【石井と小川の「そんなことを訊かれても」】第0話「カフェが始まる前は何してた?」
本インタビューは、大学院生のヒアリングをベースに、NPO法人パノラマが大幅に加筆修正及び創作と演出を施した、校内居場所カフェをわかりやすく学ぶためのコンテンツです。
NPO法人パノラマ:2015年3月設立、職員11名の小さな法人。横浜の北部エリアを中心に、高校内で中退や進路未決定、早期離職等を予防する校内居場所カフェや相談事業等を運営。また、引きこもり等の社会に出にくい若者たちの社会的自立を支援する「よこはま北部ユースプラザ」の運営などを行ない、途切れのない支援を地域の中で実現することをミッションとしている。「すべての人をフレームイン!」がミッション・ボイス。
石井 正宏(いしい まさひろ):NPO法人パノラマ代表理事。無資格・未経験で引きこもり等の若者支援に偶然取り組むようになり早21年。支援の言語化が得意な文学系支援者。未だ無資格だが、内閣府や厚労省、行政や民間から講師依頼が来る若者支援業界ではちょっとした有名人。「ぴっかりカフェ」「BORDER CAFÉ」のマスター。社会人となった3人の子供の父。アナログ・レコードを集めすぎて置き場に困っている人。ギターやウクレレを奏で歌う人。
小川 杏子(おがわきょうこ):NPO法人パノラマのスタッフ。東日本大震災後から福島の子どもたちの居場所づくりに取り組む。トルコ研究&放浪生活中にパノラマに出会い、無資格未経験で若者支援分野に飛び込み早4年。生徒たちから「あんこ(杏子)」と呼ばれるナメられキャラ。まずはやってみて考えるタイプ。パノラマが運営する2つの校内居場所カフェでボランティアさんのお世話をしたり、お世話をされたりしている。石井と共にカウンターに立ち日々生徒と過ごしている。
聞き手くん:若手居場所研究家。理屈や理論、理想が先行するタイプ。ネットで見つけた「ぴっかりカフェ」の活動に感銘を受け、今日は意気込んでインタビューに来たものの、研究者と実践者との感覚の違いにカルチャーショックを受ける。秘かに居場所カフェ・デビューを狙っている。
第0話「カフェが始まる前は何してた?」
----------:どうも、居場所研究家の聞き手くんです。本日はよろしくお願い致します!
石井と小川:はい、よろしくお願いします。
--------さっそくですが石井さん。「ぴっかりカフェ」を始める前までの支援経験について教えてください。
石井:え〜そこからぁ〜?
--------すみません(汗)。なぜ高校の中で石井さんがカフェを始められたのか、というところから押さえていくことで予防支援という意味が理解できるようになると思うので、かいつまんでいただいてけっこうですのでお願いします。
小川:けっこう大事なところですよ、石井さん!
石井:ではかいつまんで。2000年のミレニアム・イヤーに、やったことがない仕事に就くというコンセプトで転職活動をしていたら、まったく興味がなかった引きこもりの若者支援の仕事をハローワークで見つけて、福生市にあるNPO法人に就職しました。そこで約10年、現場の責任者としてアウトリーチ(家庭訪問)や本人・保護者の相談、イベントや生活寮の運営、就労支援のプロジェクトとか。あと若者自立塾とかサポステ(地域若者サポート・ステーション)なんかの委託事業も立ち上げからやらせてもらいました。ほんと、ありとあらゆる支援を経験させてもらったというのがまずあって。
--------転職のコンセプトとか興味があり過ぎなのですが、先へ急ぎますね。では、その10年は石井さんにとってはどんな10年だったんですか?
