気功生活 Vol.139 〜2023.11.11
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破壊と再生・天野泰司
蔦町の庭と満月茶会
特集・風邪の気功
講座ノート 風邪を活かす / 心のセルフケア
MacBook基金2023 御礼
The Book of Life
10/21 静けさがある・11/3 名を求めず、クリエイティブであること
子育て悠々記 第2回 ・あや
普賢満月・吉田純子
講座案内 気功の学校2024・図解シラバス
破壊と再生
天野泰司
京都は、秋晴れの爽やかな天気に恵まれて、心身を調整するのにとてもよいタイミングが続いています。
つい最近、久しぶりに長い風邪をひきました。最初の3日間は、頭からどんどん汗が出て、その後変化の焦点が、喉、胸、腹と順に下りていく全身調整の一週間でした。メールやパソコン作業も全部棚上げ、木曜の「京の気功入門」教室も初めて休講。仕事的な用事はほぼ何もせず、自分の身体と向き合う贅沢な日々でした。
この3年ほどのコロナ期間中は、どこかで意識的に風邪を引かないようにブレーキをかけていたのでしょう。それがほどけ、素直な心に還り、きちんと風邪がひける体に戻ってくれたようです。
ささやかな回復の波が生じてくるとすぐに流れが変わり、ちいさな子どものように、できることが次々に増え、心身が次々に入れ替わっていく感覚にワクワク、夢中になります。そう、徹底して体を壊すからこそ、本格的な再生の動きが生じて、病む以前よりも確実に元気になっていく。頭ではよく知っているつもりでも、久々に体で体験してみるとやっぱり別物。幸いにして、風邪やインフルエンザが流行っているようですから、みなさんも風邪や病気を通じて心身がスキッと整う醍醐味をぜひ体験してください。
今号の特集「風邪の気功」でそのコツをまとめました。「風邪を引いては、自分の力で自然に回復する」ことで体が内側から変わっていくので、がんや慢性病、体質的な悩みなど、ある意味難しいと考えられていることほど、どんどん変わるだろうと思います。
病の本質
「病まないようにする」努力と「何とかして治そうとする」努力を共に手放して自由になった時、本当の意味の予防と治療が可能になります。必要なタイミングに必要な病気になることができれば、不必要な病気にかからなくても良いし、不必要に病気が長引く必要もなくなるからです。
長く大変だったコロナ禍の経験を通じて問われているのは、この「病む」ことの本質です。
病は私たちの敵でもなければ、駆逐して無くしてしまわなければならないものでもありません。むしろ、体を適切に育ててくれる恩人のようなものかもしれません。
病むことを通じて、潜在していた異常を浮き出させ、体質を変え、心が切り替わり、家族間の難しい感情や複雑な人間関係までも一変させてしまうことすらあります。
こうした病本来の働きを引き出すためには「自然に経過する」ことが必要です。ところが、多忙な現代人には、この「自然に」ということが案外難しい。だからまず気持ちを切り替えます。
「この風邪で何が変わるのだろうか」、「変化しようとしているのはどこで、そのために何をしたらいいだろうか」と予測し、あとは体の指示にしたがって、寒ければ温め、乾けば水を飲み、汗をかいたら、しっかりぬぐい、無理をせず、楽に心地よく過ごすように全力で体と向き合う。すると、病というきっかけが生活や体質を好転させる妙薬となります。
気功は、体の中にある自然の働きを引き出すやさしい方法です。その意味では、風邪も病気も、自然に経過させることで気功になるのです。