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vol.2 寛太さん番外編 【いや、そういうことなんですよ】

初めに


 今回は寛太さんインタビュー番外編だ。この記事では、僕が春休みに寛太さんのお家にお邪魔した時のことを書き連ねていこうと思う。その前に嬉しい事が一つだけあったのでそのご報告を。前回の記事を読んだ僕の友人が「自分もかんたはうすに行きたい!」と言ってくれて、2人で寛太さんのお家を訪れることができたのだ。前回寛太さんと関わった時に「このつながりを一回で終わらせてはいけない」と思ったので、つながりをまた新たに作ることができて、非常に嬉しかった。
前回の記事を読んでいない方はこちらから→https://note.com/npo_times/n/n766b671b6ee0
 それでは、早速内容に入っていこう。

 2023年3月10日、かんたはうすでの2泊3日が終わり、花巻の駅に戻ってきた。周囲を見渡しても、一本の道路と山と川しかないのだが、その経験はまたしても素晴らしいものだったし、寛太さんには刺激をたくさんもらった。かんたはうすを離れることに一抹の寂しさを感じるとともにまた来ようと心に決めた。そんな大迫で過ごした3日間の中でもハイライトは、農業大学に通っているりんちゃんと彼の卒業論文について話をしたことである。今回のNoteはりんちゃんに触れながら、大迫での経験・思ったことを書いていこうと思う。

かんたはうすの屋号



1.農業大学生りんちゃんとの話

 
 りんちゃんは2022年の夏にかんたはうすに2週間泊まっていた強者である。寛太さんとの親交も深く、彼の言動や意見は寛太さんから大きく影響されている(と、僕は思う笑)。それだけでなく彼は非常に情熱的で「種ありぶどう」と「大迫」を世界に発信していこうという意思をひしひしと感じた。僕がこの記事を執筆しようと思った一番の動機は、彼の活動を発信し、応援できたらいいなと思ったからである。記事の最後の方にはりんちゃん(と、寛太さん)のインスタグラムアカウントのリンクを貼っておくので興味がある人がいたらぜひ追加してみてほしい。
 さて、りんちゃんの卒業論文のテーマは「種ありぶどうの美味しさを広めること」である。(2022年3月7日時点の情報でこれはおそらく随時更新中!!)具体的には、種ありぶどうの木の剪定、収穫などのプロセスを研究して、美味しい種ありぶどうを作るというのが一つ。そしてそれをInstagramなどのSNSを通じて発信し、試飲会イベントで種ありぶどうをぶどうジュースにして飲んでもらう。それによって種ありぶどうの美味しさをいろんな人に実際に体感してもらうというのがもう一つだ。正直、この内容を最初に聞いた時にはびっくりした。なぜならこの内容は、他の農大生の研究内容と比べるとかなり異色だからである。他の農大生のテーマは果樹の育成方法の効率化に関わる研究が主であり、1年間で種ありぶどうの発信と研究を両立するりんちゃんの卒論はかなり負担の大きいものとなっている。具体的には卒論は来年の2月までに完成させなければならないため、来年の試飲会に向けて、納得のいく種ありぶどう作りの研究を行うのと並行して、その様子を発信し続けなければならない。また、農業大学においてSNSによる発信は前代未聞であり、教授にもノウハウがない。その状況下で1からSNSでの発信方法を学び、それと並行して種ありぶどうの研究を進めるのは非常にチャレンジングなことに思えた。ただ、彼も見ていると不思議と応援しようという気持ちになれた。なぜ彼はそんな突飛な挑戦を始めようと思ったのか。それは彼のバックグラウンドと関係がある。何を隠そう彼も大迫で生まれ、大迫の現状と種ありぶどうをずっと見てきたのだ。彼と僕のその時の会話を再現してみた。

僕「そもそもSNSでの発信をやろうと思ったのはなんでですか??」

りんちゃん「大迫にはひな祭りや神楽などのイベントごとに人はそれなりに来るものの、「ワインと神楽の里」としての周知度は低いままなんすよね。それを広めていきたくて。」

僕「なるほど」

りんちゃん「それから日の目を浴びていないキャンベルっていう種ありぶどうがあって。それを広めていきたいんですよね。もう身近な友達には半強制的に食べさせて広めてるんですけど笑。なかなか種ありぶどうを食べる機会って普通に生きているとないじゃないですか?」

