「目的因」は興味深い
アリストテレスという哲学者が四原因説を唱えた。質料因・作用因・形相因・目的因の4つである。
他の3つについてはいずれ触れるが、その中の「目的因」が実に面白いと思ってきた。「何のため?」の原因である。
はさみの目的因は紙を切るためであり、家の目的因は人が生きるためである。そんな具体的な次元だけではナンテ事のない話かもしれない。
しかし、ぐっと抽象度を上げると話が俄然面白くなる。
家庭の目的因は何か?
会社の目的因は何か?
学校の目的因は何か?
自治体の目的因は何か?
日本国の目的因は何か?
日米同盟の目的因は何か?
国連の目的因は何か?
地球の目的因は何か?
ほとんどが答えに詰まる問いである。ひょっとしたら面倒くさい質問をする子どものように感じるかもしれないし、「質問のための質問」に過ぎないとネガティブな反応もあるかもしれない。
しかし、アリストテレスがそんな凡庸なことをするはずもなく、彼は究極の目的因を「不動の第一動者」と定めている。そこが彼を偉大な哲学者たらしめているところである。
四原因説を中心に、しばらくアリストテレスの話を細々としてみたい。