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もっと馬を! 吉永みち子
月刊「太陽」への連載を書籍化したものに、一部追記と、ホースサミットに関する章が追加され、11章+1。馬に関する様々なテーマを幅広く扱っている。
木曽馬、ばんえい、サーカスの馬、相馬野馬追、地方競馬騎手候補生、東海道を馬で行った人(「東海道を馬で行く」参照)、馬市鑑定人、ファンタストクラブ創設者、仙美里馬魂碑と軍馬、対州馬、野間馬と軽乗馬。そして、最後にホースサミット。
木曽馬の第三春山号の安楽死にまつわる話や木曽馬の保存に関する議論、サーカスから馬が減っていく過程で問題になっていたのが蹄鉄を打つ人がいないということ(東海道を馬で行くときにも問題になっていた)、馬市鑑定人が競り市の期間中は人と会わないようにして公正にこだわっていることや常連客のクセも意識してなるべくしっかりと値段が上がるようにしていること、仙美里駅の馬踏板の存在や軍馬として100万頭?が徴用されて日本から大陸に渡り帰ってこなかったことなど、知っているようで知らなかった意識していなかった話が続々出てくる。
ここまで様々なテーマの馬にまつわる話を一気に読めるのは馬好きとしては楽しい。
時代が変わっているので、色々状況が変わっていることもあるだろうが、時代が変わっているだけにこういう話が残っているのは重要。
そして、単行本化にあたってホースサミットの話題に加えていくつかの追記があり、そのうちの1つが戦後唯一日本に帰ってきたとされる軍馬勝山号の話題。明治神宮を経て帰ってきたようであり、功労章は馬の博物館にあるらしい。もしかして馬の博物館で意識せず関連展示を見てたかもしれない。
というか、そもそも軍馬は原則として内地に戻ってこなかったというのは知らなかった。帰らぬ旅に出た馬たちには頭が下がる。
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また、勝山号で検索すると、「戦争にいったうま」という本に対する抗議文がヒットした。勝山号について昨日知ったレベルのにわかな私にはコメントする能力はないが、今なお勝山号について深い思いを抱いている方がおられることはよく分かる。
馬という生き物が様々な場所で活躍し、人間の思惑に応え、翻弄されてきたことも分かる本であった。馬について知るとっかかりになる本。