ギタリストでありデザイナー。「好きなこと」を仕事にしたフリーランス まるやまたつや さん
「daily life(日常)」をテーマとした楽曲を世界に向けて発信するギタリスト・まるやまたつやさん。Instagramには2020年9月時点で6万7,000人ものフォロワーがおり、日本に限らず様々な国にファンを抱えています。
ご自身のCDジャケットデザインがきっかけでデザインにも興味を持つようになり、大学はデザインを専攻。卒業後に広告代理店に勤め昨年独立しました。
音楽とデザインを仕事にするまでの経緯や、独立前後のご苦労、多くのフリーランスが敬遠しがちな経理作業を楽にする工夫、今後の展望について伺いました。
デザイナーでありギタリスト。音楽アカウントは世界中に6万人以上のフォロワー
—— まず、現在のお仕事について教えていただけますか?
「MEREYAMO / メレヤモ」の屋号でCDジャケットや広告・ロゴ・写真などのデザイン、まるやまたつやとしてギタリスト・作曲家としても仕事をしています。音楽の仕事は、ライブ以外は音楽配信や楽譜販売など、自主制作の収入が中心です。
以前は仕事の割合が5対5くらいでしたが、新型コロナウイルスの影響で音楽の仕事の割合が減り、現在はデザイン7、音楽3くらいの割合です。
タイミングよくデザインの仕事が増えたので、収入的には問題ないのですが、音楽の仕事割合減ったのは悲しいですね。
—— CDはどちらの媒体で販売しているんですか?
オンラインストアを持っているので、そこで販売しています。ただ、メインは音楽配信なのでSpotifyが一番多いですね。リスナーの9割近くは海外の方です。Instagramのアカウントもあるのですが、日本人の方は7%くらいしかいません。
ある日、フォロワーが何十万人もいるギターのフィーチャーアカウントに僕の演奏動画を紹介してもらって。朝起きたらフォロワーが何百人とか増えたんです。それがきっかけでInstagramの運用に力を入れるようになりました。2年ほどかけて週2本くらいのペースで動画をあげ続けて、現在6万7,000人以上の方にフォローしていただいています。(2020年9月時点)
まるやまたつやさんのInstagramアカウント
—— 楽曲はどうやって制作されているんですか?
Instagramには、基本1分以内の動画をアップしています。20、30秒くらいのフレーズを作って弾いたり、自分のアルバムの曲を弾いたりとか。ネタ切れにならないよう、昔の曲やカバー曲を弾くなど、バランスよく分散させて投稿しています。
「失敗できる20代のうちに」と、独立を決意
—— これまでのご経歴や、フリーランスになるまでの経緯を教えていただけますか?
ギターを始めたのは中学校です。それまでスポーツや絵を描いたことはあるけど、音楽はやったことがなくて。ピアノやエレキギターはお金がかかりそうだけど、アコースティックギターであれば小さいのを一個買えばそれだけで完結するんじゃないかと、親にお願いして初心者用ギターを買ってもらいました。ギター教室に体験に行って、楽しかったから始めたみたいな。突然始まりました(笑)
小学生の頃から、パソコン教室に通ったり自分でホームページは作っていたので、中学生になってからは自分のギター動画をYouTubeやニコニコ動画にあげていました。
デザインについては、実は興味が出たのは割と最近なんです。大学在学時、自分のCDジャケットを作りたいと思ったことがきっかけですね。もともと高校時代は理系だったのですが、進路に迷い「デザインも面白そうかな」とデザイン学部がある大学に進学を決めました。
大学の頃に本格的にライブ活動を始めたのですが、その時に自分でCDを作って手売りしたんです。「自分で作ったものでお金をもらう」ことを初体験して、それがすごく面白かった。衝撃っていうと大袈裟なんですけど、「自分のスキルがお金になるんだ」と実感して。
在学中に、「SAPPORO CITY JAZZ パークジャズライブコンテスト」という札幌のジャズフェスコンテストでファイナルまでいったことがきっけで、札幌市から音楽の仕事も定期的にいただくようになりました。でも、食べていけるほどではなかったし、両親からも就職した方がいいと言われていたので、けっきょく22歳で上京し広告代理店に就職しました。
そこで雑誌広告のデザイン制作を2年半やって、昨年の2月からフリーランスとして活動しています。フリーランスの方のTwitterやブログを見て、自分でも調べて「失敗できる20代のうちにやろう」と、独立を決めました。
不安をチャンスと捉え、発想を転換
—— フリーランスになる時は、不安と楽しみはどれくらいの割合でありましたか?
不安の方が大きかったですね。不安8割、楽しみ2割くらい。
—— 8割も不安があったら、決心は揺らぎませんか?
ありましたね。昨年も何回か心が折れそうになりました。でも、僕が尊敬しているミュージシャンの方の言葉にすごく救われたんです。「仕事が少ない時もある。そういう時はチャンスだと思えばいい。」
考えを変えたことで、人に会うようになったりコツコツと制作するようになりました。
—— 2割の楽しみには、何がありましたか?
