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「日本一住みたい田舎」今治。その陰には山有り谷有りの歴史があった。【今治合宿①】


時は西暦2024年8月7日。ECOFF学生支部が設立されてはや1年が経とうとしていた。容赦なく太陽が照りつける、夏真っ盛りのその時期に、それは決行された。

ECOFF学生支部、夏合宿。

初めての試みである。

もともとslack上及び通話ツールを使ってMTGをし、各々活動することが多いので、直接対面して交流し、親睦を深めよう、というのがコンセプトであった。

ECOFF代表の宮坂さんが昨年12月頃に台湾からECOFF関係者等の知り合いのつてをたどって移住してきたばかりであり、せっかくだしそこで集まろうか、という話になった。

その移住先が今治であった。

合宿といいつつも、BBQしたり、観光船に乗ったり、地元飯を食べたり、正直だらだらと過ごす時間が長かった。

その分、当初の想像以上に今治という土地を知ることができたし、都会疲れを存分に癒やすことができた。

今回は、今治市の紹介と、私たちが経験したことを、いつも通りだらだらと紹介していこうと思う。

今治駅からみた駅前の風景。適度に建物の数。車の数。人の数。ちょうどいい。

【今治市の基本的な話から…】

まず基本的な情報から紹介。

「いまばり」と読みます。一応。
友人が「こんじ」って読んでたから補足しておこうと思って。
まあそれはおいといて。

今治市は愛媛県北東部の東予地方に位置する市である。
中学校社会で習う「瀬戸内工業地域」の一角を担い、農業、漁業及び工業で栄えてきた街である。

総人口は14万人をこえるとされており、四国の中では県庁所在地4都市に次いで5番目に人口が多いとされている。

田舎、と呼んでいいのか迷う規模ではあるが、いざ行ってみると町並みは田舎そのものだったし、車で少し走らせたらあっという間に集落だったので、人の数に目をつぶれば十分田舎と言っていいと個人的には思う。

とにかく、生活には困らない。

気候に関しては瀬戸内海特有の、温暖で降水量も少なく一年を通して晴れの日が多い、いい意味で特徴のない気候であり、非常に過ごしやすい地域である。

宮坂さん曰く「災害にめっぽう強い」らしい。
大雨然り、地震然り、リスクがもっぱら低い立地らしい。

実は合宿中の8/8、16:42に、後に日向灘地震とよばれるM7.1の非常に大きな地震が発生し、震源に最も近い宮崎県では最大震度6弱を記録した。
滞在地でも大きな防災サイレンがなったが、いくら待っても一切揺れることはなかった。
災害への強さを体感するには十分であった。

穏やかな今治の街を象徴するのは穏やかな海、瀬戸内海。
全長約60kmの自動車専用道路が広島県尾道市まで続く、人気観光スポット「しまなみ海道」は知っている人も多いのではないだろうか。

日本のナショナルサイクルルート、さらには世界7大サイクリングルートに選定された、いわずと知れた観光スポットである。

地平線まで続く真っ青な海。
そこに転々と浮かぶ、小さくて、でも荘厳な島なみ。
「ここに住み着いて毎日でも眺めていたい」。
そう誰にでも思わせるような圧巻の景色。

そんな街、今治。


展望台から見下ろした瀬戸内海。島が群れをなして一列に並んでいる。


【今治奇跡の復活劇①―高級タオルの衰退】

今治といわれて真っ先に思いつくのはおそらく

これ。

「今治タオル」である。

他のタオルと比べて上質できめ細かい織りが特徴で有る。複雑な色柄を表現出来るその製法は「ジャガード織り」と呼ばれ、そのデザイン性を含め、多くの外国人からも親しまれている。

かつては年間5万トンの生産量を誇るほどに国内外で重宝されていた。

しかしバブル崩壊とともに安価な商品を求める流れが高まる。
輸入タオルが普及、中には有力なタオルメーカーが拠点を海外に移すなど大きく業界は揺れ動き、今治タオルはかつての1/5まで生産量が落ち込んだ。

そこで経済産業省支援のもと始まったのが「今治タオルプロジェクト」。

目指したのは「質を下げてでも安価なタオルを提供する」ことではなく、「更なる質の保証」。今治タオルの良さをそのままに、他と一線を画する高クオリティを追求することで、タオル業界で独自の立ち位置を確立することだった。

「タオルマイスター制度」の創設やタオルソムリエ資格試験の実施を経て、今治タオルの生産量は回復、国内外での認知度が高まるに至った。

現在今治は日本一のタオルの生産地であり、国内の生産量の5割を占めている。


タオルミュージアムにて。みっふぃー柄の巨大タオルが大量生産されていた。
ちぎって一匹連れて帰りたい。

今治奇跡の復活劇②―自治体消滅の危機

また、タイトルにもあるが、今治は「日本一住みたい田舎」としてその名を全国に轟かせている。
ECOFFに興味を持つような趣味嗜好の方々なら知っていてもおかしくはない情報であろう。

今治市は、令和6年1月4日発売の宝島社『田舎暮らしの本』2月号において、「2024年版 住みたい田舎ベストランキング」の人口10万人以上20万人未満の市のカテゴリーで

〇総合部門 1位(2年連続)
〇若者世代・単身者部門 1位(2年連続)
〇子育て世代部門 1位(3年連続)
〇シニア世代部門 1位(3年連続)

という圧巻の結果を残した。

決して順風満帆な道のりではなかった。

日本で全国的に進んでいる少子高齢化。今治も例に違わず1975年ごろをピークに人口が減少し、消滅可能性自治体のひとつに指定されていた。

消滅可能性自治体 (しょうめつかのうせいじちたい)とは、日本の地方公共団体内の低い合計特殊出生率や若年女性の流入不足のため、2024年から30年後(2054年)の推計で「移動仮定における20代から30代の若年女性人口の減少率」が2024年レベルのままが続いても、減少率が半数以上になる地方公共団体

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

現状を打破すべく、今治は街総力をあげ、人口減少対策や地域経済の活性化のための活動を進めた。

子ども事業としては、子育てファミリー応援ショップ、子育て応援ヘルパー派遣、未熟児の医療費助成、おむつ券、小中学生の医療費助成…

移住促進事業としては、移住者住宅取得事業費補助金、空き家リフォーム補助金、お試し移住滞在事業費補助金、移住コーディネーターの派遣…

他には、令和4年11月から今治港を舞台に「せとうちみなとマルシェ」が始まり、年間10億円を超える経済効果がもたらされたり。

また、サッカー元日本代表監督の岡田武史氏が地元クラブ、FC今治のオーナーに就任したり。

地道な活動の上に再復興は実現したといえるだろう。

岡田元監督。今治市の学校法人の学園長にも就任したそうです。器が違う。

今治は今後、ボランティアの受け入れ先として正式に活動を開始する可能性があるという。

申し込みこそまだではあるが、これを期に今治コース(仮)の同行をうかがってみてはいかがだろうか。

さあ今治の紹介が終わったところで続きはまた今度!
今治合宿で体験したこと、観光したところを余すことなく紹介します!

それでは!







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