「生きている世界線」2023年3月31日の日記
3月の終わり
・終わるな〜
・今日はダメでした。2日連続の飲酒で膵臓に浮腫が出て(これ持病。聞いたことないけど)ずっと背中痛かった。
・あと普通に起きれなくて用事が一つ済ませなかったし、コンビニでコピーしないといけないのもコピーしてない。さらに、やらんといかんテキストも書いてない。ダメダメの日。でも一年通したら多分こんな日の方が多い(精神疾患だから!)
・トホホ〜あたしゃもう人間懲り懲りだよ〜(黒字に丸で顔だけが抜かれる)
J•K•ローリング他『ハリー・ポッターと呪いの子』
・昨日ふと思い立って図書館で借りて今日もう読み終わっちゃった。小説ではなく、舞台の台本がそのまま載っている本。
・前々から読もうと思っていた。なぜなら、出るのだ。セブルスが。ほんの一幕だけではあるものの。
・泣いちゃった。良すぎて。
・いや、正直良すぎて「媚び〜」と思う気持ちはある!!!!!!!!!!!!だいぶ。だって、いくらマルチバース的な話とはいえ回想以外で死んだ登場人物が出てくるのは物語としてなかなか禁じ手な気がするから。特に舞台中でダンブルドアの肖像画の意見を仰いだら「肖像画は肖像画であって本人ではない」みたいなこと言われてたし、なおさら。
・ここから下はネタバレも含めて話しますので、避けたい人は避けてください。
・「呪いの子」は、ハリーとジニーの息子アルバス・セブルス・ポッターと、ドラコと妻アストリアの息子スコーピウス・マルフォイが主人公である物語だ。ハリー・ポッターは40歳ほどになっている。
・父親・血統に対してコンプレックスを抱くアルバスが、「炎のゴブレット」の三大魔法学校対抗試合でセドリック・ディゴリーが殺害されたことに関し、彼の父親が魔法省役員となったハリーに押収したタイムターナーを使ってセドリックの死を回避することを求めているということを知る。それを利用して自身が活躍することを考えついて、スコーピウスと共に何度も過去を改変する。近年流行りのマルチバースをこれまでの「ハリー・ポッターシリーズ」の文脈にうまく取り入れた良作だ。
・セブルスは第三幕の一場面に登場する。過去の改変によって未来が置き換わり、「死の秘宝」におけるホグワーツの戦いでハリーが敗れてヴォルデモートが覇権を握った世界で、表向きはヴォルデモートに服従しながらもハーマイオニーとロンを匿っている。
・そもそもこの設定が疑問だ。リリーの残した唯一の守るべきものすら失ったセブルスがハーマイオニーとロンを匿うだろうか?かれも一度はヴォルデモートに忠誠を誓っている。ホグワーツでの教師経験やダンブルドアとの約束、ハリーの敗北後のハーマイオニーやロンのアプローチが、セブルスの性格を緩やかに変化させたのだろうか。いずれにしても映画版のセブルスって感じの性格。
・しかもめちゃくちゃいい役回りをしていた。え?セブルスって卑屈インキャじゃなかったのか?なんか歳いって丸くなった?
・スコーピウスがハーマイオニー・ロン・セブルスに協力を仰ぐシーン。
・「代償」とは、改変前の歴史に戻ることでセブルスが再び死人となることを指す。そのことを踏まえても原作よりもかなりさっぱりとした態度をとっていることがわかる。
・こんなこと言う!?!!?!!
・言わんだろ、とは思うが、ここで一つの推測を立てることができる。改変前の歴史とこの世界との大きな違いはハリーの敗北、死だ。このことが大きくセブルスの心理に影響を与えているのでは。
・「死の秘宝」における回想より、セブルスは「リリーの残したもの」としてハリーに強い情をかけていた。これが死んだことはかれの心に大きな変化を起こしたとて不思議ではない。
・また、ハリーの死因はセドリックによってネビル・ロングボトムが殺され、ナギニが死ななかったことのように書かれているが、改変前の歴史においてもナギニが殺されるのはセブルスの死後である。このことからも、ハリーの死以外に大きく歴史が異なっているのだろう。ダンブルドア殺害時にニワトコの杖の真の持ち主となったドラコも生存していることから、ダンブルドアを殺害したのもセブルスでないのかもしれない。
・セブルスはハリーを「守れなかった」と述べていた。かつてのセブルスはハリーを「守ろうと」していただろうか?ダンブルドアがセブルスに頼んだのは、ハリーが「死ぬべき時に死ねるように」することだった。ハリーを生き延びさせようとしたのだろうか?だとすればそれはセブルスがやりすぎている。このことも何か関係があるのかもしれないが、原作も読み直さないとな。
・思えばセブルスほど因果にがんじがらめにされている人物はいないのではないだろうか。犠牲の魔法で守られ、ヴォルデモートを退けた結果分霊箱となったハリーもたいがいだが。
・セブルスが闇の魔術に傾倒しその結果死喰い人に身を堕としたことも、遡ればジェームズの登場によってリリーが自分から離れていったことが原因だ。
・しかしジェームズの干渉を抜きにした元来のかれの性質でも闇の魔術を好んでいたことも事実で、それはかれ自身の劣等感やある種の“王道への逆張り”の精神がそうさせたのであろう。
・ではその元を辿れば、父親のトビアスが妻アイリーンに横暴な振る舞いをとっていたスネイプ家の家庭環境が大きな影響を及ぼしていると推測できる。家庭は貧しく、かれの深層心理に劣等感を刻み込み、魔法に興味を示さない父やペチュニアの存在はかれのマグルへの偏見を助長すると同時に、魔法使いとしてのマグルに対する歪んだ優越感を形成していった。
・そう、このことが、リリーとの決別の大きな理由となった「穢れた血」事件に繋がっている。自身が半純血であるために、ポッター家という良家の純血には決して歯向かうことができない。その弱さが反射的なマグルへの悪意の放出につながってしまった。
・複雑に絡み合った不運によって、またそれにより形成された自分自身の弱さによってセブルスの運命は暗転してゆく。しかしながらその弱さは身を守る盾となり、自分自身の破滅がやってくることはなかった。トレローニーの預言をヴォルデモートに伝えてしまったセブルスがリリーを守るためヴォルデモートに懇願し、さらには死喰い人から寝返り、ダンブルドアに懇願したもののペティグリューの裏切りによって、そして彼女自身の抵抗によってリリーが殺害され、かれは生きるのぞみを失う。
言うなれば弱さ——死喰い人に堕ちた、彼自身の心の歪み——によって、かれは生涯の愛する人を失った。それを自覚した時、かれは慟哭する。それは何に対する慟哭か。生い立ちか。ジェームズ・ポッターの介入か。ヴォルデモートへの心酔か。己の不運か。それとも?
・しょうもない締めだが、セブルスのような恵まれていない人間の気持ちは、よくわかる。
・不運だ、というメタ認知はそれだけで他者へ牙を向く理由になり得る。自身の不運を悟った瞬間に、周囲の人々の幸運が刺々しい意味を持つ。そして、自身より一見幸運に見える人間が打ちひしがれているのを見て「その程度で」と思う。
・「その程度で」という嘲笑の裏には、「その程度でそんなに打ちひしがれるのなら、私は?」という気持ちが潜んでいる。
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