『深秋の候』 ため息をついている人がいるかも知れない。ただただ、ホッとしている人がいるかも知れない...夜話 message from spirits
春には散りゆく桜に...
秋には舞い散る落ち葉に...
人は儚さや、物悲しさを感じやすい。
でも春は、
桜が散ってからの5月の新緑、途中に小休止のような梅雨を挟みながらも、その後に訪れる太陽が燦々と輝く夏へと続いて行くのです。
地上のエネルギーが高まって行くような景色に、
味わった儚さは、いつしかしゃぼん玉のようにふっ...と消え去る。
秋はどうでしょうか...
赤や黄、橙色に染まった木々の葉がハラハラと散り始めると、
長かったような短かったような1年が、もうすぐ終わりだということをひしひしと、感じ始めたりするのです。
楽しかったことも、ちょっぴり悲しかったことも、
嬉しかったことも悔しかったことも、
とにかく、いろいろなことがあったとしても、
とりあえず月日は流れ、
もうすぐあの冬枯れの季節が巡って来ます。
ため息をついている人がいるかも知れない...
ただただ、ホッとしている人がいるかも知れない...
秋というのは、
何となく人生について考えてみたり、
あるいは振り返ってみたり、
そんな風に、人を哲学的な気持ちにさせる季節のようです。
また、春に桜が散り行く風景は、
物語の始まり「プロローグ」であり、
秋、落ち葉が舞い散る風景は、
この1年の物語の終焉を告げる「エピローグ」
そんな風にも感じられます。
そして僕の心は...
開放的な世界へと誘い込んだ陽気な夏が、ある日突然去ってしまった後、
いつも、ひとりポツンと取り残されてしまうのです。
それでもいつしか、ほんの少しの寂しさと喧騒から解放されたような、
心地良い静寂と、穏やかさに包まれる瞬間がやって来る。
そんな秋という季節...
大人になってからは、かなり気に入っている。
あまりにもベタではあるけれど、秋の夜長には、やっぱり静かに読書をしたくなるのが常。
今年も新しい本が数冊届いたところです...🍀
(2023年9月の日記より)
陽日希(noZomi.h)