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平成最後の春

ふと最近、スマホのカメラロールをさかのぼる機会があって、2019年の1月からざっと流し見していた。4月まで見た時、わたしは手を止めてしまった。

2019年の春は穏やかな気候だったのか、4月になっても桜が咲いていた。おそらくマスクを着けている人も、花粉症の人以外はほとんどいなかっただろう。
2019年4月5日、あの日も桜が咲いていたらしく、何枚かカメラロールに納められていた。

2019年4月8日、好きなバンドのギターボーカル、そしてリーダーが亡くなったという最悪の『お知らせ』が入ってきた。
正直、その直前のライブが2公演も急遽中止になり、バンドの5chスレも見ていたので、全く予想していなかったわけではなかった。
しかし、いざ画面上の『あらぬ噂』が『事実』になってしまった。わたしはそれから数日間あまり眠れずに、ずっとファンの人のつぶやきを見ていた記録がカメラロールに残っている。(印象に残ったツイートを自分が見るためだけにスクショする習性がある)

数えきれないスクショの海の中で、フレデリックの健司さんのインスタが一番印象に残っている。
浅草の雷門の前で撮られたツーショット。
健司さんの文章は各自インスタで読んでほしい。

あんまり見たくないファン同士の軋轢も見た。ありもしない憶測に腹を立てたりもした。それでも、思い浮かぶのはステージの上の、ツイキャスとかインスタライブの、バンドマンたちの話の、輝いているあの人だった。

あれから4年。あの人が『きれいだー。』と言っていた令和、正直よかったことなんて数えるくらいしか思い出せない。流行病のせいで、お花見もライブも、人が集まることすらいちいち目くじらを立てられる生きづらい数年間だった。それでもそのバンドは歩みを止めず動き続け、わたしが好きなもう一つのバンドとの対バンツアーを成功させたらしい。わたしは自身が流行病に感染したのでライブ自体から足が遠ざかっていたが、フォロワーのみなさんが教えてくれた。

いつになれば、悲しみに触れる前の、心置きなく外に出られる春に戻れるだろう。そんなことを、『10年に一度の最強寒波』の余韻の中想っている。

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