日本が誇るグローバルブランド!SHOEIの競争優位性!
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では、ここから本題です。
今回は高級ヘルメットで世界トップシェアのSHOEIの競争優位性分析です。
SHOEIの概要
世界トップのプレミアムヘルメットメーカー。
プレミアムヘルメットはいわゆる高級品であり、世界規模で今後も安定した発展が見込まれる市場。
高級オートバイ用を中心に航空機用・戦車用・白バイ用の「SHOEI」ブランドのFRP(繊維強化プラスチック)を用いたプレミアムヘルメットを製造&グローバル販売。
デザイン性・機能性・安全性の高い最高級ヘルメットを60カ国以上に販売。
世界のプレミアムヘルメット市場の60%以上のシェア。
欧米を中心とした海外での売り上げが約8割を占める、世界に認められたワールドワイドなブランド。
国内の上場企業において、海外売上高50%以上・コンシューマーグッズ販売・高品質なMade In Japanという特長を持つ企業は、SHOEIを含め一握り。
二輪乗車用ヘルメットの売上高は約90%、他は四輪車・特殊車両用・官需用ヘルメット、ヘルメットパーツ。
購入時にパーソナルフィッティングシステムサービスを提供。
SHOEIの事業には、以下3つの安定性がある。
ヘルメットという安全性の高い商品を取り扱っているため、定期的な買換需要が見込めるという需要の安定性。
また、大きな設備投資の必要がない、投資の安定性。
限界利益率(売上高- 変動費= 限界利益)が約50%であり、売上高増加額の約半分が利益に寄与するという利益成長の安定性。
プレミアムヘルメット市場
業界の成長性
プレミアムモーターサイクルヘルメット市場は2021年に7億4,926万米ドル(約1000億円)
2027年までに11億1,272万米ドル(約1500億円)に達すると予想され、予測期間(2022年から2027年)に6.81%の年率成長を記録すると予想されます。
コロナ禍で三密を回避できる趣味として、バイクを始めた人が急増。
日本でも近年ライダー人口が増えている。かつてのライダー世代が子育てを終えて、趣味を再開し始めたことが原因とみられる。
また、長期的な流れとして、今後ますますAIやロボットが労働者を代替し、人間が余暇に充てる時間が増えるであろうことを考えるとライダー人口は世界的にも増えていく可能性が高い。
そして、新興国の経済発展も含め、富裕層の増加が今後もプレミアムヘルメット市場にとっても追い風。
総じて、とても魅力的な市場といえる。
プレイヤー
プレミアムヘルメット市場には主に以下のようなプレイヤーが存在する。
SHOEI(日本)
ARAI(日本)
シューベルト(ドイツ)
AGV(イタリア)
BELL(米国)
他
マーケットシェア
SHOEIが世界シェア6割、ARAIが3割を握っているとされる。
市場全体の約25%程を占める日本では、SHOEIとARAIは同じくらいのシェア。
海外マーケットではSHOEIが、ARAIを含めた他社を圧倒している。
SHOEIの競争優位性
マーケットシェアに見るように、圧倒的なシェアを誇るSHOEIの競争優位性はなんだろうか?
特に最大のライバルであるARAIに対する競争優位性は何だろうか?
これを考えるにあたり、まずは消費者がヘルメットを選ぶ時のポイントについて考えてみた。
消費者が選ぶ時のポイント
消費者がヘルメットを選ぶ際の基準は何でしょうか?
主要なモノは以下4つだと思います。
①安全性
なんといっても安全性。ヘルメットの目的は事故が起こった時に頭部を守るためのもの。つまりライダーの命を守るためのもの。
安全性というのはヘルメットを選ぶ際の最も重要なポイントの一つでしょう。
②快適性
次に快適性。
バイクというのは移動手段であるとともに、バイクでの走行を楽しむものです。
そんな時に、安全性は高いけどかぶり心地が悪かったり、暑苦しかったり、重かったりするようなヘルメットは嫌ですよね?
