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【SFC-LT Payers Report】 #0002 Kazunori Jo (いとおちゃん)
SFC-LT Payers Reportではメディア型奨学金SFC-LTの支援者(Payer)の方々にヒアリングを行い、「どういった人がなぜ支援をしてくれたのか?」を明らかにしていきます。
今回の支援者は慶應義塾大学 環境情報学部 4年の城一統さんです!!
いとおちゃんさん(@i315chan)とお茶してきました。LTについてもヒアリングに付き合ってもらって、いろいろと新しい発見がありました!後ほど、共有します。#sfclt #お茶会 pic.twitter.com/Y1vYvIOjj1
— Nozomu Miyamoto / のんたん (@NozomuMiyamoto) February 9, 2020
※下記の内容は書き起こしではなく、私がヒアリング中にとったメモをもとに書いたものなので、微妙に抜け落ちているところや、解釈の違うところもあるかもしれません。その点をご了承ください。
Q.プロジェクトを知った経緯は?
A.Twitterのタイムラインで流れてきて知った。誰かがリツイートしたりしたのが回って来たのだと思うけど、それが誰かまでは覚えてない。
Q.なぜこのプロジェクトに支援してくれたのでしょうか?
A.もともとのんたん(筆者。弊NPOの代表で大学ではそう呼ばれている。)を知っていたから。のんたんがTwitter(裏垢の方)でTODOリストをずっと公開していたので、何をしているかはわからなかったけど気になっていた。最初のリリースを出したときに何をやっているのかが明らかになって、驚きと感動と共感を覚えた。それで支援を決めた。
Q.なぜ驚きと感動と共感があったのでしょうか?
A.自分もお金に困っている側の人間だったから。慶應大学は給付型の奨学金なども用意されていて、そこに時間を使って応募する選択肢はあった。でも、それは不確実なもので、下手をすれば手書きの作文を書いて、数ヶ月待った上で、来るのが不採用の通知だけという可能性もある。自分の場合はエンジニアとしてバイトをしていたから、その不確実性に時間を割くなら、バイトをした方が確実にお金が手に入った。
まず、のんたんの取り組んでいるプロジェクトが想像と違ったから驚いて、社会的な意義があるものだったから感動して、自分の抱えていた問題意識にあっているから共感した。正直、プロジェクトの中身自体は何でも構わなかったけれど、ただただ、この問題を解決しようと動いていることが嬉しくて支援を決めた。
Q.貸与型の奨学金についてはその辺の応募に関するリスクなどを考えましたか?
A.貸与型の奨学金に関しては、完璧に出世払いだと考えていて、大学での学びを得るための投資だと考えている。そもそも自分の場合は、借りなければ大学に行くことができなかったので、そこに対してはもう仕方ないと思っていた。
Q.Pay It Forward Challengeのコンセプトについてはどう思いますか?
A.良いと思う。同じ1万円でも大学生のときの1万円と社会人になったときの1万円では全然、価値が違うと思うから。ただ、支援を受けた人間がそれを返すことが強制でない点が重要。それがノルマみたいになってしまうのは良くないと思う。
同じような理由で、メディア型奨学金のクラファン自体も、目標金額を達成しないと行けないものよりも、全額確実に入る方式の方が良い。たしかに、ノルマがあることが緊張感を与えて、目標を達せさせるというのはあるかもしれないけれど、そういうプレッシャードリブンなやり方はあまり良くないと思う。「失敗してもまた次、頑張ってね!」くらいの気持ちで支援できるのがベスト。
Q.3分間のプレゼンに1万円の支援という対価は大きいと感じますか?
A.自分の場合は、1万円でも割にあわないと思う。やっぱり3分間のLTをそれなりにやろうと思うとすごい労力を使ってしまうから。自分の場合は特に自分の挑戦とかはなく、エンジニアとしてものを作っているだけだから。
ただ、すでに取り組んでいることがある人に取っては良い機会だと思う。例えば、昨年、SFCの秋祭デジタルアートをやろうとしている人たち(sense.)がクラファンをしていたけれど、ああいう人達に取っては情報発信とクラファンが同時にできる場があるのはプラスだと思う。
Q.クラファンで挑戦者側になることに抵抗はありますか?
A.ある。クラファンをするとなるとものづくり以外にもお金を集めることを考えないといけなくなるから。また、お金を集めることに対する不安が大きい。例えば、目標金額まで集まらないことであったり、集めたのにプロダクトができなかったりすることに不安がある。
Q.プロジェクトに懸念する点はありますか?