石井:えっ? どんな?? う〜ん、そうだなあ……。引きこもってからの支援の大変さを思い知った10年だったかな。支援者もだけど、当事者にとってもね。引きこもりの若者たちって「助けて」と言えないんですよ。でも、全員ではないだろうけど、多くの引きこもりの人たちは助けを待っていて。ぼくら支援者や大人たち、社会の方から手を差し伸べてあげないとダメなんだってことがわかった10年かな。
--------2009年に株式会社シェアするココロで起業されたんですよね。
石井:そうですね。ちょうど、引きこもってからの支援に限界というか、罪悪感を感じてしまうようになっている時期に、定時制高校の生徒にワークショップをするという依頼があって。キラキラした目をした高校生に出会ったとき、これくらいの年齢から自分が付き合えれば、多分あんなに苦しまなくても済むんじゃないかって思うようになって、予防支援ということを考えるようになりました。だけど、自分のいた団体でそういうことをやろうというムードにならなかったので、じゃあ自分でやるかっていう感じで起業しました。まあ、本当はもっといろいろあったんだけど(苦笑)
--------いろいろあった部分も気になりますが、今回の趣旨から逸れるので質問は割愛させていただきます。
小川:そこのいろいろ聞きたい(笑)
--------起業してすぐに田奈高校での支援を開始されたんですか?
石井:いや、その時にはまだ田奈高校とは出会ってなかったし、すぐには高校の中では仕事をさせてもらえなくて。講師業という形で、キャリア教育っぽいことをやっているように見せかけておいて、引きこもりやニートにならないために今するべきことは、なんてことをコツコツやってたかな。それと横浜市の若者支援のポータルサイトの運営。そんなことをしてたら「よこはまパーソナル・サポートサービス」(以下PSと略)という生活困窮の総合相談が始まるから、若者支援担当としてコミットしないかというお話をいただいて。そこにパノラマの理事の鈴木晶子さんがいたりしたんですよね。毎週1回相談員としてお邪魔するようになったら、そこに田奈高校のK先生という方が連携先を求めて挨拶にやって来たんですよ。
--------田奈高校との邂逅がそこであったんですね!
石井:あぁ、まさに邂逅ですね。ここも話すと長くなるんだけど。
--------すごく聞きたい感じもしますが、このペースだとカフェの話に辿り着かないので先に進めちゃいますね。
石井:K先生が来てから、当時の校長先生も動いて、横浜市を巻き込んだPSとの連携の話があっという間に進んで、出張相談を開始することが決まって。さて誰が行く?というところで、「予防支援が大事なんだ!」と声高によく語っていたから、当然といえば当然なんだけど、ぼくに白羽の矢が立ったわけ、それが2011年の4〜5月くらいかな。
--------なんとなくここまでは、ありがちな展開と言ったらちょっと失礼かもしれませんが、なんとなく想像がつく話だと思うんです。でも、ここから相談室ではなく、図書館というパノラマ的な「場」が出てくるわけじゃないですか? その辺りはどういう経緯だったんですか?
石井:おっ!聞き手くんもちゃんと勉強して来てるね。え〜とね、
小川:あ、石井さんちょっと待って下さい。ここから先は大変申し訳ありませんが有料コンテンツとなります。以下をお読みのうえ、是非引き続きお付き合い下さい!
【第0話 聞き手くんメモ】
✏ 石井さんが未経験且つ無資格で引きこもり支援の分野に入って来ていたことにびっくり!➾どこか自由な発想に関係はあるのだろうか?
✏ 石井さんは、引きこもりの支援に限界を感じたから、高校生への予防支援に力を入れている。
➾待つ支援から、出会う支援、つまり「川下の支援」から「川上の支援」に舵を切った。
✏ 田奈高校のK先生が学校だけで生徒を支えようとせずに、支援機関に訪れさせた動機はどこにあったのだろう。
➾前に先輩に勧められた、講談社現代新書の黒川祥子『県立!再チャレンジ高校』も読んでみる!
※有料記事配信のお知らせ
石井と小川の「そんなことを訊かれても」は、
第1話以降300円(寄付つき価格)にて有料配信とさせていただきます。
★第1話「このままでは相談室にぶちこまれる!」
https://note.com/npopanorama/n/nbd124b1f9bf1
全国にも広がり、注目を集めている「校内居場所カフェ」。
取組みとしては注目をされているものの、行政の財源がついていないカフェも多く、パノラマの運営するカフェも民間の助成金や寄付金を集めて運営をしています。
今回、記事を公開するにあたり、みなさまに校内居場所カフェについてより深く楽しみながら知っていただきながら、活動を応援いただければと思い、有料配信とさせていただきました。
なお、記事の売り上げは、校内居場所カフェ運営にかかる費用として活用させていただきます。
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