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最低賃金引上げに見る日本経済の末路
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では、ここから本題です。
骨太の方針2022で、最低賃金を全国平均で時給1000円に引き上げ目指すとありました。
ちなみに最低賃金の推移は以下の通り。(2001年迄は日額、それ以降は時間額)
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そもそも最低賃金を上げる目的は何か?
厚生労働省の「最低賃金制度の意義・役割について」によると以下の記載がある。
QTE
第1条(目的)
この法律は、賃金の低廉な労働者について、事業若しくは職業の種類又は地域に応じ、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もつて、労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
UNQTE
確かに低賃金労働者の生活の安定というのはわかる。
賃金が上がれば生活は安定するだろう。
一方で目的の後半には、
労働力の質的向上
事業の公正な競争の確保
国民経済の健全な発展
を目的とするとある。
なぜ最低賃金を上げるとこのような目的を達成できそうなのか?
①「労働力の質的向上」
以下のように説明されている。
(1) 賃金の上昇によって、優秀な労働者を雇い入れることが容易になること。
→正直これは優秀な労働者の賃金は最低賃金以上であろうことを、考えると最低賃金の増加と優秀な人材の確保は無縁だろう。むしろ、最低賃金の上昇により、無能な労働者が雇用にありつけないリスクが高まる。
(2) 労働者の生活が安定することによって、労働能率の増進がもたらされること。
→これは確かにそう。生活の安定及び余裕時間の確保に伴い、スキル向上の時間などが確保される。
(3) 労働者の収入の増加によって、労働人口中家計補充的な不完全就業者が減少すること。
→不完全失業者とは、就業してはいるが、労働条件が著しく劣っていたり、就業が不安定であったりして、半失業状態にあることを指す。これは確かに減少するかもしれないが、上述の通り無能な労働者が雇用にありつけないリスクが高まることは免れない。
②「事業の公正な競争の確保」
これについては以下の記載がある。
QTE
最低賃金制の実施は、「事業の公正な競争の確保」、すなわち、賃金の不当な切下げ又は製品の買叩き等を防止することによって、事業間の過当競争を排除することができ、また、最低賃金制の実施による企業の合理化は事業間の公正競争を促進するものと考えられる。
UNQTE
→事業の公正な競争の確保というよりかは、資本主義社会では、資本家による労働者の搾取が行われてきた歴史があるので、その防止策として最低賃金は重要だろう。
③「国民経済の健全な発展」
これについては、具体的な記載はないが、①②を達成することで経済の発展を達成するという文脈だろう。
STOP
最低賃金の図に戻ると、日本では40年以上の間、最低賃金を上げてきた歴史がある。
果たして、日本経済は発展しているのだろうか?
一人当たり名目GDP推移は以下の通り。
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バブル崩壊以降(1990年代以降)は見事に横ばいで、基本的にはゼロ成長といっていいだろう。
結果だけ見ると、最低賃金上昇による経済の発展は達成できていないことになる。
この原因は何だろうか?
日本の失業率は低位安定しているので、最低賃金を上げたことで失業者が増えたという事実はなさそうだ。
一つの主要な原因に非正規雇用割合の増加がある。
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出典:総務省統計局『労働力調査 長期時系列データ(詳細集計)』
労働力人口自体は増えているものの、
相対的に所得の低い非正規雇用者数が増え、
所得の高い正規雇用者数が減少しているため、
所得の総量自体は減っているということになる。
豊かになり切った日本において、今後経済のパイの拡大は見込めない。
そんな中、企業は人件費削減に焦点を当てていることがこの図からも露骨に表れている。
また、昨今の共働き化、定年退職後の労働継続などの時代背景も影響している。
最低賃金を上げることで、低所得者層の消費も喚起され、経済の起爆剤になるという議論もあるが、日本の場合、今のところその状況には程遠い。
もっというと、本来最低賃金ほどの仕事をしていない人たちにも、割高な給与を払わざるを得ないこととなるため、逆に有能な労働者の賃金が削られているということになる。
頑張った人も頑張らない人もみんな平等な給料。
どんどん社会主義に近づく日本。。
個人の意見として、最低賃金は実際に最低限の生活を送るために必要な水準にし、あとは物価連動にするのが最も良いと思う。
物価が上がっていないのに、最低賃金だけ上がるのは低賃金者に有利な展開。
また、大した付加価値を出さなくても、最低賃金はもらえるという甘えが労働者に発生するため、労働者の質向上にはつながらず、ひいては日本経済の発展にもつながらないと思われる。
最低賃金は、最低限を確保し、あとは物価連動!
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