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筆を折る。
この話はフィクションです。
突然だけど、筆を折った経験ってある?私はない。
昔から話を考えるのが好きで、無いお小遣いを叩いては、100均でノートを買い漁り、話を書いてた。
ノートの柄選びはとっっても重要だった。
小学生の時はいかに可愛いか、中学生の時はお洒落に見えるかが大事だった。
ウサギやクマが書いてあるものより、何も書いてないもののほうが良くなってったんだよね。プロフ帳とかそうじゃなかった?
…脱線した。とはいえ、長編が苦手とわかってからは、短い話をメインにするようになった。
案外、筆って折れにくいよね。シャーペン1本、鉛筆1本、折ったことなくて。
シャー芯、鉛筆の芯はポキポキ折るけど。
尚更筆なんて折れにくいよね、だって硬いもん、洗い忘れた書道の筆。
…筆を折る、じゃなくて芯を折る、じゃだめかな。
あーでも、それじゃ簡単すぎて、筆を折ったことにはならないか。
でも、昔の人ってどーやって筆を折ってたんだろう…やっぱり、両手で持って、膝で真ん中からボキっと、なのかな。
ずーっと独り言を呟くしかないから、ついつい脱線しちゃう。人と会話とか出来るのかなこれで。
…そんなの全部どーでも良くって!本当に、物語を書く上で、挫折するって経験がない。
だってだって、続きが思い浮かばなくて、中途半端にしておいても、ちゃーーんと終わりまで書いてあるんだもん。あとね、全然書いた記憶ない物語がノートにできてる時があるの!!私ってば天才!!
厄介な奴の体を棲家にした経験はあるだろうか。私はある。
昔から物語を考えるのが好き!と豪語する割に、筆が遅くて展開やキャラクターもワンパターン、こんなの書きたい!と思う癖に書かない。
ようやく書いたと思えば中途半端に終わらせる…。
珍しく物語が出来てる時は、私が納得いくまで奴の体を借りて書いてる。
…あー、早く他の人間に移住したい。
もっと書く気のあるヤツとか、作家センセも良いなぁ。自分の作品を、他人の体を通して世に発表できる…!!ワクワクするなぁ。
逆に編集者を乗っ取って、センセを急かす方も面白そうだ。我ながら良い案!!
…ただ、乗っ取った奴の睡眠が要のこの私。
こいつは死ぬほど寝るからその点だけは良いんだよな。なんせ、起きる確率の方が低いからな。