ヘルメットは快適性も兼ね備えている必要があります。
③デザイン
ヘルメットはバイク本体と並んで、とてもファッション性のあるアイテムです。
多くのヘルメットがカラフルな色合いを使っていたり、洗練されたシルエットでデザイン性が高いです。
せっかくかぶるならかっこいいヘルメットをかぶりたい。
これは趣味でバイクをする人にとってはとても優先度の高いことです。
④ブランド
ブランドは企業に対する信頼でもあります。
安全性や快適性などは、お店で手に取っただけではなかなかわからないからこそ、「ブランド」がとても重要です。
「このメーカーなら安全性は問題ないだろう」
「このメーカーなら走行時も快適に過ごせるはずだ」
顧客にこう思ってもらえることがブランドです。
そこへデザイン性なども加わると、たいていこのような高級商品は、所有することに対する優越感を持てるようになります。
このようなブランドが、商品の品質とは別に顧客を引き付けていくのです。
では、これらのポイントを踏まえた上で、SHOEIとARAIの製品の特徴を見ていきましょう。
SHOEI製品の特徴
SHOEIの企業哲学は、「安全、快適、感動の融合」
万が一の際に発揮される最高のプロテクション性能、すなわち「安全」と、それを実現するためのハイレベルな「快適性」をライダーに提供すること。そして走ることの「感動」をもたらすこと。
SHOEIが考える安全性は2つ。Passive SafetyとAcctive Safety。
①Passive Safety(安全性)
アクシデントの衝撃からライダーの頭部をしっかりと保護する性能。それがPassive Safety。
世界各地域で定められた様々な安全規格に適合し、余裕をもってクリアする性能を有すること。そして例外なく全ての製品にその性能が再現されていること。
SHOEIでは各国の規格をクリアすべく、高い衝撃エネルギーに対してはクラッシャブルな構造とすることで効率的に衝撃を吸収したり、シェル強度を高めることによって、尖った対象物への保護性能を確保するなど、いずれも定められている高い性能をクリアすべく開発を続けている。
成形から組み立てに至るすべての工程で、繰り返し厳しい品質検査を実施。さらに一定の割合で定期的に完成品の抜き取り検査を実施し、万全の品質管理体制を確立することでこの目標を達成している。
主要な安全規格として、ヨーロッパECER22/05規格、JIS規格(日本産業規格)、SNELL規格がある。一般的にはSNELL規格が最も安全性が高いといわれる。
但し、高速度のレースを前提として作られたSNELL規格の強度を実現するためには、ヘルメットはある程度重くならざるを得ない。一般使用における頭部の運動性や事故の際の頸部への負担を考慮するとその重量が不利になる場合もあり、必ずしもあらゆる状況でSNELL規格が万能というわけではない。
SHOEIではライダーの使用用途に応じて最適な規格を取得し、保護性能はもちろんのこと、もうひとつの安全性「Active Safety」にも貢献する快適なヘルメットを供給していくという考え方。
②Active Safety(快適性)
ライディングに集中できる快適な環境を提供して、アクシデントに遭遇するリスクを軽減し、未然に防ぐこと。これがActive Safety。
軽量かつ強靭で、空力特性、静粛性に優れたデザインを持つシェル。快適なかぶり心地を追求した内装。効果的なヘルメット内の通気性。広くクリアな視界を確保し、強力な坊曇効果を持ち、紫外線により発色して眩惑を防止するシールド。走行条件の変化に対応するインナーサンバイザー等の快適装備。これら一つ一つの機能の積み重ねこそが、アクシデントを未然に防ぐための高度な安全性能。
軽量かつ強靭さを兼ね備えるために、SHOEIでは長年培ってきたFRP成形の技術を活かし、強度と軽さを両立したシェル構造、AIMおよびAIM+を確立。
AIMは「Advanced Integrated Matrix」の頭文字で、(1)積層成形方法、(2)ラミネート素材、(3)樹脂の分子構造という3点で非常に優れた特長を備えている。その結果、軽量で高剛性でありながら大きな衝撃に対しては適度な弾性を発揮するという、衝撃吸収に理想的な性能を実現している。
