告げ来たりもの
林の中を抜けてくる風に吹かれながら
猫を抱いて座る
膝の上で、ここは自分の指定席だと信じている生き物と人間は友達
自分は「ある」けど、「無い」のが楽しい
自由が風と一緒に舞っている
水色の空も深緑色の杉林も命としてそこに共生している
長い息の切れる道を回り道しながら
ただ方向は自由を目指して
そこに何が横たわっていても黙々と
深々と歩く意志としてたどり着いた
死は常に背後に回り友人のごとく
背中を押して励ましてきた
生ある事の意味を語り合いながら
歩く
羅針盤の針はただ
「ある」ところ
サンクチュアリは家の軒下
鳥が遊びに来る
虫も蜘蛛もひび割れた古い鍋さえも
これ以上無いほどの至宝の存在
私は夢で鍋を磨く
生きている!存在している!と言いながら