見出し画像

宿命

溶岩のように赤くうねり  
地鳴りする心の地底

黒のとばりに内なる善を探してもがく

滅ぼそうとする天命にそむき
生き抜こうとする地命にあえぎ

私は   空と大地をすり抜ける風に
形を変え
逃げ去りたいと思う   切ないほどに

ああ   漆黒の無限よ
皆が怖れ、近づこうともしない深淵の渦よ
そこが命のみなもとだと知った時の畏れ
それを見た者は もう二度と  
前と同じ己には戻れないとダークマターが嗤う

唯一の光を眉間の一点に求め
私はそれ以外のいかなる悪も離さない

なぜなら暗黒を両手に携え
僅かな光を胸に宿す生き物として
この地上に降ろされた

悪の切望により生まれた善の
はるか遠い2万年の人類の歩みを背負う宿命に
ため息をつく


#善とは    #悪とは   #現代詩
#2017 .2.14    #宮崎日日新聞掲載

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?