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『雲隠』











かきくらす
 涙か雲か
  しらねども
ひかり見せねば
  かかぬ一章

 —— 与謝野晶子


■第41帖「雲隠」

光源氏の死が描かれるはずだったが、本文は存在しない

ただ、「雲隠」というタイトルだけが現代まで伝わっている

「雲隠れ」= 月などが雲に隠れてしまうこと
 ①隠れ先がわからないように、行方をくらますこと
 ②高貴な人が死ぬこと

与謝野晶子が書いた和歌一首がすべてをものがたる

■第40帖「幻」

前帖で最愛の紫の上が亡くなり、春が過ぎ、夏が過ぎ、神無月になった
光源氏はこの世にはない亡き人のことを思ってもの思いに沈んでいる
年明けに出家する決心をすると、紫の上との御文なども皆焼かせてしまう
この時、光源氏五十二歳

大空を
かよふまぼろし
夢にだに
見えこぬ魂(たま)の
行く方たづねよ

…大空を自由に行き交う幻術の使い手よ
 夢にすら姿を見せてくれないあの人の魂の行方を捜しておくれ

最後の十二月、六条院で行われた御仏名の席、源氏は久々に公に姿を現した
その姿は「光る君」と愛でられた若い頃よりも一層美しく光り輝いており
昔を知る僧並びに出席した貴族たちは涙を流した
源氏は最後の新年を迎えるための準備をした

もの思ふと
過ぐる月日も
知らぬ間に
年もわが世も
今日や尽きぬる

…光源氏、最後の和歌

■第42帖「匂兵部卿」

「雲隠」帖の間に8年が経過したところから物語が始まる
8年の間に光源氏は出家し数年後に死去、頭中将もこの間に亡くなっている

この帖から『匂宮三帖』+『宇治十帖』と呼ばれる
光源氏や頭中将より次世代の物語が始まる

ちなみに『宇治十帖』は、紫式部ではなくその娘が書いたという説もある


■なぜ紫式部は「雲隠」の本文を書かなかったのか

これには、いくつかの説がある

 ①巻名だけで本文は書かれなかったとする説
 ②本文はあったが紛失したとする説
 ③この巻の本文はどこかに密かに残されている説
 ④熱狂的ファンが光源氏の死を受け止めきれず後追い出家が続出
  天皇の命によりすべて焚書した説
 ⑤ファンがタイトルを勝手につけた説(←一番有力らしい)

都市伝説好きの自分にしては④の説が大好きだけど
文献を時代ごとに見ていくと⑤の説、鎌倉時代以降に
誰かが勝手にタイトル付けた説が有力らしい

でもこれはこれで、宮中という狭い世界で書かれた物語がドンドン広がり
ファンも一緒に作り上げた一大絵巻として成立した同人誌!

しかも、のちに「幻」につづく巻として、別の人が勝手に
『すもり六帖』や『雲隠六帖』と称する物語も書いたり

やっぱり、めちゃくそ好きな物語の続きを見たいというのは
誰しもが思うこと…(スラムダンクの続編まだかなぁ)

物語を見た、すべての人の感じ方、考え方が違うのと同様
ドラマを見た人もそれぞれ自分の中で物語がある
そんな事をつらつら考え
また次の物語が始まればいいなぁが本音


いずれにせよ、どの説をとってもロマンが溢れかえる物語

紫式部『源氏物語』をベースとした

ドラマ版『いいね!光源氏くん』は無事おわりました

中ちゃんの物語が空白のまま、

光くんの平安物語が空白のまま終わったけど

想像できる余白ってことだ

続編への空白かもしれないしね(自分が一番やりたい)

じゃあ、また

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