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【そんきか】第5話「子供が大人を選ぶ大人オーディション」

そんきか5話

本インタビューは、大学院生のヒアリングをベースに、NPO法人パノラマが大幅に加筆修正及び創作と演出を施した、校内居場所カフェをわかりやすく学ぶためのコンテンツです。

なお、本シリーズ記事は300円(寄付付き価格)とさせていただき、校内居場所の運営にかかる費用に活用させていただきます。

-------では、ここからは校内居場所カフェについて、より深掘りしたインタビューをしていきたいと思いますので、改めてよろしくお願い致します。

石井と小川:はい、よろしくお願いします。

-------「居場所」とか「サードプレイス」って、ちょっとしたソーシャル・セクターのトレンドだと思うんですけど、ただ単に場を開いて、「どうぞ利用して下さい」と言われたって、利用者さんは利用しないと思んです。やはり、そこには実施者はコンセプトや思いがあって、そういう実施者の狙いと、利用者の期待が合致して、はじめて“ただの場”が“居場所”になると思うんですけど、

石井:そうなの?

-------えっ、違いますか??

小川:聞き手くんがイメージしている居場所って、支援対象者をリスクの高い人にある程度絞り込んだ、ハイリスク・アプローチをしている支援性の強い居場所のイメージなんじゃないですか? パノラマが運営している「ぴっかりカフェ」は、リスクの高い人も低い人も、誰もが利用できるポピュレーション・アプローチというスタイルで運営しているから、ちょっとそのイメージとは違うんですよ。

石井:第2話の、「相談室ではなぜダメっだったんだろう」の答えになるんだけど、学校の中の相談室というのは、そこのドアを叩く人は何かに悩んでいたり、困っている人というスティグマが強く生まれるから、生徒たちからすれば避けたい場所だったりするんだよね。イキがったヤンチャ系の生徒たちにはその傾向はさらに強いかもしれないね。

小川:自分たちを陽キャと自認しているようなタイプだと、そういう陰の部分は見せたがらないですよね。カフェでも、グループから離れて一人でお菓子をもらいに来た時なんかには話せるけど、グループに戻っちゃうと、そういう話はできなくなったりしますよね。

石井:自分のキャラ設定から外れた部分を晒すのはタブーとされているわけだよね。

小川:なんとなく演劇的というか、設定ありきなコミュニケーションの取り方をしている生徒たちが多いですよね。

-------スティグマっていうのは、他者や社会集団によって個人に押し付けられたネガティブな意味のレッテル、汚名や烙印という意味のことですよね。同調圧力の強い思春期の高校生だと、スティグマはより強く発生するということでしょうか?

石井: そうだと思う。だから授業を抜けて僕に会うことが恥ずかしいという状況は避けたかった。だから相談室の外にいようと思ったわけだし、お昼休みや放課後にふらっと会えるのがいいなと。それと同じように、カフェを利用できる生徒が、お弁当の買えない生徒専用だったら、スティグマが発生しちゃって誰も寄り付かなくなっちゃうわけですよ。そもそも、図書館は誰もが使える場所だし。だから、ぼくらのコンセプトや思いっていうのは割と引っ込めているので、聞き手くんが言うような狙いと期待が合致ということではないんです。

小川:薄っすらは常連の生徒たちなんかは感じているみたいですけどね。それくらいが丁度いいですよね。なんでこんなことやってるの?って生徒に聞かれたりしますよ。

-------そういうときはどんな風に答えているんですか?

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