、後期のラリーは1.6の8バルブと16バルブの二種類あり、よくわかんない感じ。8バルブがテンロクラリーと呼ばれ、16バルブの方はラリー16Vと呼ばれて区別されてたりされてなかったり。ラリー16VはラリーというよりS16の廉価版みたいな話を聞いたような気もしますが、ちょっとよくわかんないです。

ラリー(左)とS16(右)

近年巷で大流行!プジョー・106

元々プジョーの106というとヤミ鍋系エンスー自動車雑誌ことみんなの児童書、Tipoにおける定番商品(?)みたいなもので、特に106とフィアット・パンダ(141)は言うなれば朝食の味付け海苔と焼き鮭。目玉焼きとベーコン。ハンバーグとエビフライ。卵焼きとタコさんウインナー。ビッグカツとポテトフライ。うまい棒とチョコバット。砂狼シロコと早瀬ユウカ。関係ないけど106Maxiが好きな人ってふとももを過剰に盛られたユウカのイラストRTしてそうだよね
そんな車なので誌面上では飽きるほど見かけますし、乗っている人もそれなりにいるわけですが、身近なところにはあまりいませんでした。フランス車とイタリア車ってラテン車として一緒に括られこそすれど、ミーティングやイベントはわりとそれぞれで独立して開催されがちなので、積極的に興味を持ってないとそこまで交わらないんですよね。実際あんまり興味なかったし。
ところがTwitterのTL上で昨年から急に106の波が押し寄せ、特に年末にはなんかもう空前の106ブームかというほどの納車ラッシュ(体感)。

上は昨年相模原に行った時の写真。この7台のうち106オーナーは3名でしたが、現在はなんと5名。

フレンチ・まんじゅう
大福かも もちもちしててかわいいね
この青、めちゃくちゃキレイじゃないですか。

ここ以外で増やしている方や既に106/サクソを所有している方を含めると結構な数になりますかね。「え~なになにみんなして、106ってそんないいのお~~?」と思っていたわけです。

乗ってみなきゃ何にもわからない 車ってそういうもの

ホーンボタンの受け渡しついでに訪れた富士モータースポーツミュージアムの帰り(帰り?)、山梨県道730号で霧を抜けた先に山中湖畔の絶景を望み、国道413号の“洗礼”を受けながらホビーショップやらコメダ(人生初)やらを経由して東京だか神奈川だかみたいなとこへ移動、106を運転させていただくことに。それにしてもホビーショップのミニカーコーナーで商品を眺めてあーでもないこーでもないと駄弁るのは古今東西共通みたい。

プジョー・106S16

S2SだったりS2NFXだったりするようですがとにもかくにも2台のS16。白と青。詳しいことはわかりません。白は常識的で青はハードめなイジり方。その程度の認識。まずは白いのから。

330mmのスウェードのステアリング。
これ触って思ったんですけどやっぱMOD.02って見た目全振り感あります
それでもデルタではMOD.02しか勝ちませんけど

ライトとワイパーを間違えかけていよいよ日本車が板について来たことを実感しながら走り出します。所謂クイックシフターが入っているだけあってシフトストロークは短く感触もそこそこ硬め。イプシロン以上デルタ未満ってとこ。
電動油圧パワステには若干のクセを感じるような……とはいうても生理的にダメとかそういうほどでもない。慣れの範疇ではないでしょうか。慣れといえばアクセルペダルの位置もわりと慣れ?まあまあ、この手の違和感とかって慣れれば(こっちから車へ歩み寄れば)いいかと思えるくらいなら全然セーフなんですよね。結局肝心なのは総合的にそういう難をどこまで許容できるか、どのラインの痘痕までを靨として見られるか、身も蓋もないことを言うなら「ダメなとこをどこまで贔屓目で見て可愛がれるか」だと思っています。その点において106は結構上々で、だいぶ好印象です。
最初は独特に思えた電動油圧パワステですが、恩恵もちゃんとあります。なんつってもこの小径のステアリング・ホイールでも操舵の際に重さを感じることもなくラクラクなのは紛れもなくパワステの働きによるもの。あとその小径さ故か、体感的になんだか車がスッと俊敏に向きを変えてくような気さえします。
ダラ~ッと走る分にも快適かつ楽しく、登り勾配となってもギアを一段落とすこともせずそのまま踏み足して加速していける力があるのはなかなか。テンロクの120PSをなんだと思ってるんだという話ですが。

