すべては1人から始まる
市民活動はアートのようなところがある
もしあなたが絵を描く画家や音楽をつくるアーティストだったら、どんなふうに絵を描いたり楽曲をつくるだろうか。
もちろん絵の描き方や曲のつくり方にはいろいろなやり方があると思うけど、やっぱりその作品の中心にはあなたの画風や音楽性が色濃く出るだろうし、創作とはそうあるべきだとも思う。
市民活動・コミュニティ活動はアート(芸術・創作)のようなところがあると思っていて、社会に対する問題意識や当事者としての課題感(困りごと)を「活動」というかたちで表現しているアートとも言える。
そのプロセスや最終的な作品は「みんなでつくる」ものになるかもしれないけど、「はじまり」と「中心」はたった一人の「あなた」だ。あなたが中心でこだわらなければ、誰にも刺さらない平凡な作品(団体・活動)になってしまう。
大切なのは「たった1人から生まれる、中心のエネルギー」
最近『すべては1人から始まる』(英治出版)という本がひそかに話題になっている。ピーター・カーニックの「ソース原理」をベースとしていて、トップダウンや牽引型リーダーシップでもなく、ティールやホラクラシーのような「できたら素敵だけどとても限られた特殊な組織だけが活用できる」でもない、「ついに多くの組織で活用できる強力な解決策が登場したぞ」と思えるような理論だ。
長年、組織論や非営利組織について勉強してきて、現場の組織づくりで悩み続けてきた私にとって、何か天にも昇る心地になる衝撃的な本だった。これはすべてのNPO・市民活動・コミュニティ活動のリーダー(&スタッフ)に読んで欲しい本だ!
そこでは「活動のソース(源)は必ずたった1人」だと言い切っていて、そのソースがエネルギー高く「イニシアティブ(主導権・独創力)を発揮する」ことが重要だと説いている。より詳細に見ていくと「サブソース」の重要性や「ヘルパー(助力者)」の存在などを用いて組織を構造的に語っているのだが(詳細は本書を参照)、中心的なメッセージは「ソースはたった1人」で「その中心のあなたがイニシアティブを発揮しないと事業・組織はうまくいかないよ」と言っている。
もしいろいろな声に耳を傾けすぎて、誰かの反応が気になって身動きが取りにくくなっているリーダーがいたら言いたいことがある。「あなたは活動のソース(源)であり、あなたがイニシアティブ(主導権・独創力)を発揮しなければ何も始まらない」。そして、「あなたがたった1人のソースであると自覚して、イニシアティブを発揮したとき、何かが動き出し、何かが生み出され、その先に喜んだり救われたりする人がきっといる」。
この3年間は多くの人や多くの団体にとって大変だった期間だし、そこから再起動することは簡単なことではないと思う。すぐに結果が出るかはわからないけれど、たった1人のソースのあなたがエネルギー高くイニシアティブを発揮すれば、きっと何かが動き出し、何かが変わっていく。それはおそらくあなたのためでもあるけど、「みんなのため」であり「社会のため」でもあるのだと思う。おそらく多くのメンバーは誰かの(あなたの)熱いダンスを待っている。
「すべては1人から始まる」。いろいろ考え出すと動けなくなるのが自然だと思うけど、今一番大事なのは中心のエネルギー。多少あらくても、多少わがままでも、中心の自分が熱く燃えられることが一番の「全体最適」の道だと思って、まずはあなたが燃えてください。誰かの暮らしや人生を豊かにする良い作品をつくってください。待っています。そして、応援しています。
by CRファクトリー 呉 哲煥
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