また、快適なかぶり心地を実現するために、パーソナルフィッティングシステムを備えている。専門スタッフが頭部を正確に計測しプログラムに入力することで、ヘルメット内面と頭部の形状を比較し、最適なヘルメットサイズを割り出す。これを基にヘルメット内面と頭部との隙間を数値化する事で隙間が広ければそれを埋めるためのパッドの種類や枚数を表示し、被り心地を最適化させることが可能。
また空気抵抗、ヘルメット内の通気性、走行時の静粛性を高めるために、SHOEIでは日本国内で唯一、自社大型風洞実験施設を所有しており、これをあらゆる開発に活用することで空力的に優れた新製品を作り出している。
このように設備投資を参入障壁としており、多くの知財、特にFRP成型・加工技術の構造・機能部分に多数有する特許で高い技術優位性を担保している。
③デザイン
ライダーの嗜好や市場状況、新たな利便性のアイデアなどを盛り込んだ企画・立案を多角的に検討。
安全性、快適性のために必要な要素と、ライダーの心に響くデザイン性=ファッション性を具現化すべく、デザイナーの感性が注ぎ込まれ、製品は形作られていく。
④ブランド
1961年の世界最高峰の2輪車レース「マン島TTレース」でホンダが125CCクラスで初優勝して、日本のオートバイ性能が世界に知られた事で二輪車輸出と国内普及に勢いがついた時に、ホンダ純正のヘルメットに採用されたのが、前身の昭栄加工。当時からグローバル展開に積極的で、そのころから世界中でブランドがはぐくまれている。
日本国内で開発・生産し、アメリカや欧州の拠点でも流通からアフターサービス、マーケットリサーチを行うなど、SHOEIの活動はワールドワイドで進行。
高い品質と安全性、ライダー の満足度を追求し、世界中のライダーのニーズをリアルタイムで取り入れながら生産した製品は40ヶ国以上に輸出されている。これはその性能や品質が世界中のライダーから認められた証。
バイクレースの最高峰MotoGPでは、マルク・マルケス、アレックス・マルクスの兄弟等、3選手と契約。兄マルク・マルケスは2013年~2019年の間に計6度の年間チャンピオンに。いわばライダー界で伝説的な選手。弟のアレックスもMoto3とMoto2でそれぞれチャンピオンになり、SHOEIブランドの強化に大きく貢献。
ちなみにMotoGPのチーム戦出場選手は全22名で、2023年現在のヘルメットメーカー別人数は以下の通り。
伊AGV 5名
日SHOEI 3名
仏SHARK 3名
日ARAI 2名
韓HJC 2名
インドネシアKYT 2名
伊アルパインスターズ 2名
韓スコーピオン 1名
伊SUOMY 1名
日オージーケーカブト 1名
次にF1レーサー全20名の使用ヘルメットメーカー別人数は以下。
米BELL 12名
日ARAI 3名
独シューベルト 3名
伊Stilo 2名
SHOEIもARAIも頑張ってはいるが、特別際立った存在ではない。
ARAI製品の特長
ARAIの哲学は、徹底的な安全性の追求です。
①安全性
最も厳しいとされるスネル規格をほぼ全モデルでクリアしながらも、
現実の衝撃から護るという、規格の先を見据えたヘルメットづくりをしている。そして、長年の経験から規格には規定されない究極の安全性として「衝撃をかわす性能」を重要視。そしてそのために、「丸く、滑らかで、剛い」帽体がより有効的であると考えている。
その形状を作るために、アライでは「ヘルメットの形状を曲率半径75㎜以上の連続した凸曲面にする」ということを徹底。
これはかつて安全規格に規定されていた条件だが、現在では撤廃され形状の自由度が増している。アライでは、かわす性能を追求するために、この条件を全てのモデルで今も遵守。
ヘルメットの強度を最大限引き出すために数多くのパーツを1つの帽体に組み込んでいる。
主材料として使用されるスーパーファイバーは、通常ガラス繊維の6倍程の値段がする高級ガラス繊維で、強度は30%以上、引きさき・貫通などに非常にすぐれたもの。
また帽体成形時に材料と材料をつなぎとめる接着剤の役割になるZ配合樹脂というものを独自に開発していたり、剛性の高いファイバーの間に、弾性に富み比重の軽い特殊ファイバーを挟み込むようにして成型する方法で、同じファイバーだけでつくられたものより20%以上帽体重量を軽くできるcLc製法を採用している。これは40年以上も前にアライが確立した技術。