ところでビートのE07AとかチンクエチェントのFIREの話を急に差し込むんですが、アレって結局せいぜい50馬力あるかどうかみたいなエンジンで、基本は「まあ別に回さなくても十分流れに乗って走れはするし別にいいでしょ」って感じで案外理性的にさせられるんですよね。他方、一度美味しいとこまで回すともう歯止めもかからずノリノリ、ワイルドな気分でわっしょいわっしょいってな具合で意味もなく上まで回しちゃって「ばりしょうもない点を賜る」程度の速度が乗る感じ。人生に虚無を感じている時に乗ると一生5速&法定速度で走りながら「なんでこんな(非力なエンジンを躍起になってブチ回す)車乗ってんだろう」ってなります。閑話休題。

長めのまっすぐの道に入り2速でアクセルを踏み込んでいくと3000回転くらいから猛烈な加速が。そのまま7000回転近くまで一切の引っ掛かりもなく、加速も緩むこともなく続きます。F7R(過去に横乗りで経験)とまでは行きませんが、十分に車速の伴った鋭い加速をしてくれます。今まで乗ってた車のせいでもありますが、ほんと楽しさと速さをいい具合に両立している車だなあと思いました。快適だし。いいなあ、106。

さてお次は青いの。こっちはなんかLSDとか色々ついててハードな感じ。道中で後ろついてた(着いていけたとは言ってない)んですが素人目にも野蛮過激な匂い(物理)を漂わせていました。乗って大丈夫なのかこれ。

あと106に関してはディープコーンを入れると腕を肘くらいまで切り落とす必要がありそうでした 私の背、低すぎ……?

道路に出るとき、切っていたステアリングを無意識に戻しつつ無意識にいつも通りアクセルを踏むとステアリングに腕を持っていかれ死亡……
なるほどパワステってこういう時に役立つのかという気付きを得ることができました。重めのノンパワステとかでひーこら言うてるとこにこんな反発もらったらひとたまりもなさそうですが、パワステのおかげで程よく面白いとこ、LSDの美味しいとこだけいただける感じです。人の車で、よく知らない道でその美味しいとこをいっぱいに感じられるほどの走り方はできませんけど。
乗り手の腕とかを思うと要らないだろって言われそうですが、こういうガッツリ系のイジり方したこの手の車も家に1台あると人生が豊かになりそうでいいですね。欲しいかもです。普通に走らせただけですが、なかなか楽しくて面白いなと思いました。

さいごに やっぱ気になるテンサンラリー、でも実際どうなんだろうか?

後期のS16に2台乗って出てきた答えが「テンサンラリーほしい」は若干人を馬鹿にしているようにも取れなくはないんですが、やっぱ見た目が1番好みなんですよね、テンサンラリー。カッコいいし、可愛いし、軽いし、税金ちょっと安いし。S16だとデルタと同額ですしね。
S16乗りのお2人が口をそろえて「テンサンラリーは別物」と言うあたり、そらもうエライ違うんでしょうが、その違いが自分にとってよいものかよくないものかは、乗ってみないことには分かりません。
乗ってみないとわからないことは考えたって仕方がない。逆に乗らなくてもわかることと言えば、値段。
それはもうきっとテンサンラリーが圧倒的に高い……と思っていたんですが、今やS16でもなんか普通に140~50くらいするようで。えー「100万以内だったらS16もいいなあ~~」なんて世迷言を抜かしとる場合ではありません。フィアット・パンダと同じでいつだって今が買い時の車。
一方で「でもだってS16がチンクエチェント・スポルティング・アバルトと変わんない値段なら後者の方がいいじゃ~~ん」って気持ちがどこかにあるのは事実。ビートの横に置いて2台持つ車として真面目に考える会ならS16かもしんないけど。
で、S16とテンサンラリーが同額なら結局「テンサンラリーが乗ってどうか」だよねえ。部品の問題もあるから一概には言い切れないんだけども。ところでモレッティの丸目4灯キットは今でも売ってるみたいですね。買っとこうかな。
現状ぼくの鼓動は13バルブ目ですが、変わる日は来るんでしょうか。そんなわけで、今回は「みんなこんな面白いの乗ってたの?」、プジョー・106でした。ばいばい。

適当に画像検索してたんですけどもしかしてこれ106スポール?

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