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谷川俊太郎さんのこと

詩集だけでなく、絵本も。

特別熱心なファンというわけではありませんでしたが、何冊も読んできました。

自ら手に取った中での古い記憶は、『朝のかたち』『空の青さを見つめていると』の2冊。中学生だった頃にパルコブックセンターで買いました。

もっと小さかったとき、母が贈ってくれた『わたし』という絵本が谷川さんによるものだったことは、後から知りました。平易な言葉で書かれていますが、物事には多面的な見方があることを教えてくれた1冊でした。

生まれたばかりのあかちゃんから見ると「おねえちゃん」。お兄ちゃんからみると「いもうと」。お母さんやお父さんから見ると「むすめ」……。

(『わたし』文・谷川俊太郎、絵・長新太)

ご本人にお会いする機会はなかったものの、5年ほど前、息子さんである谷川賢作さんのお話を聞いたことがあります。賢作さんは作曲家でピアニスト。小学生に向けてピアノを演奏し、曲と曲の間には話もしてくれました。その中の一節が心に残っています。

「僕が音楽を始めようと思ったのは、僕のお母さんが僕に『音楽が向いてるんじゃない?』って勧めてくれたからなんだ。僕のお父さんは有名な人だけど、お母さんは全然有名な人じゃないんだよ」

子どもに向けて何の気負いもなく語りかけた言葉でした。賢作さんが音楽を始めるきっかけを作ったのは父親ではないと言いますが、父親の影響もきっとどこかにはあったと想像します。

音楽も詩も、本人がいなくなっても残るもの。谷川俊太郎さんの作品はこれからも多くの子どもや大人に影響を与えていくのでしょう。谷川さんの詩から多くを受け取った人たちが悲しみに暮れる中、そのことは希望でもあります。

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