世界でもアライでしか使用していない、部位ごとに最も適切な発泡倍率を組み合わせ一体成形するMDL(Multi Density Liner)技術。衝撃の加わる面積に合わせ、頭頂部、側頭部、後頭部、前頭部、それぞれに適した硬度の異なる発泡体を使用し、一体成形することで継ぎ目がなく、衝撃を受けた際、スチロールの切れ目でエネルギーが途切れることなくライナが潰れていくことで、理想の衝撃吸収性能を発揮
バイク乗りの従業員達が「ライダーを護りたい」という想いを込めて一つ一つ手作りで創るアライのヘルメット。例えば塗装に関しても1g でも基準をオーバーしていれば研磨し調整する程の精度で製品と向かい合っています。Made by Arai ライダーによるライダーの為のヘルメットです。
アライは常にライダーの頭を護るために小さな進化の積み重ねを続けている。
②快適性
「徹底的な安全性の追求」がARAIの最も押し出しているメッセージであり、快適性に関して、実際には十分な機能が備わっているとは思われるものの、企業メッセージとしてはほとんど触れられていない。
③デザイン
デザインをする上でも、「衝撃をかわす性能」を得るための「丸く、滑らかで、剛い」、卵型の形状が最も優先順位の高いモノとして遵守されている。(逆にいうとデザインの自由度が低い)
実際にARAIのデザインを見ると、SHOEIに比べて”丸い”形状が多く、どれも似通っている。
ARAI製品
SHOEI製品
④ブランド
SHOEIと同じように、長い歴史を持ち、世界中で知られるブランドであることに間違いはない。
MotoGPでは、マーベリック・ビニャーレスと中上貴晶の2選手と契約。
ARAIはかつて公式Twitterで「アライを被る数多くのレーサーは、契約金に関係なく、うちのヘルメットを選んでくれています。プロモーションのために莫大な契約金を払ってまで被ってもらうぐらいなら、その分をさらに護れるヘルメットのための開発費に回します。うちは生粋のヘルメット屋ですから」と発信。
この点は一貫したメッセージではあり、あくなき安全性の追求が最大のマーケティングになっているといえる。
SHOEIとARAIの違い
上記で見てきた通り、SHOEIが安全性(Passive Safety)に加えて、快適性(Active Safety)を重要視しているのに対し、ARAIは安全性を極限まで追求している、という点が異なる。
ARAIは安全性を追求するあまり、デザインの自由度や、ヘルメットのかぶり心地や走行時の快適性、更にはブランド力向上に向けたマーケティングが、SHOEIに劣っており、その点がマーケットシェアの違いになって表れているのではないかとの仮説が立てられる。
また、SHOEIは快適性を追求するために、あらゆる開発に大型風洞実験施設を活用し、データドリブンの開発が行われているが、ARAIにはそのような設備は存在せず、どちらかというと経験に基づいた開発が行われている印象。大型風洞実験施設には巨額の設備投資が必要となるため、この点はSHOEIの競争優位性と考えられる。
ちなみに日本の消費者の生の声は以下。
https://www.webike.net/magazine/bargain/bargain-helmet/48802/これを見ると、日本においてはSHOEIとARAIの2大ブランドが拮抗していて、両社に対して絶大の信頼があることから、最終的にはフィット感で決まっていそうというのがわかる。
SHOEIの業績
定量
出典:マネックス証券
コメント
業績は堅調に伸びており、営業利益率や資本効率も高い。
資本効率性、労働生産性を最大限に上げるべく、徹底したトヨタ生産方式を導入していることが理由。
ムリムダムラの排除や、多能工によって、従業員全員が非常に高付加価値のヘルメットの生産工程全てに関われる技術を持っている。
唯一の欠点?は無借金経営主義だということ。安定的なキャッシュフローを得られるビジネスなので、有利子負債を増やして更に資本効率を上げられる可能性はある。
以上
「最速でFIREしたい方限定!若くして最速でFIREするためのノウハウを大公開!完全攻略ロードマップのテンプレ付き!」については以下でまとめていますので是非こちらもご覧ください。
返品保証もあるので気軽に覗いてみてください♪
りろんかぶお