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夢とロマンを語ろう

What's your dream? 


アメリカの公民権運動を主導したマーティン・ルーサー・キングは、25万人が参加したと言われているワシントン大行進の演説で「I have a dream」と語りました。「私には夢がある」と。

世界中で話題となったユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』では、人類(ホモ・サピエンス)の他の種にない最大の特徴・強みは「フィクションを信じる力」だと説いています。目には見えない国家や宗教(神)や貨幣を信じることができる力が私たちホモ・サピエンスの最大の特徴なのですね。

なんだか少し不思議な話ですが、私たち人間は「パンのみに生きるにあらず」で、夢・ロマン・物語みたいなものが必要のようです。そういうものが頭の中でスキッと整うと、急にいろいろなものに意味が出てくるという体験はみなさんにもあるのではないでしょうか。

いま市民活動・コミュニティ活動に必要なのは「夢・ロマンを語る」ことかもしれません。止まってしまったり、崩れてしまった3年間があり、ここからいよいよやり直すとき、まずはみんなの心を動かすような「夢・ロマン」が必要な気がします。

団体の立ち上げや始動のときに必要なのが「夢・ロマン」です。逆に言うとまだ実績や実体がないので「夢・ロマン」しかありません(笑)。今は多くの団体が再起動や再始動のとき。そのフェーズ・段階でも必要なのがやっぱり「夢・ロマン」です。「どんなことがやりたいのか?」「どんな世界をつくりたいのか?」。一度みんながわからなくなってしまっているタイミングでもあると思うので、改めて「夢・ロマン」を言葉にして語ることは大事な行為だと思います。

旗を立てる


そんなこと言われてもリーダーだっていま言葉を失っています。みんなと共有・共感し合える言葉(夢・ロマン・物語)を生み出せなくて苦しんでいます。

でも、まだ半信半疑で構いません。不安で迷子になりながらも、一生懸命考えて紡ぎ出した言葉が言霊となって、また次の言葉や考えや構想を誘発してくれることもあります。まわりの冷めた反応や無反応や批判的な意見におびえる必要もありません。今は誰も正解がわからないのだから、どんな旗でも旗を立てる勇気が大切です。

ここで大切なのは、少なくとも自分だけは信じられる旗を立てること。「仮に一人になってもいいからこれで行くんだ」という覚悟を持って考えることができればこわいものはありません。そして、結果はそんなふう(全員居なくなる)にはなりません。そういう覚悟のある旗にいろいろな人が共感してくれて、また新たな船で船出をしていくことができます。

音楽プロデューサーのつんくさんが、あるインタビューでエンターテイメントについてこう言っていました。「エンターテイメントは最終的にはいろいろな人を喜ばせることにあるんだけど、生み出すときはたった一人のおかんのため、たった一人の娘のためにつくる。結局それがみんなのもの=エンターテイメントになっていく」。

今は「夢・ロマン」が求められています。あのときと同じように再開・再起動はしないかもしれないけれど、また新たな船で「こうやってがんばっていこうぜ」という旗印が必要です。いくらでもやり直すことはできます。時間はかかるかもしれないけれど、長い目で見れば見通しは明るいです。開き直って、軽くなって、自由になって、またエネルギーあふれるあなたでいてください。そして、時間をかけて良い団体・活動をつくっていきましょう。

by 呉 哲煥

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