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05

なんとなく肌感でわかることがある。
明確な確信はないけれど、あなたが連絡してくることが。
SNSであなたの投稿が仕事疲れた系になったりすると思う。

「まだおきてんの?」

深夜2時。私がSNSになにかしら投稿してそろそろ寝ようとしたときの連絡。

「今から寝るとこだよん」
「そっかーーーー」

毎日連絡を取り合うわけでもないし、目立ってSNSで絡むこともない。
そこ仲良かったの?と言われたら、知らない人は多そう。

「なに?電話する?」
「してやらんでもない」
「歯磨きしてくる」
「ん」

歯磨きを済ませベットに入り電話をかける。
早く出ろし、と思いながら呼び出し音を聞く。

「ん、おつかれ」
「おつかれさま、早く電話出なさいよ」
「すみません。もう寝る姿勢?」
「もうベットイン、今日は早く寝る」
「いっつもそういって寝ないやん」

不定期で開催される夜中の通話。
適当な会話を適当に繰り広げる。
好き同士ってわけでもない、本当に男女の友達
巷でいう”マブ”ってやつ?

「明日仕事?」
「うち休み~~!」
超絶笑顔で応えてあげる。
「はぁ萎える。土日も働け。」
「あんた今日休みだったじゃん。文句いうなし」
仕事がハードそうなのは何となく知ってるよ。
「しんどいんだけど、あんたと話すと寝れないし」
「じゃあ電話すんなし」
「それとこれは別じゃん?淡い期待で寝れるかなーって思ってんだからさ」
「え、寝んの?」
「寝ないの?」
「まぁまぁまぁまぁ」

寝かしてあげたい気持ちと話したい気持ちが同等くらいにあって
でも電話口でケラケラ笑うあなたは楽しそうで、よかったなーって思う。

「はぁこれ明日の仕事寝不足でイライラしそう」
「寝起きの機嫌よかったことないやん」
「逆にそっちはいつも甘々だよね、寝起き」
「かわいいということで、ありがと」
「自惚れ乙」

「そういえばさ、髪切ったっていったっけ」
「Xみたよ、写真ないの?」
「えーかわいいのないんだけど」
「おまえいつでもかわいいだろ」
「はっ、またいって、ちょっとまって探す」

「明日何時起きなん」
「いつもどーり」
「はっや。私休みなんだけど」
「別に起きんくてもいいけど」
「起こしてあげるよ、仕方ないから。二度寝込みでね」

世に出してない自撮りを送ったりするし
お互いに「可愛い」とか「いい顔」とか言ったりするけど
マブ。周りがなんていうかはわからないけど。
あんまり話せないような話も話せてしまうのはいい関係だと思うね。

基本的にあなたが先に寝落ちしちゃって、私も寝ようとするんだけど
寝れないときはそのまま作業しちゃうときもある。
そのままあなたが起きる時間になると、電話口からアラーム音が聞こえてくる。どうせ二度寝するのに。
起きようとしてるのが可愛い。

「おーい。おきろー」
「……あと10分」
「はーい」

寝起き悪いの知ってるから、あえて7分後くらいに声をかける。
「ちこくすんぞ~」
「んーーー」
しばしの沈黙。
「おきろ~」
「ん。おきたおきた」
「おはよ」
世界で一番かわいいおはようを聞かせてあげよう。
「…はよ。起きてたん?」
「仕事ポチポチしてた」

意外と仕事するのはかどるのがまた困る。
大きい犬を起こすまでのタイムリミットで仕事する感じ。
嫌いじゃない。

あなたが起きて仕事に行くまで生活音流れっぱなしもとっくに慣れた。
コンタクト入らなくてイライラしてるのウケる。

「そろぼちでる」
「ん、がんばって。無理するな」
「ありがと、んじゃ」
「はい~」

通話が切れ部屋が静かになる。
仕事の集中力がきれ、再びベットに横になる。
あーこれ休みなくなるパターンだ。文句言ってやる。
でも仕事がんばってるしな。えらいな。

男女の友情というやつなのか、そもそも男女でカウントしているのか些か疑問ではあるが、彼モテるからいつか知らない人から刺されそうで怖い。
マブです。って言ってもそれを理解できる人は少ないしなぁっと。

また二週間くらいしたら電話してやろ。
今度はあっちが次の日休みの時にしてあげよう。
定期的に不定期開催で話すこの間柄がわたしは心地よくて愛くるしい。




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