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受刑者を”正しく知る“機会を-高校生が東京拘置所を訪問

NPO法人マザーハウスは、受刑者・出所者の社会復帰支援をする団体です。

私たちは、受刑者・出所者といった当事者たちへの個別具体的な支援を行うとともに、社会に対して「社会復帰や更生は一人ではできない、周囲の人々の理解と支えがなければできない」ということを広く伝えていくことに取り組んでいます。

代表の五十嵐弘志が3月29日、受刑者との面会のため東京拘置所を訪れました。この日は高校生からの同行希望がありました。

彼女から「就労や再犯推進計画のことを知りたい」という要望があったため、犯罪をした者や及び非行のある少年を一定の期間保護し、自立更生を支援する施設「更新会」の山田専務理事と、千代田区の再犯防止担当係長との面談も行いました。

高校生が私たちマザーハウスを訪れるのは珍しいことです。一生懸命に学ぶ姿に感心しました。 

面会について、彼女は次のような感想を寄せてくれました。

3月29日、高校2年生の春休みに人生で初めて東京拘置所を訪れた。コンクリート打ちっぱなしで建築された東京拘置所は入り口から無機質さを感じさせた。エントランスへ入ると直ぐに面会手続きのための窓口へ向かい、所定の申込用紙に名前や住所などを記入して面会を申し込む。窓口では、拘置所で働く職員と私たちとの間にもアクリル板が設置されており透明ながらも”塀の”中”と”外”を意識させた

申込用紙を提出し、約5分程でパネルに私たちの面会番号が表示されたので面会室へと向かった。待ち時間には拘置所内の売店を見学した。まず、商品の品揃えの多さに驚いた。面会室までの道のりは7分程であったと思う。ロッカーに荷物を預け身体検査を受けた。

その際、初めに使用したロッカーが壊れていて荷物を収容することが出来なかったのだが、刑務官の方はおざなりな対応であった。そこで改めて、”拘置所にいるのだ“という実感をし、自身の中で緊張感が走った。

身体検査が終わると、長い廊下を歩き、エレベーターに乗り面会室へと向かう。廊下はまるで夜の病院のような雰囲気であった。外は雲一つない晴天で眩しいくらいだったのに対し、廊下には数えられるほどの蛍光灯が等間隔にあるだけで外界の光を感じることは出来なかった。

エレベーターを降り、面会室に入室後2分程で今回の面会の相手であるT氏と1人の刑務官がやって来た。面会室にはパイプ椅子3脚のみ、机はステンレスのような素材でありとても冷たかった。部屋は狭く、”無機質“以外の言葉で表すことは難しい。私は、T氏の第一印象として”普通のおじいちゃん”という印象しか持たなかった。

確かに、彼は70代後半であるため私が持った印象は適切だ。しかし、彼が”犯罪者“であることに対し私自身が虞を持っていたため”普通のおじいちゃん”という印象を持ったことに驚いたのである。面会中、目を見て話してくれたり、明らかに年下の私に対しても敬語を使ってくれた。面会自体は約15分程で終了した。

近年、マスメディアが世論の形成に与える影響は大きい。他方で、多くのメディアで犯罪者が如何にも極悪人かのような報道が為され、多くの国民が犯罪者=極悪人と妄信する。これは受刑者が出所後、一般市民からの差別の眼差しを受ける危険を孕む。

私は実際に受刑者と対話したことで、必ずしも犯罪者と極悪人がイコール関係ではないと考える。犯罪者である前に彼らも人間であることを身をもって感じたためだ。人間らしさをT氏との対話を通して濃く感じることが出来たのだ。

最後にはなるが、私のように実際の”生の声“を聴くなどの受刑者を”正しく知る“機会が、より多くの一般市民に提供される事を望む。

「これからも活動に参加したいので教えてください」と意欲的でした。高校時代に学ぶことは貴重な体験になると思います。

多くの子どもたちに受刑者も同じ人間であることを知り、関わることで相手か変わることを知ってもらいたいです。受刑者のためにバースディーカードを書くボランティアに子どもたちが参加してくださったら感謝です。

執筆:黒木萌

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