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受刑者が取り組む回復プログラム―NPO法人マザーハウス会報「たより」2023年2月号Pick Up

NPO法人マザーハウスは、受刑者・出所者の社会復帰支援をする団体です。私たちは会報誌「たより」を毎月発行しています。

塀の中の受刑者から寄せられた手紙(便り)や絵、社会にいる私たちから送りたいメッセージなどを掲載しています。今回は2023年2月号の内容をご紹介します。

エイル・Nさん

受刑者が取り組む「回復プログラム」

受刑者の皆さんにお送りしている「回復プログラム」冊子の抜粋を「たより」にも掲載しています。繰り返し取り組んでいただき、自分自身を知ることに繋げていただけたらと思っております。このnoteを読んでくださった方にも取り組みを知っていただけたらと思い、今回ご紹介します。

【第10回目】社会に出る前に、被害者に対しての思いを整理する。
1.被害者の前に立つ自分を想像し、被害者に何と「声かけ」をしますか。
2.自分がもし被害者だったら、加害者である「あなた」に何と言いたいでしょうか。真摯に考えて、その時の思いをひとつひとつ丁寧に書いてみて下さい。
3.被害者に対して、あなたができることは何でしょうか。心に思い浮かぶことを全て、書いてみて下さい。

一兵さん

元受刑者による特別講義 学生たちが感じたこと

マザーハウス代表の五十嵐が国士館大学で今年7月に行った講演に、学生さんたちが感想を寄せてくださいました。2023年1月号に引き続き、その一部をご紹介します。

犯罪を犯してしまった人に対して恐怖を感じる考えを、変えていく必要があると思いました。犯罪を犯してしまった人の中には、怖い人は一定数いると思いますが、大抵の人は刑務所から出所し、更生をして、私たちと同じような人生を歩んでいるということを理解し、接していく必要があると感じました。

法を破れば犯罪であって、それは世界にとっての悪なので、当然擁護はできませんし、社会で孤立してしまうのも、社会的信用を失うようなことをした結果であり、自業自得だとも思います。でも、その行動が善でも悪でも、様々な背景があること、犯罪者・前科者である前に、一人の人間であることを忘れてはいけないと思いました。

現状、犯罪者や前科者について社会はあまり寛容ではないですが、少子高齢化のご時世も相まって働き手の需要は多いと思うので、刑期を終えて過去を悔い改めたのであれば、前科者だから社会に受け入れられないというラベリングに陥らず、前向きに社会に参加してほしいと思います。そのためにも就労支援機関の方々の努力だけでは限界があるので、社会における偏見や先入観を軟化させるために、自分ができることは何か、考えていきたいです。

光りんさん「ユニコーン」

「塀の中のたより」~受刑者からの手紙~

受刑者から私たちのもとに届いた手紙のうち一部を抜粋してご紹介します。なお本人の許諾を得て掲載しています。

何かを得るには、何かを諦めなくてはなりません。所内生活を通して、自分が犯した過ちの原因を探り、改めるには、自分を律し、自分に打ち克ち、他人の意見に左右されない「自分」を作って行かねばなりません。

裕鴨さん

近頃は家族とも出所後の事について具体的に話し合うことが多くなりましたが、逮捕されてから長期間社会と離れているため、沢山の不安もあります。しかし、家族以外の信頼できる友人達も一緒にサポートしてくれるそうで、しばらくは支えてもらいつつ、何とか日々を乗り越えていきたいです。

大阪のピーちゃんさん

誰彼に 少数派だと 言えなくて目立たぬように 生きてゆかねば

珍人さん
Tatsuyaさん

編集後記

受刑者や出所者すなわち加害者の支援を行うことが、再犯防止に繋がり、被害者を減らすことに繋がる。普段そのことを信じて活動していますが、世の中で痛ましい事件が起きたことを知るたびに、その心は揺れることもあります。

でもその逡巡こそが大事だとも考えています。加害と被害について、考えることをやめないこと、ためらいの中で活動を続けることが、自分に求められていることのように感じます。

今回は受刑者の皆さんが取り組む回復プログラムの一部をご紹介しました。これを読んだだけでも私は、さまざまなことに思いがめぐり、胸が痛くなりました。被害者の少ない世の中がつくれるよう、私も私にできることをしていきます。

執筆:黒木萌

マザーハウスの活動へのご支援のお願い

NPO法人マザーハウスでは、受刑者・出所者の回復と社会復帰(就労や生活支援)のためのさまざまな事業を行っています。活動を支えてくださる方からのご寄付・ご支援をお願いしております。

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ご支援の方法③マザーハウスオンラインショップでの、フェアトレードコーヒー「マリアコーヒー」等のご購入支援

マザーハウスでは活動の一環として、「マリアコーヒー」を販売しております。マザーハウス事務所にて、元受刑者が販売に携わっており、収益金は受刑者の更生・社会復帰支援等に使用いたします。

ルワンダから仕入れたフェアトレードのコーヒーであり、生産地ルワンダの生活や産業の発展にも貢献しています。マリアコーヒーが使用しているルワンダコーヒーは、日本国内のコーヒーシェアにおいて大変貴重な希少種でありながらも、近年の世界中のカッピングコンテストでは上位入賞の常連です。

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