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「協会の新しい一歩の歳に」       協会理事長 長谷川啓三    

日本家族カウンセリング協会は、4月から、新しい歩みを始めました。

 1985年創立の本協会が、日本の家族カウンセリングを、著名な大学、研究機関の先生方のお力を得ながら不足が出来るだけないカリキュラムを企画して普及し、実践をされる一端を提供して参りました。実際、専門家がみても、家族の心理支援に特化したものでは、大学カリキュラム以上と言って下さる方々が少なくありません。医療、なかでも注目されている訪問医療、看護、司法、保育、発達支援、教員、産業分野で、家族と共同する事を必要とされる方々にそう評していただいて長くなります。従来の個人カウンセリングに加えて、これを学ばれる心理のご専門の先生方もいらっしゃいます。私たちは、以前より大歓迎を致しており、また、反対に学ばせても参りました。

 受講され、試験も受けて、民間資格ではありますが、家族相談士、家族支援士、家族心理士という名称で、既にお持ちのご資格と合わせて活躍されている方は多くいらっしゃいます。

 家族カウンセリングは、理論においても面接形態においても、特徴があります。システム理論と合同面接がその代表です。実践的には、特に、後者を十分に学ぶ必要があります。

 もう20年も家庭内離婚、別居を続けるカップルを同席でどう支援するのか? 心底に葛藤を抱えていらっしゃいます。一人ずつの個人面談では、不十分です。第一、例えば、来談を嫌がる夫の来談をどうするのか? 一見難しいと思えますが、同席で面接するから確実で早い成果が得られます。

 方法は米国で1970年代に始まって以来、日本でも工夫を重ねて来ています。震災で注目された「あいまいな喪失」という重要概念も 米国の家族療法家が生み出しました。個人療法の文脈だけでは誤解も多いです。子どもの問題も、発達、虐待、性暴力、種々あります。それらへの対処法を出来るだけ系統的に提供する講座でありたい。そんな、ある意味、素朴な思いを貫いて参りました。

リモート、リアルどちらかではなく、武蔵が説く本来の「支え合う二刀流」で歩んで参ります。 (会報誌:そよかぜNo57 巻頭言より)