敬意を払う去り方
昔、私が日本橋の寿司屋の店長やってる時に、おそらく自分は26歳ぐらいの時に、42歳の方がお店を辞めることになりました。
普段から比較的真面目な方でした、もちろん悪ふざけすることもあります。
しかし辞める一週間ぐらい前から隅まで掃除をし、換気扇まで洗剤をつけて一生懸命洗ってました。
一週間で今まで洗ったことがない場所を全て洗っていました。
若い子たちにいろんなことを教えて、
「ここにこれがある」
「ここにこれがある」
「これはこれででやるんだから、今度はお前達がしっかりやってあげろよ。」
辞める当日、彼は自分の持ち物を全てカバンに入れ、最後に包丁を取り出ししっかりと鞘に入れてゆっくりと出口に向かってきました。
42歳の彼はこちらを振り向き、26歳の若造の私に向かって深々とお辞儀をして
「店長、短い間でしたがお世話になりました。
お身体に気をつけてこれからも頑張ってください。」
そしてまた深々とお辞儀をして彼は店を去りました。
今までいろいろ思うことはどうでしょう。
嫌な事もあったでしょう。
僕は彼の潔さに、
ただただ深々と頭を下げ
「ありがとうございました」と言うしかなかったです。
物事を始めるといつかは終わりが来ます。
色々なことがありながらも、自分がいた空間に対して敬意を払う。
私もそのような時が来たら、彼のように「潔く敬意を払う去り方」しようと決めました。
そういう時期がきたら、このような方がいたという事を頭の隅にしまっておいてください。