【雑記】嘘のエピソードトーク
「嘘のエピソードトークしていいすか」
「え、何」
「嘘のエピソードトーク」
「どういうこと?」
「思いついちゃったんですよ」
「エピソードトークを?」
「はい。でも実際には無かったことなので」
「何を言ってんの?」
「でも話したいじゃないですか。エピソードトーク」
「こういうことがあった、っていう話じゃないの? エピソードトークって」
「なかったんすよ。でも思いついちゃって」
「話したくなった?」
「はい。嘘なんですけど」
「まぁ…じゃあ…いいよ、話してみて」
「うち、枕がすごい古くって」
「はぁ」
「もうそろそろ買い替えたいなって思ってたんすよ」
「うん」
「それでこないだ、仕事終わりに行ったんすよ。無印良品」
「無印ね」
「家具買う時って最近もう全部無印なんすよ。それで帰りに寄って」
「うん、まぁ、いいよね、無印」
「ちょっと長めのやつにしようって思って。枕買ったんす」
「うん」
「でも枕でっかいじゃないすか。だから袋からすごいはみ出て」
「うん、そうなるよね」
「もう袋から半分以上出てんすよ」
「はぁ」
「それで僕、焼き鳥屋行っちゃって」
「何やってんの?」
「ほらあの、駅前の、煙もうもうの店行っちゃって」
「いやほんとに何やってんの?」
「焼き鳥食いたかったんすよ。あと酒」
「それはいいけど」
「枕持ったまま行っちゃって」
「わかるだろ、どうなるか」
「でも枕軽いから」
「体積があるだろ」
「軽いと存在って無いんすよ」
「あるよ。ないことないよ」
「でまぁ行っちゃって、結構食っちゃって」
「それはいいけど」
「満足して帰るじゃないすか。枕変えるじゃないすか」
「うん」
「もうすっごい焼き鳥」
「だろうよ」
「毎日、焼き鳥のかおりに包まれて寝てます」
「いやぁ…」
「どうすか」
「でもこれ嘘なんだよなぁ…」
「はい」
「何の話だったの?」
「嘘のエピソードトークです」
「だからそれが何なんだよ」
「思いついちゃったんで」
「そういうこともあるかもだけど」
「でもちょうどよかったでしょ?」
「まぁ…」
「それにアレですよね、僕が嘘だっつったからこうだったけど」
「うん?」
「何も言わないで話してたら信じてたでしょ?」
「まぁ…」
「それにもっとウケてたはずなんですよ。『何やってんの?』のとことか」
「力の入り方がね」
「もうすごい…『何やってんの!!!!!!!??????』くらいになってて」
「そうかもしれんけど」
「ね?」
「嘘だからなぁ…」
「騙したくはなかったんすよ。エピソードトークがしたかっただけで」
「これも善意と言えるのか…?」
「まぁそういう時もあるっす」
と、いう話を会社の同僚とこないだしました。
すいません。してません。全部嘘です。