キラキラのおみず~いろんなソト時間#1
ある晴れた日。
通りかかった公園から、3歳ぐらいの女の子とお父さんの声が。
「のむの!このおみじゅのむの!」
「だめ! 水道の水飲むんだったら、なんでわざわざ途中でお茶買わせたんだよ。ペットボトルのお茶飲めばいいだろ!!」
届かない蛇口に近づこうと、つま先立ちでプルプルしながら水飲み台にしがみつく女の子。
それを無視して、サッサと歩き出すパパ。
あわてて「ごめんなしゃい!ごめんなしゃい!」と去っていく足元に追いすがる女の子。
何度か置いて行かれ、泣きながら追いかけるを繰り返し。
最後、ふたりは手をつないで帰っていきました。
☆☆☆☆☆
今日はとってもいい天気だったから、蛇口がお日さまでピカッと光り、キラキラのお水があふれては流れ落ちるのが見えたのかも。
それをおいしそうにぐびぐび飲みほす子どもたち。
マネして、飲んでみたくなったんだよね。
怒っていたパパも、べつにペットボトルのお茶がもったいなかったわけじゃなく。
よその子と同じ蛇口に口をつけることで感染の恐れや。
先が見えない仕事のこと、生活のこと、将来のこと。
もっともっと大きな不安や心配でモヤモヤしながら、それでも買い出し帰りに、女の子のために立ち止まって、公園に寄ってくれていたんだよね。
大きなトイレットペーパーの袋をぶらさげて。
☆☆☆☆☆
お外でちょっとだけあそびたい。
その小さなお願いをちゃんと聞いてあげられているから。
キラキラのお水はまた飲めるし、
泣く子と手をつないで帰ったさんぽ道も、
いつか宝物として思い出せる日が来るからだいじょうぶ。