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「投資の大原則」は投資初心者が最初に読む本としてお勧めする。

投資をこれから始めようと思っている人に、お勧めする本を1冊だけ挙げるとすれば、「投資の大原則」だ。

私は、この本を投資の必携本として、何度も読み返している。

インデックス投資の巨匠であるバートン・マルキールとチャールズエリスの共著となっている「投資の大原則」は、2人の代表作である「ウォール街のランダムウォーカー」と「敗者のゲーム」の趣旨をまとめた内容となっており、投資初心者向けで読みやすい。

ウォール街のランダムウォーカー」や「敗者のゲーム」は、ボリュームが大きい分、内容は投資中級者向けである。まずは「投資の大原則」を読んでから、著者の思考法を更に深堀りしたいと思ったら、手を出してみると良いだろう。

「投資の大原則」は、帯と表紙、前書きだけ読むだけでも、投資マインドが大きく向上する。

そのため、今回は敢えて本編には触れずに紹介することとする。


前書きを担当するのは、バンガード最高投資責任者のガス・ソーター氏だ。

表紙をめくると、本書の案内文が目に入る。

本書は、これまで投資をしたことのない方にも、経験のある方にも必読の書である。高校でこの本を読むことを義務化するといい。複利の効果はとくに若者に役立つものだからだ。投資経験豊かな方々にも、この本は役に立つ。多くの思い違いを指摘し、無意識に犯す間違った行動を明らかにしてくれるからだ。自分の思い違いや間違った行動がわかれば、自ずと投資はうまくいく。もっといい方法があるはずだという誘惑に駆られないように、この本を何年かに1度は読み返して欲しい。
投資の大原則(表紙)
バンガード最高責任者ガス・ソーダ

この序文には、「複利効果」の重要性と「ブレない投資マインド」を読者に伝えていくという強いメッセージがある。

そして、前書き。

最初に質素倹約で富を築いた女性の話に触れている。

過去に紹介した「厚切りジェイソン」や「パックン」も、自動販売機ではジュースを買わない、外食よりも自炊を心掛けている倹約家だ。

著者に紹介されている女性も、母親からしっかり切り詰めて生活するようにと教えられて育っている。テレビは中古品、ケーブルテレビには契約しない、車の運転はせずに徒歩で移動と贅沢はしなかった。

毎月支払いが生じる流行りのサブスクリプション型の動画配信サイト(商品)は、本当に生活に必要なのか、再度検討すべきであろう。余談であるが、私はテレビをあまり見ないため、ネットフリックスには加入していない。

賢明な投資家ほど、質素倹約な生活をしているのは事実だ。

続いて、投資戦略を立てる上で重要なことを述べている。

投資の第一歩は、「お金はいつ必要となるか」「どのくらいの投資リスクなら我慢ができるか」ということから始まる。

ここが決まれば、自分に合った株、債券、預金の適切な配分比率が見えてくるということだ。

昨日、「投資戦略は簡単に変えるものではない」という記事を書いたが、投資初心者は「お金がいつ、どのくらい必要となるのか」を考えることから戦略を練ることが大切である。
一度決めた投資戦略は貫こう!|np2030@資産運用|note

投資の世界に飛び込めば、大半の人が退職した後の老後資産を目標とするだろう。私も、50歳で金融資産5000万を目標として、戦略を立てている。

次は投資手法の話だ。

集中投資ではなく、バランスの取れたやり方、すなわち投資先を広く分散することが大切だと述べている。

そして、著者が主張する最も重要なことは、「コストが低いものを選ぶ」こと。

リターンが一定なら、手数料が高ければ高いほどあなたの取り分が減ることを忠告した上で、目標を達成したいなら、広く分散され、手数料が小額で済む、インデックス投資が一番だと結論付けている。


次に序文を担当するのは、イエール大学財団基金運用責任者デイビットスウェンセンである。

投資の世界を代表する偉大な思想家。チャールズ・エリスとバートンマルキールの2人が知恵を合わせて、個人が投資をするための素晴らしいガイドブックを作り上げた。2人はすでに、「敗者のゲーム」「ウォール街のランダムウォーカ」という証券投資の最高の作品を書いている。では、なぜこの2人が、古典ともなっている本と同じテーマに取り組んだのか。その背景には、これまで個人投資家に対するアドバイスはメチャクチャで、まともなものが殆どなかったという事実がある。そこで、この2人は一般の読者のためにアインシュタインの「できるだけシンプルに、しかし、シンプルすぎないように」という原理・原則にならって、基本に絞って書くように心掛けた。
投資の大原則(序文一部抜粋)
デイビット・スウェンセン

投資に興味がある方なら、一度はイエール大学のことは聞いたことがあるだろう。イエール大学発の投資の本も世に多く出回っている。

序文では、「投資の大原則」が全ての投資家のために書かれた画期的な入門書であり、この原則に倣って投資をすれば成功するだろうと推薦している。

「投資の大原則」は、本編を読む前から個人投資家の胸を高鳴らせてくれるワクワクする本である。

投資は簡単なものだ。原則を知っている人と知らない人では、人生が大きく違う。この本を読めば、あなたは長期にわたって経済的に困らない正しい道筋を自分で見つけることができる。そうして、もし本当に投資に失敗したくないのなら、生涯を通じてこの本を何度も読み返し、何が重要であるのかを思い出して欲しい。
投資の大原則(はじめに)
一部抜粋

ここまで、読んで頂いた読者の方であれば、気が付いたかもしれないが、YouTubeなどのSNSで発信している人達の投資アドバイスを聞くよりも、「投資の大原則」を繰り返し読む方が余程価値があることを断言する。

SNSでは、日々の株価の値動きであったり、今後の株価予想であったり、バックテストであったり、様々な情報が発信されているが、投資タイミングを図る必要のないインデックス投資においては、あまり意味の無い話である。

逆に、先に挙げたガス・ソーダ氏の言葉を借りれば、「もっと良い方法があるはずだと誘惑に駆られる」だけである。

情報過多になることはインデックス投資においては弊害でしかない。

それよりも、投資初心者は「投資の大原則」に忠実に従って投資していけば、平均点以上の投資成績を残せるはずだ。

なぜ失敗する投資家は、SNSの情報発信を鵜呑みにするのか。

それは、投資を短期で大きなリターンを目指すギャンブルと掛け違えている個人投資家が圧倒的に多いことにあると私は思う。

特にインデックス投資では、複利効果を得るために「時間」が重要な要素となる。つまり、数年で巨額の富を得ようとするのは、ギャンブルと一緒だ。堅実なインデックス投資は長い年月を掛けて運用するから大きな富をもたらすのである。

私は、「投資の大原則」に38歳の時に出会ったが、もっと早くに、仮に20代で出会えていれば、おそらく45歳でのリタイアも可能だっただろう。

まずはお金を貯めることから始まる。

私の投資方針である「シンプルな投資」についても、この本から生まれた。

「投資の大原則」は、多くの投資関連書籍を読んできた私がお勧めする投資実践書として、投資初心者に是非読んでもらいたい名著だ。


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