僕「そうですね〜。スーパーで売られているものも種無しぶどうが圧倒的に多いですよね〜。」

りんちゃん「ですよね。種ありぶどうの美味しさと大迫を広めていきたいっていうのはずっと思っていて。でもそんな時に寛太さんに出会って、このテーマにしようとしてるんですよね。実習で寛太さんの家に泊まったときに気づいたんですけど、寛太さんって人と関わって農業に目を向けさせることができる本当にアクティブな方じゃないですか。だから僕も「関わり」を大事にしていきたいなと思いました。」

僕「寛太さんの影響なんですね!」

りんちゃん「そうなんです。」

寛太さん「ありがとうございます笑。こうやって、PRに注目した活動を行っていくことってすごくいいですよね。農家さんもこうした発信に課題を抱えていることが多く、自分の農作物をJAに売るかワイナリーに売るかしかなくなっちゃっているんですよ。だから発信についての過程を卒論にすることで農家さんにとってもすごく有用な情報を提供できると思っていて、すごく応援したいですね〜。」

 僕が知っているのはここまでなので、あとはりんちゃんのインスタグラムを確認して欲しい。3月に一緒にアカウントを作った時、彼はインスタの知識が全くなかったはずなのに、彼のアカウントでは今楽しそうにぶどうの活動を発信している。自分が日々生きているだけでは触れられない世界について身近に感じられる機会は貴重だし、お勧めです。


りんちゃんのインスタグラム→https://www.instagram.com/rin__grape/ 

寛太さんのインスタグラム↑




2.剪定体験


 この時期の農家さんは比較的忙しくないらしい。その中でもやらないといけない作業がある。それは剪定である。剪定とは、前の年に伸びて充実した枝を残し、貧弱なものを切除する作業だ。僕たちも実際に関わらせてもらったが、これを一人でやるのは孤独だろうな〜と、切に思った。何せキリがない単調作業なのだ。実際にやっていると、ものの3分で集中力が低下していくのを感じる。農作業を一緒にするパートナーがいれば良いけど、いなかったら退屈だし、しんどいだろうなと強く感じた。


剪定をするぶどう畑
剪定をする僕たち

3.終わりに


 最後に今回の副題である、「いや、そういうことなんですよ。」を回収していこうと思う。これは何かというと寛太さんの口癖だ笑。寛太さんはお酒を飲んでいるとよく「いや、そういうことなんですよ。」と言う。最初は「いや、どういうこと??」と思っていた僕だが最近ようやくわかるようになってきた気もする。これまでの寛太さんとの会話、行動を振り返ってみると寛太さんの行動の中に「人と関わり続けながら古い伝統を壊し、若い人を中心に新しい時代に即したものを作る」という指針がある気がする。それを起こせるような行動に対して寛太さんは「そういうこと」と言っているのではなかろうか。そしてこの寛太さんが重視しているものは、地方創生、町おこしの課題解決という文脈において非常に正確なもののように思われる。僕も東京と地方で、変化を起こせるようなエネルギー、活気の量の違いを感じたことは多々ある。そもそも若者の数が少ない地方だが、そこから高校や大学、就職のタイミングで多くの人が教育機関や就労機会を求めて、東京など大都市へ行ってしまう現象が僕の周りでもよくみられた。寛太さんはそんな中、大迫に飛び込んできた。しかも単身でどうにかするのではなく、周囲の人間を巻き込んで街を少しずつ変えている。例えば関東から千葉商科大学や東京大学の学生を呼び寄せ、学生と協力して町おこしを考えたり、隣県や別の地区から来た様々な人と一緒に交流しながら農作業を行ったりしている。そして今回はりんちゃんだ。僕は今回りんちゃんと会えて嬉しかったし、寛太さんやりんちゃんの活動を微力ながら支援していきたいと思った。何より、寛太さんに「いや、そういうことなんですよ。」と言われるような活動ができるようにこれからも関わり続けていきたい。(終)



歌う寛太さん




【執筆者】
東京大学経済学3年 伊藤 憲佑
出身が岩手県なので、教育格差を含む地方格差に一番関心がある。サッカーとK-POPが好きでBLACKPINKの京セラのライブに最近行った😭







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