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体の疲れ≠心の疲れ(2024/05/30)

一昨日の日記で9日目だったのに、とうとう日記を書きそびれてしまった。書きそびれた理由はわかってる。今からその記録を書こう。

昨日は、8:30〜16:30まで田んぼの作業だった。早いよね8:30。でも、会長おじいは6:00くらいから田んぼに来てるって言ってた。いや、早すぎる。
さすが、会長おじい。

8:30集合となると、朝の家事はほとんどできない。夫を駅まで送り届けて、ぼさっとインスタ見て(なんの時間!?)、身支度したら出発しなきゃ。

昨日は企業のイベントのサポートだった。この時期だからか、新入社員の懇親会の一環でか田植えをしに来てた。この企業は毎年やっているらしい。この間まで大学生だったよねという感じのノリの青年たちが20名程度やってきた。ギャーギャーワーワー言いながら田植えをするわけだけど、田んぼのおじいの仕切りがうまいので半分大学生の新社会人たちもテンション高めに作業していく。おじい達は平均年齢70後半なのに、なぜか半分大学生の新社会人と波長があっていて、大盛り上がり。

その中に一人、後半の田植えで田んぼに入ることを拒否する青年がいた。

青年、どうやら虫が嫌いらしい。
田植えをどんな作業だと思って来たのか、それとも強制参加なのか。
「気持ち悪い、気持ち悪い」「もうやだ。意味かわかんない。帰りたい」と結構大きめな声で言っていて、引いた。虫が苦手なのは仕方ない、嫌なものをやるのだから文句ぐらいでる。でも、この大盛り上がり空気感の中で結構大きめの声でそれをいうのはどうなんだい?
私はイライラ〜〜〜〜〜〜としながらも、青年を横目におじいたちに指示されている自分の役割をこなした。

全ての作業が終わった時、一番怖いおじいがその青年に田植えで使った、棒にロープがついているやつ(植える間隔を揃えるための道具)を小川で洗えと命じた。

それを隣で聞いていた私
「無理無理無理無理」
命じられた青年
「え?僕ですか?なんで?ボランティアなんすけど、なんでこんなことまでやらなきゃいけないんすか」
・・・と言いながら、一番怖いおじいの命令なので渋々小川に向かっていた。

一番怖いおじいは、田んぼに入ると人が変わるタイプで(ハンドルを握ると人が変わる的な)、田植え中も怒鳴り散らしていた。
私を含む田んぼ団体側のおじいやおばあにとっては、一番怖いおじいの口が悪い具合はいつものことなので「また言ってるよ」と笑う。私たちが笑うので一番怖いおじいがどんなに怒鳴ろうと、一番怖いおじいを知らないみんなもちょっとほっとして聞いていられる。まあ、でも平成生まれの若者にとってはビビる程度の口の悪さではある。

話は戻るけど「え?僕ですか?なんで?ボランティアなんすけど」の青年のセリフに思わず頭を叩きそうになった。
(いや、ボランティアはこっちなのよ)
おそらく青年は、この会の趣旨を全く理解せずに参加している。
青年は、田植えを手伝いに来てあげている感覚なんだ。

そんな感じの青年にイライラしている私。
おじいやおばあにタメ口の半分大学生の新社会人達。
もうなんかずっと「ダメだよ、そんな態度」といつ口をついて出てしまうかと思っていた。

結局、ロープ洗いを命じられた青年は小川に入ることもできず、土手の上から棒の先を小川に突っ込んでチョロチョロやっているだけだった。
私は見かねて「もらいます」と手を出してしまった。
青年は「え、あざす」と私に棒を渡して休憩場所に向かった。

一番怖いおじいが私が棒をもっているのを見て「それ、黒い人(青年は黒いタンクトップ着てた)のか」と聞いてきた。
「あ、私が受け取りました」と言うと、一番お怖いおじいは「あの野郎。それくらいできないでどうすんだ」とボソッと言った。

人生の大ベテランおじいたちは、半分大学生の新社会人達に対してイラッとしている素振りは一切なく、とても上手に、本当に見事に半分大学生の新社会人のノリやテンションの高さを捌いていた。

私は、自分が情けないなと思った。おじいたちの半分くらいしか生きてないのに、偉そうに説教したい気持ちになっていたことが恥ずかしくなった。揺るがない人生への自信と、大きな懐を見せつけられて感服した。こんなでっかいおじい(おばあ)になりたいと思った。

企業の皆さんが帰った後、残っている作業と次のイベントの準備があった。私は体がへとへとだった。雨上がりの田んぼはぬかるみがひどくて、足を取られて、体の向きを変えるだけでも一苦労する。それでも、おじい達は笑顔で作業をする。

会長おじいは「人間関係とか大丈夫?嫌な思いはしてない?」とコソッと声をかけてくれる。
田んぼリーダーおじいは「家帰ったらさ、チョコのモナカ(おそらくチョコモナカジャンボ)食べるんだよ。半分ずつ食べるようにしてるのに、昨日は1個食べてかみさんに怒られました(笑)なつきさんもチョコのモナカおすすめだよ」と推しアイスを教えてくれた。
一番怖いおじいは「おい、あの石垣は、一部が石臼なんだよ」と里山の歴史を教えてくれる。

体はへとへとで、道を歩くのもぎこちなくなる程なのに、心はとても晴れていた。
おじい達の背中を見て、私も人間として成長したいと思った。

そんなこんなで頭の中では話したいこと、あなたに伝えたいことがたくさんあったのに、体が言うことを聞かなくて日記が書けなかった。

とにかく楽しく毎日を過ごしている。





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なつき希
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