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父親

ネクタイを久しぶりにしめている時、過去に父親に言われたというか、された事を思い出しました。

15才の時、私は鏡の前でネクタイを締める練習していました。
これから通う学校の制服がネクタイだったのです。
父親がそこにやって来て、言った言葉があります。
正確には覚えてませんが、こんな内容でした。

「お前、ネクタイの結び目を細く締めるんじゃねえだろうな!」

高校に行ったら皆結び目をめちゃくちゃ細く締めていました。
当時そう言った格好のチャラい人が嫌いで、私は彼らと同じ格好をしたくないのでしておりませんでした。

結果的に父親の嫌いな?結び方をしなかったのですが、父に言われたからでなく、もともとそう言った結び方が性に合わなかっただけですが。

「お前、ネクタイ(の結び目を)を細く締めるんじゃねえだろうな!」
と言った父の言い方を思い出します。
完全にキレており、怒鳴っておりました。

鏡の前に来る前に私が父を怒らせたわけではありませんでした。
完全に唐突に怒鳴っていました。

彼が、チャラい若造に対する嫌悪感を持つのは勝手ですが、
私はこの件では何もしてない、つまり八つ当たりをされたのですね。

父は言語化が得意な方ではなかったのでしょう。感情の整理も。
息子が悪いわけじゃない、悪いのはチャラい若造だ(チャラい若造が本当に悪いわけじゃないんですが)、と気づけないんですね。

父の持つ感情の正しい出し方は
「おう、ネクタイの締め方の練習か、こうするとうまくやれるぞ。ところでチャラい男が結び目を細く締めてたりするんだけどあれ父さん嫌いでなあ。お前があんなになったら悲しいからするなよお?」
とかだと思います。

本当は私も
「そんなネクタイの締め方をしたなら怒鳴ってもまだわかるけど、何にもしてないのにそんな事言うの酷くない?」
と言えれば良いのですが。
父のその得意ではない部分が私に遺伝してまして、怒鳴られたショックもあり、萎縮してしまいました。
その時「そんなのしないよ」と言ったのかただ黙っていたのか覚えておりません。

元々好きな人ではありませんでしたが、またこの日も
「この人早くこの世からいなくならないかなあ」と祈る理由が一つ増えたのでした。

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