自分のやりたいことを仕事にできるワクワク感がありましたね。会社勤めだと、会社の指示のもと会社の仕事をしないといけないですが、フリーランスには仕事を作れる楽しさ、好きなことができる楽しさがあります。
—— 開業前後に、手続きや経理面でご苦労は感じましたか?
会計作業に関しては、取引や明細が発生したらすぐ登録するよう心がけています。銀行口座とfreeeを口座連携することでルーティンにする必要もないくらい自動化されているので、月末に経理で忙しくなることはほとんどないです。
経理に関して、最初は面倒くさいこともあると思うんですけど、経費で何か物を買ったらすぐ登録することは習慣づけるようにしています。毎日やるものではないので、そんなに苦ではなかったですね。むしろ、最終的に確定申告がすごく楽になります。
—— 確かにコツコツやっておけば、あとあと楽ですよね。
はい、僕の場合、保険の控除について調べたくらいで、あとは本当に○×の質問に答えて「確定申告終了」って感じでした。作業としては1時間から2時間。3時間は絶対かかってないです。確定申告の提出は税務署に持参だったんですけど、移動含めて2時間で終わっているんですよね。逆になんか拍子抜けしちゃいました。
もし今後、会計freeeを使おうか迷っている方がいたら、とりあえず口座連携の設定は絶対にしておいた方がいい、と言いたいです。
—— 開業する前に、事前に確定申告の本など読んでいましたか?
はい、確定申告に関する本は2冊読んでいて、青色申告と白色申告の違い、税金の話についての基礎知識は頭に入れていました。
Web制作会社をやってる大学の先輩と、独立したてのときに札幌で飲んでて「経理って何をすればいいんですか」って聞いたことがあるんです。「会計ソフト入れてる?」と聞かれ「freee使ってます」って言ったら「それで100点だよ」って言われたこともありました。
—— 開業freeeのことはご存知でしたか?
freeeの名前をもともと知っていて、「開業するときも使えるのかな?」と調べました。サイトを見たら情報を入れていくだけで簡単に開業届が作れる。「こんなのあるんだ」って開業freeeを使いました。
知人経由からの仕事が中心。音楽はソーシャルメディアの発信に力を入れる
—— フリーランスになる前に不安8割とおっしゃっていましたが、そのなかに「仕事を取れるだろうか」といった不安もありましたか?
はい、仕事の獲得方法に不安はありました。クラウドソーシングサイトを使ったこともあるのですが、仕事が大きくなればなるほど、チャットだけで完結しなければならないコミュニケーションは難しくて。
最初にせめてビデオチャットや電話ができないと、続けるのは厳しいなと感じました。そういった経緯もあって、直接仕事を獲得する機会を増やそうと思ったんです。
—— 現在、仕事の依頼はどういう風にくるんですか?
デザインに関しては、ほぼ知り合いの紹介です。音楽は自主制作の収入が中心で、自分の活動を広めるためにInstagramの運用に力を入れています。
ソーシャルメディアって、人によって相性があると思うのですが、僕の場合はInstagramで手応えを感じることができました。今年中に10万フォロワーを目指したいと思っています。
ただ、数の目標は立てているものの、一番は「濃いファン」を増やすこと。なんとなくフォローしてくれる10人よりも、1人の濃いファンの方がフォローしてくれる方が嬉しいです。Instagramがきっかけでオンラインストアを訪問し、楽譜を買ってくださる方も多いです。
目の前のことをコツコツ続け、インプットを増やすことが目標
—— ギターとデザイン、それぞれ目標はありますか?
音楽に関しては、もっとたくさんの人に聴いてもらいたいし、もっといい曲を作りたい。なので、いまは目の前の活動をコツコツ続けていくしかないと思っています。短期的な目標で言うと、アルバムを作ろうとしているので、その制作を頑張ることですかね。
—— ゆくゆくは海外でのライブも考えていますか?
いずれしてみたいですね。フォロワーさんの地域で一番多いのがアメリカ、次いでインドネシア、台湾なんですけど、英語圏が多くて。インスタライブをすると、フィリピンの方も参加してくれます。「フロム・フィリピン」とか地域をめっちゃ送ってくれる。たまに、アラビア語みたいなまったく読めない言葉もあったりして。なので英語も勉強しようかなと思っています。
デザインに関しては、作って終わりではなく、その先まで見据えた仕事がしたいです。
例えば、ロゴを作ったとして、そのロゴが機能するためにはどうしたらいいか、ロゴをうまく使うためのブランディングまでしたいですね。
そこまでやらないとデザインをやってる意味がないと思うようになりました。「案件が来て納品」の繰り返しではなく、もっと根深いところをデザインするのが今の目標です。
今年はライブができない分、デザインもそのほかのことも勉強やインプットの時間を取ろうと思っています。
—— ありがとうございます。お話が聞けてよかったです。デザインも音楽も、今後のご活躍を応援しています。
文:佐藤まり子
まるやまたつや さんInstagram
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