A.クラファンをするのは学生だと思うので、そこに対して過度に責任を求める支援者がでてくることを懸念している。最初の方でも言ったけれど、「失敗してもまた次、頑張ってね!」くらいの気持ちで支援できるのが健全だと思う。
Q.このプロジェクトを「奨学金」として打ち出している点に違和感を感じますか?
A.正直な話、お金をもらう側からしたら、名称なんてなんでも良いと思う。ただ、お金を払う側からしたら、払いたくなるような名称の方が良い。それがどういう名称になるかは自分にはわからない。
Q.ヒアリングでこれを聞いたほうがいいともうこと
A.学生生活でプロジェクトを支援して欲しかったことがあるか聞いたほうが良いと思う。それによって挑戦者(Challenger)目線で本当に必要とされているのかがわかると思うから。
Q.学生生活でプロジェクトを支援して欲しかったことありますか?
A.ない(笑)
Q.SFC-LTでPayer(支援者)、Forwarder(つなぐ人)、Challenger(挑戦者)のどの役を演じたいと思いますか?
A.今はお金が無いからPayer(支援者)にはなれないし、特に自分でプロジェクトを持っているわけではないからChallenger(挑戦者)でもないかな。Forwarder(つなぐ人)にはなれればと思う。
でも空から100万円ふってきたら、全然支援しちゃうかな笑笑
Q.人生の財産ってなんだと思いますか?
A.少なくともお金が全てではないと思う。ここまで生きていく中でいろんな人にお世話になってきているからそう感じる。徳を高めると言ってしまったら、それまでだけど、実際のところ人との助け合いの関係に価値があると思う。
Q.なぜお金が全てだとは思わないんですか?
A.フリーランスで仕事をしていたから、収入が不安定で、たまぁに大きな額がもらえることもあったけれど、口座残高の桁が増えたくらいであんまり幸せには感じなかった。また、慶應大学に入って、お金持ちの学生とかも何人か見てきたけれど、そういう人の話を聞いても、あまり幸せそうには思えなかったから。お金があっても1人だったら絶対悲しいから……
ヒアリングを終えて
お金はコミュニケーションツールになる
いとおちゃんさんとは大学1年生のことから顔見知りだったのですが、お茶をするのはこれが初めてのことです。そういった意味では、今回のクラファンはただのお金のやり取りではなくて、コミュニケーションの切っ掛けとして機能しています。クラファンを通して強くなるつながり、SFC-LTにはそういった点でも、価値があると実感しました。
既存の奨学金への問題意識の重要性
WEEK2の活動報告の中で、「奨学金」と「挑戦」という2軸でプロジェクトがプレゼンされていて、(もちろん私の中では2つの軸は繋がっているのですが…)ぶれていて、もっと「挑戦」に絞った方が良いのではないかとアドバイスされたと書いていました。ただ、実際のところメディア型奨学金としてリリースしたSFC-LTは、今回のケースのように奨学金の問題への解決策として期待をしていただけることも多いです。それ故、「メディア型奨学金SFC-LTがどのように既存の奨学金の問題を解決していくのか」をプレゼンで伝えきれていないところが真の問題ではないかと感じました。
先日、Sansanの日比谷さんの記事を読みましたが、結局のところプレゼンテーションもコミュニケーションに過ぎなくて、ターゲットに合わせて複数のバージョンを用意することが必要そうです。そのためにもヒアリングを重ねて、ターゲットのインサイトを見極め、そこからどんなメッセージがアクションに繋がるのかを考えて行かなくてはいけません。まだまだやることが多そうですね。
給付型奨学金のデメリットとして応募時のリスクはやはり存在する
給付型の奨学金は予算が決まっているので、応募者数が多ければ採択されない可能性があります。これは奨学金を必要としている学生からしたら、リスクにすぎず、その時間をバイトに当てたほうが確実な収入につながるという仮説がありました。これについて、今回のヒアリングはその実例を示すカタチになったと思います。メディア型の奨学金が解決する問題の1つとして挙げていたので、問題自体が存在することがわかったのは安心です。
実はこのレポートを執筆時点で、あと3名ほどヒアリングをしておりますが、全然記事にするのが間に合っていません 。ヒューマンリソース的な限界を感じますね。ただ、個別に支援者の方とお会いして詳細なヒアリングを行うことで、だんだんと支援者の方々に共通する点が見えてきた気がします。それについてはまた後日、記事にできればと思います。
クラファンも支援総額と期間、ともにハーフラインを超えたところですが、ここからも気を抜かず頑張っていきましょう。それでは失礼いたします。
NPO法人湘南藤沢Projects
代表 宮元 眺