【巨人軍】若林楽人の現在地とココ・モンテスの獲得
野手の更なる労働単価削減を目的とした、縫い目を高くし抗力係数を上げた改訂版コロナ違反球と、ゲームの時短及び球場の光熱費等の削減を目的とした、左右に広いコロナ違反ゾーンが猛威を奮った歴史的打低シーズンの最中、我が巨人軍は12年ぶりの座標奪還へ向け、野手二名の補強を敢行した。
若林
外野手の若林は、固定できずにツープラトンも機能しているとは言えないレフトのカンフル剤として奮闘中。
緩い肩乗せから、ややオープン気味にセットアップ。
投手のフルダウンと共に始動。指導の早さは日本人打者の平均くらい。
移籍当初は、投手のスイングに対して間が取れず、後ろ股関節の屈曲位・外旋位が早期に崩れ(軸足が緩む)、スウェーが大きく左投手のハンガースライダーにぶつかっての単打が関の山という印象だったが、初ホームランの際は、前足接地ギリギリまでステイバックバックを保ち、俗に言う割れを作る間が出来ていたので、打てる投手の範囲が拡がっていく期待感は出てきた。
優勝するシーズンにおいては、彼のようなラッキーボーイが確変的に好スタッツを残すパターンが投打に出てくるものなので、是非そのような存在になってもらいたいし、内転筋・股関節外旋六筋といったインナーマッスルを鍛え上げ、靭帯損傷の影響から回復しきっていないであろうフィジカルを強化することができれば、コンパクトスイングのレベルが上がり、継続した活躍も可能になるだろう。
モンテス
内野手のモンテスは、坂本の不調や遊撃の打力不足、更には吉川の離脱に備えた形になる。
一般的にNPBのストライクゾーンは現在のMLBと比べ、左右に広く、高めは取らない傾向にあるのだが、そのことが、近年の外国人助っ人が適応できない大きな要因になっている。
内角のゾーンに対応できないと、内角に意識が行く→開きが早くなる→外角が遠くなる→外角に意識が行く→内角に差されるという状態に陥る。これらの悪循環と複合して、段々と投手に対して間が取れなくなり、落ちるボールを振ってしまう。
内角に対応するには、エルボーin(肘を肋骨に沿わせて)で、押し手主導で回転半径狭く回る必要がある。ややベースから離れる必要がある。外角が遠くなる。
従って外角は、球道を引き付け、上半身を側屈し、押し手主導で叩く必要がある。ある程度リーチの長さが必要なのである。
右投げ左打ちの外国人があまり活躍できないのは、これらが要因であると考える。つまりMLB組織下育ちの打者は、押し手=効き手で、押し手が上手く使えないと、NPBの横に広いゾーンに適応しにくいのだ。そういう意味でオドーアは、リーチも利き手もNPB向きではなかったのかもしれない。
それらを踏まえたうえで、モンテスはどうだろうか。公称は183cmとなっているが、実寸は180cmくらい。救世主ヘルナンデスほどはケツも立ってないし、リーチに関して言えば不利に思える。だから、バットを物理的に長くしてリーチの短さを補っているように見える。
前脚接地ギリギリまで後ろ股関節の屈曲位・外旋位を保てている。ステイバックができる。トップ(割れ)が深くできる。しかし引き手でトップを深く取ると、引き手が伸ばされ、慣性モーメントが大きくなり、回転速度が落ちる。振り出しからの加速が遅くなる。コンパクトにコンタクトがしにくくなる。彼のようなタイプは骨盤の回転に対し、腕が遅れないことが重要なのだ。
オスナ、ヘルナンデス、オースティン、サンタナ(こいつだけ色々特殊だが)はトップが浅めなのだ。ボトムハンドにゆとりがあるのだ。モンテスは、前述の四者ほどは腹斜筋・腹横筋を始めとしたインナーマッスルが強くないのかもしれない。
ジャイアンツ球場での2試合では、投手のコッキング~リリースにかけての間に始動(レッグアップ)していた。これはNPB基準だと始動が遅いと言われるタイミング。時差ボケや悪天候もあり、ヘッドが下がりヘッドアップ、手首のアンコック(返り)が早い、側屈が足りずにアウトローを弱いゴロにする、などヘッドが波打って投手に対して間が取れていなかった。
独立リーグの三軍戦では、始動が早まって(投手のトップポジションくらいから始動)いて、前述に比べるとスイング軌道も安定し、それが好パフォーマンスにも繋がっていた。ただ、独立リーグは投手のスイングも球のキレもなんならゾーンも違うのだから、早急にNPB一軍で起用して環境に適応してもらう必要がある。
ヘルナンデスの成功を受け、ヘルナンデスのようなコンタクト型を獲得したという言説が散見されるが、スタッツ上はそうというだけで、ヘルナンデスとは似て非なるタイプである。日本人スラッガーのようなスイングをするところが期待できる点であり、懸念点でもある。